Q.就労移行支援事業所を利用したきっかけは?
脳出血により、ブローカ失語や片麻痺となったAさんはリハビリを経てそろそろ働きたいという気持ちがあり、就労移行支援事業所を利用することにしました。
当時は、「相手の言っていることは分かるが、自分が喋ろうとするとうまく言葉が出ない」状態だったため、就職活動(特に面接)に不安がありました。また、片麻痺もあったため、どのような仕事ができるかも分かりませんでした。
Q.就労移行支援事業所で取り組んだことは?
スタッフとのコミュニケーションにおいては、意思疎通をはかるためのノートを活用したり、表情を使って伝えたりしていきました。また、Aさんの場合、片麻痺もあり、パソコンを使っての作業は難しかったので、作業を中心におこないました。例えば、書類を整えるときはクリアファイルにいれて角をそろえたり、ビーズの袋詰めは肝を使って袋を開けたり、工夫しながら、自分ができることを探しました。また面接対策では、事前に質疑応答集を作成し、スタッフと何度も練習しました。
Q.面接から就職するまでに取り組んだことは?
発語がスムーズでないため、事前に企業へ合理的配慮として
- 質問されたら質疑応答集を見せる
- 発語するまで時間がかかるため、回答を待ってもらう
- どうしても発語が難しい場合は、就労移行支援スタッフのフォローを入れてもらう
などを伝えたうえで、複数の会社の面接を受けたところ、そのうちの1社で一次面接を通過できました。
正式採用前に、職場の人・Aさんの双方にとって相互理解を深めながら働き続けられるかどうかを確認するため、企業インターン(就職前実習)を実施しました。その結果、作業スピードを過剰に求められることがなく自分のペースで作業を進めやすいことが分かりました。また職場の人はAさんが困っていることは意思表示ができる、丁寧に作業を進められる、などの点でAさんとなら安心して働き続けられると感じたそうです。
このように双方がお互い理解できたため、就職することができました。