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神経性やせ症とは?症状や原因・診断基準や治療方法を解説

公開日:2022/06/14

神経性やせ症は、拒食症とも呼ばれている摂食障害のひとつです。

 

痩せていることに対しての強いこだわりや、体重が増えることへの恐怖心がある状態が続き、日常生活に支障が出ている場合、神経性やせ症の可能性が考えられます。

 

とはいえ、「自分は本当に神経性やせ症なのか?」「どのようなことが原因で発症するのか?」など、疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

そこで今回は、神経性やせ症の具体的な症状や原因、診断基準や治療方法について解説します。

神経性やせ症とは

神経性やせ症は、食事の摂り方や食べる量、食後の行動に異常が見られる摂食障害の一つです。

 

体重の増加を恐れて食事をとらないことにより、日々の生活に支障が出てしまう疾患です。

 

摂食障害は、アメリカ精神医学会が発行しているDSM-5(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)により、下記の6つに分類されています。

 

  • 神経性やせ症
  • 回避・制限性食物摂取症
  • 神経性過食症
  • 過食性障害
  • 異食症
  • 反芻症

 

※DSM-5は、精神疾患の診断基準として、国際的に使用されています。

神経性やせ症の特徴

神経性やせ症の代表的な特徴としては下記が挙げられます。

 

  • 痩せていることへの強いこだわり
  • 自分の体に対するイメージに偏りがある
  • 体重増加(太ること)への強い恐怖心がある
  • 足やお腹など、体の一部が変化することへの執着
  • 嘔吐や下剤の服用を繰り返してしまう など

 

「自分の体に対するイメージの偏り」とは、太っていないのにもかかわらず「自分は太っている」と思い込むなどのケースがあてはまります。

神経性やせ症の種類

神経性やせ症には「摂食制限型」と「過食・排出型」の2つの種類があります。

 

摂食制限型

 

摂食制限型の場合、食事の量を制限したり、無理な運動をしたりして体重を減らそうと試みますが、過食や嘔吐、下剤の使用などの行為は見られません。

 

過食・排出型

 

過食・排出型の場合、食事の量を制限する行為に加え、過食(大量の食べ物を食べてしまう)をしてしまい、その後、嘔吐や下剤の使用などの排出行動をおこないます。

神経性やせ症の症状

神経性やせ症の症状を「心理的症状」と「身体症状」にわけてそれぞれご紹介します。

心理的症状

まずは、神経性やせ症の心理的症状を見ていきましょう。

 

  • 記憶力が低下する
  • 集中力が続かなくなる
  • イライラしてしまう
  • 抑うつ感がある
  • 不安感がある
  • 集中力がなくなる
  • こだわりが強くなる
  • 性的興味がなくなる
  • 人との交流を避けてしまう など

 

上記の症状があらわれることにより、例えば、仕事の効率が落ちてしまったり、人と衝突しやすくなるといったケースが起こることがあります。

 

また、栄養が不足することにより、食欲をコントロールしている脳の部位が上手く働かなくなり「食べようとしても食べられない」「満腹感がなく、食べ続けてしまい、過食症へと移行する」などの症状が起こることもあります。

身体症状

神経性やせ症の身体的症状としては、下記が挙げられます。

 

  • 低血圧
  • 心拍数の低下
  • 筋力が落ちる
  • 体温が低くなる
  • 冷え性
  • 疲れやすくなる
  • 便秘になる
  • 皮膚が乾燥する
  • 手や足の裏が黄色くなる
  • 眠りにくくなる
  • 身長が伸びなくなる
  • 月経(生理)がこなくなる など

 

このように、体内の栄養が不足することにより、身体にさまざまな症状があらわれます。

 

また、嘔吐を繰り返すことにより、胃酸が歯のエナメル質を溶かし、虫歯になりやすくなったり、食道に炎症が起こったりすることもあります。

 

そして、栄養不足の状態が長期間続くと、骨粗しょう症や腎不全、不整脈などの体の異常を引き起こしてしまう可能性があるため、決して軽く見てはいけない疾患です。

 

症状の程度によっては、死に至るケースもある疾患ですが、本人が危険な状態であるということを認識できていない場合もあります。

 

健康に支障をきたす体重について

 

標準体重の80%以下しかない場合「痩せすぎ」の状態であると言われています。

 

自身の体重が痩せすぎであるかどうかを判断するにあたり、国際的な成人の体重指標として使われているBMI(Body Mass Index)が目安のひとつになります。

 

WHO(世界保健機関)の判定基準では、標準体重のBMIは18.5〜24.9以下とされ、18.5未満の場合は「低体重」にあてはまり、さらに、BMIが16未満の方を「痩せすぎ」としています。

 

標準体重とBMIの計算式はそれぞれ下記の通りです

 

  • 標準体重kg = (身長mの2乗) × 22
  • BMI=(体重kg)÷(身長mの2乗)

 

例えば身長160cmの場合、標準体重は56.3kgとなり、47.4kg未満の方は「低体重」となります。

 

さらに、体重がおよそ41kg未満の方は「痩せすぎ」となります。

 

ただし、これらはあくまで目安であり、健康に支障が出る体重にあてはまらないからといって、身体の問題がないとは言い切れません。

 

思い当たる身体症状や心理的症状があり、日常生活や仕事で困難や辛さを感じる場合は、専門の医療機関への受診を検討してみると良いでしょう。

神経性やせ症の原因

まず、神経性やせ症は、さまざまな要因が関連し合い、発症しているのではないかと考えられています。

神経性やせ症のきっかけとなるもの

神経性やせ症の原因の例は、下記の通りです。

 

  • ダイエット
  • 友人や家族から太ったと言われた
  • 家庭環境などの問題により自尊心が低い(心理的要因)
  • 職場や学校での対人関係などのストレス
  • 痩せていることを良しとする社会の風潮(文化的要因) など

神経性やせ症になりやすい人

神経性やせ症を含む摂食障害になりやすい人の性格をご紹介します。

 

  • 自己肯定感が低い
  • 自分に厳しい
  • 完璧主義(0か100かで考えるなど)
  • 他人からの評価が気になる
  • 人に本音を話せない
  • ストレスを解消するのが苦手 など

 

もちろん、上記にあてはまるからと言って、必ずしも発症するわけではありません。

 

もともと、神経性やせ症(摂食症)は、10代〜20代の女性に多いと言われていました。

 

しかし、最近は男性の割合が徐々に増えているとの報告もあり、性格だけでなく性別や年齢を問わず、誰もが発症し得る可能性があります。

神経性やせ症の診断基準

DSM-5(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)によると、神経性やせ症の診断基準は下記の通りです。

 

  1. 必要量と比べてカロリー摂取を制限しており、年齢や性別、成長曲線や身体的健康状態に対する有意に低い体重に至る。「有意に低い体重」とは、正常の下限を下回る体重のことで、子どもや青年の場合、期待される量低体重を下回ると定義される。
  2. 有意に低い体重であるにもかかわらず、体重が増えることや肥満になることに対する強い恐怖、または体重増加を妨ごうとする持続した行動がある。
  3. 自分の体重または体型の体験の仕方における障害、自己評価に対する体重や体型の不相応な影響、または現在の低体重の深刻さに対する認識の持続的欠如

 

また、制限型か過食・排出型かどうかは、下記により診断されます。

 

  • 制限型⇒この3ヶ月間の間に、過食や排出行動を繰り返していない
  • 過食・排出型⇒この3ヶ月間の間に、過食や排出行動を繰り返している

 

※排出行動とは、自分で嘔吐を試みたり、下剤などを服用したりする行動のことです。

 

上記にあてはまる場合、神経性やせ症と診断されることがあります。

 

しかし、診断は医師がおこなうため、自分で神経性やせ症かどうかを判断することはできません。

 

もしも「自分の症状に似ているかも」と思った場合は、早めに専門の医療機関を受診するようにしましょう。

神経性やせ症はどこの病院を受診する?

神経性やせ症などの摂食障害は、心療内科や内科、精神科で診てもらえます。

 

もしも、食べ物の制限だけでなく、気分の落ち込みや不安感などが見られる場合は、心療内科や精神科を受診しましょう。

 

しかし、医療機関によっては、摂食障害に対応していない場合もあるため、あらかじめ公式サイトを確認するか、電話で問い合わせておくと安心です。

 

お住まいの地域の精神保健福祉センターや保健所によっては、摂食障害に対応している医療機関の情報を教えてもらえることもあるため、一度問い合わせてみるのも良いでしょう。

参考:全国精神保健福祉センター長会「全国精神保健福祉センター・一覧」

また、神経性やせ症の診察時には下記を聞かれることがあります。

 

  • 体重がどのように変化しているか
  • 月経が止まってはいないか(女性の場合)
  • 最近の食事の内容
  • 過食や嘔吐などの行動はあるか
  • これまでに受診した病院や受けた治療(他の医療機関を利用したことがある場合)
  • 質問したいこと など

 

医師へ正しく伝えられるか不安という方は、上記の内容をスマホのメモアプリや紙に書き出したりして事前に情報を整理しておくと安心です。

神経性やせ症の治療方法

神経性やせ症の治療方法は、主に下記の3つがあります。

 

  • 食事指導(生活指導)
  • 認知行動療法
  • 薬物療法

 

ひとつずつ、具体的にどのようなことをおこなうのか、ご紹介します。

 

また、治療よりも先に優先される「体重の回復」についても解説していきます。

体重を回復させる

神経性やせ症により、体重が落ちてしまっている場合、まずは体重の回復が優先されます。

 

栄養が足りていない状態では、健康状態だけでなく精神の状態も不安定になりやすいため、体重を回復させ、心身の状態を落ち着かせるようにします。

 

また、本人の体重や健康状態によっては、入院しなくてはいけない場合もあります。

 

入院が必要であるかどうかは、心身の状態をもとにして、担当医が判断します。

食事指導(生活指導)

栄養士から健康的な生活を送るための食事に関するアドバイスを受けます。

 

具体的には、食べ物の栄養についてや、規則正しく食事をとることの大切さを学びます。

 

食事の量が少なすぎる場合は、少しずつ増やしていくように試みます。

 

また、必要に応じて補助的に食事以外の栄養補給がおこなわれることもあります。

認知行動療法

神経性やせ症の治療方法のひとつに、認知行動療法があります。

 

認知行動療法の目的は、認知(ものの見方や捉え方のこと)の偏りを修正し、物事や出来事に対して、バランスの良い考え方ができるようにすることです。

 

具体的な手順の例は、下記の通りです。

 

  1. 低栄養や排出行為(嘔吐や下剤の乱用)のリスクを学ぶ
  2. 規則正しい食生活を送ることで、異常な食行動をコントロールできると知る
  3. 今の状態を続けることと、想像する将来像にギャップがあることに気付く
  4. ストレスへの対処法を身に受ける(異常な食行動以外)
  5. 認知の偏りを理解して、学習したことを日常生活で実践する

 

認知行動療法は医師やカウンセラーのもと、個人もしくは複数人のグループでおこないます。

薬物療法

今のところ神経性やせ症そのものに効く薬はありませんが、抑うつ状態や不眠などの二次障害が見られる場合は、その症状に対して薬が処方されることがあります。

 

しかし、上記のような二次障害を和らげる薬は、あくまでも補助的に使用されます。

神経性やせ症のまとめ

摂食障害のひとつである神経性やせ症は、誰もが発症し得る可能性のある疾患です。

 

体重が減り、栄養が不足することで日常生活や社会生活だけでなく健康状態にも支障をきたす可能性が高いため、早めに治療を受けることが大切です。

 

もしも、自分の症状が神経性やせ症なのかわからない場合は、まず、かかりつけ医やお住まいの地域にある内科の先生に相談してみると良いでしょう。

神経性やせ症のある方の就職サポート

神経性やせ症などの摂食障害でで働くことにお悩みのある方への支援として、「就労移行支援」があります。

就労移行支援とは障害のある方の就職をサポートする福祉機関のひとつです。LITALICOワークスでは各地で就労移行支援事業所を展開し、障害のある方が自分らしく働くためのサポートをおこなっています。

LITALICOワークスでは体調安定や、ストレスコントロールのスキル向上などを行いながら、あなたに合った働き方を一緒に探していきます。

働くことでのお悩みがありましたら、ぜひ一度LITALICOワークスにご相談ください。

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参考文献・URL

公開日:2022/06/14

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