神経性過食症は、一般的に「過食症」と呼ばれている摂食障害のひとつです。
もしも、食べる量や行動をコントロールできず、過食(食べ過ぎること)を繰り返す状態が続き、日常生活や仕事で困難や辛さを感じている場合、神経性過食症の可能性があります。
しかし「自分の症状は本当に神経性過食症なのか?」「神経性過食症の症状や原因は?」など、疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、神経性過食症の症状や原因、治療方法や診断基準について解説します。
神経性過食症は、一般的に「過食症」と呼ばれている摂食障害のひとつです。
もしも、食べる量や行動をコントロールできず、過食(食べ過ぎること)を繰り返す状態が続き、日常生活や仕事で困難や辛さを感じている場合、神経性過食症の可能性があります。
しかし「自分の症状は本当に神経性過食症なのか?」「神経性過食症の症状や原因は?」など、疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、神経性過食症の症状や原因、治療方法や診断基準について解説します。
神経性過食症は「摂食症(食行動症)」のひとつに分類されています。
「摂食症(食行動症)」とは、食行動に異常がみられる症状をまとめた名称のことです。
神経性過食症の大きな特徴は下記の通りです。
加えて、過食後に「太るのではないか?」といった不安から、嘔吐や下剤の乱用などの代償行為が行われることがあります。
過食後に嘔吐や下剤の乱用などの代償行為がない場合は、神経性過食症ではなく「過食性障害(むちゃ食い症)」の可能性があります。
過食性障害(むちゃ食い症)は、過食や食べ物への依存がみられる摂食障害のひとつです。
※過食性障害は現在、「むちゃ食い症」という診断名となっていますが、最新版『DSM-5-TR』以前の診断名である「過食性障害」といわれることが多くあるため、ここでは「過食性障害(むちゃ食い症)」と表記します。
神経性過食症と同様に、食べる量や行為を自分の意志ではコントロールできません。
例えば、下記の特徴があります。
しかし、神経性過食症との大きな違いとして「体重や体型へのこだわりがそこまで強くない点」が挙げられます。
そのため、食後に嘔吐をしたり、下剤の乱用をしたりなどの代償行為もおこないません。
たくさん食べるという状況は、神経性過食症のない方でもみられるものです。
例えば、「仕事で疲れた日に甘いものをたくさん食べる」「悲しい出来事があった日に、やけ食いをする」といったことは、誰しもが一度は経験したり共感できることではないでしょうか。
そのため、神経性過食症のある方が、自分の過食は神経性過食症によるものだと気付かずに過ごしているケースもあります。
たしかに、一時的に大量の食べ物を口にするだけであればそこまで気にする必要はありませんが、週1回以上の過食や嘔吐が3ヶ月以上続いている場合は、神経症過食症の可能性があります。
また、上記に当てはまらない場合でも、過食により日常生活や仕事などで辛さを感じている場合は、一度専門の医療機関の受診を検討してみるといいでしょう。
なお、過食などでお悩みの場合は、精神科や心療内科、内科を受診します。
何科の病院を受診すればよいかについては当記事の後半で解説しています。
ここでは、神経性過食症の症状を「心理的症状」と「身体症状」にわけて解説していきます。
また、それぞれの症状が続くことによって、起こり得る状況についてもご紹介します。
まずは、神経性過食症の心理的症状をみていきましょう。
このような心理的症状が続くことで、抑うつ状態になったり、飲酒によるアルコールの依存が高まったりする可能性が考えられます。
神経性過食症を含む摂食障害のある方のうち、およそ3〜8割の方が、なにかしらの精神疾患(抑うつ・不安症・双極性障害など)を併発しているともいわれています。
神経性過食症の身体症状としては、下記が挙げられます。
身体症状の中には、嘔吐や下剤の乱用により引き起こされるものもあります。
例えば、「身体のミネラルバランスが崩れ、むくみや不整脈の症状が出る」や「胃酸が歯のエナメル質を溶かし、虫歯になりやすくなる」といったことが挙げられます。
また、嘔吐時の胃酸は、食道を傷つける可能性もあるため、逆流性食道炎を発症することも考えられます。
その他、嘔吐をするときに手を口の中に入れるため、手の甲や指に「吐きだこ」がみられる方もいらっしゃいます。
体重は正常でもほかの検査で異常が見つかることも
神経性過食症のある方の中には、体重の数値が激しく変動している方もみられます。
また、体重の数値が標準であったとしても、ほかの検査で不整脈などの異常が発覚するケースがあります。
そのため、体重の数値だけをみて「健康に問題はない」と自己判断はせず、気になる症状がある場合は、病院で診察を受けるようにしましょう。
神経性過食症は、複数の要因が絡み合って発症するのではないかと考えられています。
この項目では、神経性過食症のきっかけとなり得る要素についてご紹介します。
神経性過食症を含む、摂食障害のきっかけとしては、下記が挙げられます。
また、神経性過食症の場合、ストレスが原因となるケースが多いといわれています。
ストレスを解消する方法を求めた結果、過食につながってしまうこともあります。
神経性過食症では、明らかに大量の食物を食べることと、その行為を抑制できないと感じること、という特徴がみられます。
その一方で、自己評価が体型や体重の影響を過度に受ける様子がうかがえます。そうしたことから、むちゃ食いの後に、嘔吐、下剤などの使用、過度な運動など、体重増加を防ぐための不適切な代償行為が繰り返されます。
診断に際しては、このようなむちゃ食いと不適切な代償行為が、3ヶ月間にわたって週1回以上起きていることが確認されます。
神経性過食症の治療は、基本的に通院しながらおこないます。
しかし、生活リズムを改善できない場合や、身体症状が強く出ているときは、入院治療となるケースもあります。
神経性過食症の治療内容は主に「認知行動療法」「対人関係療法」「薬物療法」の3つがあります。
認知行動療法とは、本人の認知(ものの見方や考え方)に働きかける療法です。
具体的には、下記を目標としておこないます。
認知行動療法は、個人もしくはグループで複数回、専門家のもとおこなわれます。
対人関係療法は、認知行動療法と同様に、研究による根拠がしっかりとある療法です。
患者さん本人と、重要な関わりのある人物との関係性に注目した治療法です。
対人関係療法では、ストレスのもと(摂食障害の原因)となっている人物を特定し、その人との関わり方を変化させることを目指していきます。
今のところ、神経性過食症そのものを治す薬は存在していませんが、神経性過食症により現れている症状の対処療法として、薬物療法をおこなうことがあります。
例えば、神経性過食症により激しい落ち込みや抑うつ状態が続く場合は「抗うつ薬」、不安な気持ちが強い方へは「抗不安薬」、眠れない症状がある方へは「睡眠導入剤」といった薬が処方されることがあります。
神経性過食症などの摂食障害は、内科や精神科、心療内科で診てもらえます。
気持ちの落ち込みや不安感が強い場合は、精神科か心療内科を選択しましょう。
診察では、「体重の変化」や「自身の体重や体型への考え方」「食事の内容」などを聞かれることがあるため、うまく伝えられるか不安な方は、あらかじめスマートフォンのメモアプリや用紙に内容を書き出してまとめておくと安心です。
また、病院によっては、神経性過食症などの摂食障害に対応していないところもあります。
そのため、事前に病院へ問い合わせるか、公式サイトをチェックしておくようにしましょう。
また、お住まいのエリアの精神保健福祉センターや保健所によっては、摂食障害に対応している医療機関を教えてくれるところもあります。
神経性過食症は、健康に支障をきたす可能性のある摂食障害のひとつです。
また、症状によって、気分が落ち込んだり、食に対する衝動的な欲求などで日常生活や仕事などで困難や辛さを感じるケースもあります。
そのため「神経性過食症かもしれない」と感じたり、過食により何かしらの不安や問題を抱えていた場合は、早めに病院へ行くことが大切です。
また、神経性過食症かどうかはっきりと分からない場合や「心療内科や精神科を受診しにくい」と感じる方は、まず、身近な内科やかかりつけ医へ相談してみるのもいいでしょう。
神経性過食症などの摂食障害で働くことにお悩みのある方への支援として、「就労移行支援」があります。
就労移行支援とは障害のある方の就職をサポートする福祉機関のひとつです。LITALICOワークスでは各地で就労移行支援事業所を展開し、障害のある方が自分らしく働くためのサポートをおこなっています。
LITALICOワークスではストレスコントロールや、対人関係のスキル向上などのトレーニングをおこないながら、あなたに合った働き方を一緒に探していきます。
働くことでのお悩みがありましたら、ぜひ一度LITALICOワークスにご相談ください。
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