障害者総合支援法とは、障害のある方の支援について定めた法律です。障害のある方が日常生活や社会生活で必要なサポートが受けられる障害福祉サービスなどが設けられています。
この記事では総合支援法の対象者、福祉サービスの詳細、法改正のポイントについて解説していきます。
障害者総合支援法とは、障害のある方の支援について定めた法律です。障害のある方が日常生活や社会生活で必要なサポートが受けられる障害福祉サービスなどが設けられています。
この記事では総合支援法の対象者、福祉サービスの詳細、法改正のポイントについて解説していきます。
目次
「障害者総合支援法」は障害のある方が、日常生活や社会生活を営むうえで必要な障害福祉サービスなどが定められた法律です。従来施行されていた「障害者自立支援法」を改正するかたちで、2013年4月に施行されました。
障害福祉サービスには大きく分けて、介護や就職支援といったサービス利用者へ個別に支給される「自立支援給付」と、利用者の状況に応じて市区町村や都道府県が柔軟にサービスをおこなう「地域生活支援事業」があります。
障害者総合支援法では障害や難病のある方は、必要に応じてこれらのサービスを複数組み合わせて利用することができるようになっています。
障害者総合支援法の対象者は以下に該当する方々です。障害のある方だけでなく、一部の難病がある方も総合支援法の対象者となります。
※障害者手帳をもっていなくても、障害者総合支援法の福祉サービスの対象となることがあります。
障害者総合支援法は以前に施行されていた「障害者自立支援法」を改定するかたちで、2013年4月より施行されました。
障害のある方もない方も地域社会で一緒に暮らしていくことを目的としており、そのための困難を取り除くため、障害福祉サービスなどの日常生活、社会生活上の支援を定めています。
障害者総合支援法の基本理念として条文に以下のような内容が記載されています
障害者総合支援法は3年ごとに福祉サービスについて見直し改正すると定められていて、最初の改正が2018年におこなわれました、その後2021年にも改正がおこなわれサービスの充実を計っています。
2021年の改正では事業所の感染症対策についてや、インターネットなどを利用して在宅など遠隔でも受けられる支援についてなどが定められました。
詳しい改正内容は後ほどまとめて記載します。
障害者総合支援法で受けることができる福祉サービスは「自立支援給付」と「地域生活支援事業」の2つが中心となります。
「自立支援給付」は介護や就職のための訓練などがあり、「地域生活支援事業」には障害のある方が身近な地域で生活していくための支援などがあります。それぞれを解説していきます。
障害者総合支援法の自立支援給付には、在宅で介護の支援を受ける「介護給付」や就職のための訓練などを受ける「訓練等給付」、医療費の支援である「自立支援医療制度」などがあります。利用者はこれらの制度を組み合わせて利用することができます。ここではいくつか取り上げて紹介します。
※すべてのサービスを組み合わせて利用できるわけではございませんので、詳細はお住まいの障害福祉課などにお問い合わせください。
障害者総合支援法の介護給付とは日常生活で必要な介護の支援を提供するサービスです。自宅での介護の支援や行動の援助などのサービスの総称です。
【訪問】
【日中活動】
【施設】
障害者総合支援法の訓練等給付とは障害のある方が日常生活や社会生活を営むために、必要な訓練などを提供するサービスです。リハビリテーションや就職に関わるサービスの総称です。
【自立訓練】
【就労支援】
【居住支援】
自立支援医療制度とは障害の治療にかかる自己負担を少なくする制度です。
通常の医療費が原則3割負担なのに対して、自立支援医療制度を利用すると原則1割負担となります。
自立支援医療には「精神通院医療(精神疾患のある方)」「更生医療(身体障害のある方)」「育成医療(身体障害のある子ども)」の3種類があります。
身体に障害のある方が日常や仕事などの場面で用いることで、身体機能を補完したり代わりとなるものの事です。その補装具の購入や修理にかかる自己負担を少なくすることができる制度です。
障害者総合支援法の相談支援はサービス等利用計画書の作成などをおこなう「計画相談」と地域での生活のサポートをする「地域相談」に分けられます。
【計画相談】
【地域相談】
障害のある方が地域で日常生活や社会生活を過ごしやすくするために、市区町村や都道府県によっておこなわれる事業の事です。その地域によって柔軟な施策ができるように自治体によって内容に違いがありますが、例として以下のようなものがあります。
【市区町村事業】
【都道府県事業】
障害福祉サービスを利用する際に、利用料を負担する場合があります。
障害福祉サービスの利用料は原則1割の負担となっています。また、世帯所得(※)に応じた月額負担上限額が設定されています。
(※)ここでいう世帯とは利用者の年齢によって2つに分けられます
利用者が18歳以上の場合:本人とその配偶者
利用者が18歳未満の場合:保護者の属する住民基本台帳の世帯
例えば、利用者が20歳で配偶者とその父母と暮らしていた場合は、利用者本人と配偶者の所得のみが条件となります。
【負担額(障害児)】
【負担額(18歳以上)】
障害福祉サービスの利用申請は市区町村の窓口でおこないます。窓口の名称は市区町村で異なりますが、障害福祉課などの名称が多いです。担当窓口が分からない場合は、事前に市区町村の総合窓口へお問い合わせいただくと知ることができます。
申請する窓口は同じですが、訓練等給付と介護給付ではその後の流れが一部異なります。
※サービス等利用計画案とは障害福祉サービスを利用する際に、どのような支援を受けるのかをまとめた計画案のことです。利用者本人が作成することも可能ですが、指定特定相談支援事業者が作成することが一般的です。
障害者総合支援法は3年ごとに障害福祉サービスの改正をおこなっています。
2018年に初めて改正がおこなわれ、2021年にも改正がありました。
障害者総合支援法の2018年改正の大きなポイントは3つあります
※障害福祉サービスの情報公開制度の創設
2018年の改定で障害福祉サービスを提供する事業所は都道府県へ報告することが義務づけられているため、こちらのWebサイトからすべての事業所の情報を調べることができるようになりました。障害福祉サービスを検討している方は参考にしてみてください。
今年2021年4月にも障害者総合支援法の改正がおこなわれました。改正内容は障害のある方の高齢化や精神障害のある方、障害のある児童への対応や、中心的存在となる相談支援の質の向上などが挙げられています。その中でも感染症対策の項目が定められていたので、紹介します。
40代の男性、Kさんは就職していた会社で体調を崩し、統合失調症と診断され退職しました。
通院をすることになり、仕事を辞めてお金に不安があったため自立支援医療制度を利用して療養をおこないました。そして半年後に体調も安定してきて今後の就職について考えだしましたが、以前と同じような働き方ではまた体調を崩すのではと不安になりました。
就職するための支援があることは知っていましたが、自分にどのような支援があっているのか分からなかったため、相談支援事業者(計画相談)に相談し就労移行支援があっているのではないかとアドバイスをもらい見学におこなったところ、雰囲気やプログラムが合っていると思い利用を決めました。
就労移行支援事業所ではストレスコントロールや障害理解のプログラムを受講し、体調を安定させる方法を身につけていきました。就職後は就労定着支援を利用することで、困ったことがあっても相談先があることで安定して働くことができています。
20代女性のAさんは、職場からの帰宅途中に交通事故で右足に大けがを受け、そのまま入院し仕事は休職となりました。退院してすぐは身体が思うように動かず、居宅介護(ホームヘルプ)を利用して自宅での家事や入浴のサポートをしてもらいました。
それと同時に自立訓練(機能訓練)で歩行のリハビリをおこなってきました。その後は順調に回復していきましたが、下肢に障害が残ったため補装具費支給制度を利用して、歩行の補助のための器具を購入しました。現在は元居た職場で復職し移動については配慮を受けながら働いています。
※すべてのサービスを組み合わせて利用できるわけではありません。詳しくはお住まいの市区町村の窓口へご確認ください。
※事例はプライバシーの観点から、事実を再編集・再構成しております。
障害者総合支援法は障害のある方が日常生活、社会生活を営むためのさまざまなサービスを組み合わせて活用できる制度です。
事例にもあったように自立支援医療と就労移行を組み合わせて使うなど、選択肢は複数あります。
就職についての支援を検討されている方向けに、LITALICOワークスでは就職相談を受け付けています。自分らしく働くための方法を一緒に考えてみませんか?お気軽にお問い合わせください。
就労移行支援は一般企業に就職を希望する方々へ、働くためのさまざまなサポートをおこなう福祉サービスです。
LITALICOワークスは各地で就労移行支援事業所を運営しており、これまで1万人以上の方の就職をサポートしてきました。
障害のある方が自分らしく働くために、ストレスコントロール・PC訓練・企業インターン・面接練習など一人ひとりに合わせたサポートを提供しています。
「働くことに悩んでいる」「体調が不安定で働けるか分からない」「一人で就職活動がうまくいかない」などお悩みのある方は、まずは就職支援のプロに相談してみませんか?
監修者
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授/LITALICO研究所 客員研究員
井上 雅彦
応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
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