就職や転職活動をするときに、欠かせないのが「自己PR」です。
履歴書に記入したり、面接中に口頭で説明したりと、活用するシーンはさまざまです。
しかし「どのようなことを書けばいいのか分からない」「自分の強みが思いつかない」という方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は自己PRの書き方や、自己PRを作るときに大切なポイントを解説していきます。
また、障害のある方が自己PRをするうえで大切なことや自己PRが苦手な方へ向けて解決策もご提案します。
就職や転職活動をするときに、欠かせないのが「自己PR」です。
履歴書に記入したり、面接中に口頭で説明したりと、活用するシーンはさまざまです。
しかし「どのようなことを書けばいいのか分からない」「自分の強みが思いつかない」という方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は自己PRの書き方や、自己PRを作るときに大切なポイントを解説していきます。
また、障害のある方が自己PRをするうえで大切なことや自己PRが苦手な方へ向けて解決策もご提案します。
目次
まずは、文章を考える前に「そもそも自己PRとは何なのか?」を理解しておきましょう。
自己PRには、企業へ自分のアピールポイントを伝える役割があります。
しかし、ただ企業に自分の長所や魅力を理解してもらうためのものではありません。
上記を勘違いしていると、せっかく自己PRを作っても、企業へ上手くアピールできない可能性があります。
前提として、企業側は自己PRの内容から「もしも、この人を採用したら、自社にどのような利点があるのか?」「社内で活躍できるか?」を判断しています。
そのため、自己PRでは「自分の能力や経験を活かすと、企業にこんな利点がある」という点を分かりやすく伝えることが大切です。
自己PRを活用する場面は、履歴書への記入時だけではありません。
エントリーシート(ES)上に自己PRの欄を用意している企業も数多くあります。
エントリーシート(ES)とは、選考に利用する書類のことで、各企業が「応募者について知りたいこと」を項目ごとに設定しています。
また、履歴書やエントリーシートへの記入以外に、面接時に質問として聞かれる場合もあるため、ただ書くだけでなく、ご自身が応募先企業でどのように貢献できそうかを考えてから書くようにしましょう。
自己PRを書く流れは、下記の4ステップです。
項目ごとにわけて、順番に解説していきます。
まずは、自己PRを作成するためのパーツ(素材)を集めるために、過去の経歴や実績を書き出しましょう。
シンプルな方法としては「今まで関わってきた仕事を時系列順に書いていくこと」が挙げられます。
会社名(業種)と仕事内容、どのような知識を得たか、書き出していきましょう。
頭の中だけで考えるのではなく、紙に書き出すことでより情報を整理しやすくなります。
自己分析では「1」で書き出した情報や、これまでの経験をもとに「自分の強み=企業へアピールできるポイント」を見つけていきます。
アピールポイントは、営業成績などの目に見える数字以外にも多くあります。
例えば、下記のことも立派な強みと言えるでしょう。
自分では「小さなこと」だと思っていても、企業が重視している要素かもしれません。
まずは、思いつく限り書き出してみましょう。
自己PR作成時の企業分析では、企業がどのような人材を求めているのか把握します。
分かりやすいのは、募集要項のページに「求める人材」について記載してある場合です。
その他、社員インタビューや企業情報のページもチェックしましょう。
例えば、何十年も続いているような伝統を重んじる会社であれば、柔軟性や協調性が重視されている、といったことがあります。
また、ベンチャー企業や比較的若い企業では、自分からどんどんチャレンジできる人を求めているパターンがよく見られます。
このような企業分析は、次の「4」のステップにおいて重要な役割を果たします。
最後に、企業のニーズを満たせる自分の強みを考えていきます。
いくら凄い実績があったとしても、その企業に必要でなければ、自己PRでは使えません。
例えば、事務職へ応募するときに、前職の営業成績が良かったことをアピールしても、高い評価は得られない可能性があります。
ですが、営業成績が良かった理由に、「相手の話をよく聴くことができる」「先輩や同僚と協力しながら成果を出せていた」といった背景があったとすると、その良さを事務職で働く中でどのように活かせそうかを考えて書くといいでしょう。
そのため、企業が求める能力に近い自分の強みを使って自己PRを作成しましょう。
履歴書や職務経歴書に自己PRを書くときに、大切なポイントを解説します。
また、未経験の場合と経験者の場合にわけて、意識するといいポイントもご紹介します。
自己PR作成時に押さえたいポイントは下記の2つです。
ひとつずつ、分かりやすく解説していきます。
要点を押さえて短くまとめる
自己PRは限られたスペースに書くため、要点を押さえてまとめる必要があります。
まずは、大まかな構成を見ていきましょう。
上記の構成に自分の強みとエピソードをあてはめた後、文章を削ったり、足したりして、より分かりやすい内容に整えていきましょう。
1つ、例文を挙げていきます。
例文:事務職(経験者として転職する場合)
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具体的な数字を使う
自己PRの内容に具体性をもたせるためには、なるべく数字を使って伝えましょう。
数字を使った例としては、下記が挙げられます。
自己PRに数字を使うだけで、企業に伝わりやすくなります。
自己PRが完成したら、数字を使える箇所がないか再度チェックしましょう。
未経験の職種に応募する場合、その業界に興味があることや、学ぶ意欲があることをアピールしましょう。
具体的には「すでにその業種の勉強を始めている」「過去興味のあったものには意欲的に学習して知識やスキルを高めた」などです。
また、はじめて経験する業界だからこそ活かせるアピールポイント(粘り強さやポジティブ思考など)を自己PR内に書く方法もおすすめです。
応募する職種の経験がある場合、即戦力になることをアピールするために、前職の実績を数字ベースでしっかりと伝えましょう。
目に見える数字がない職種の場合は、「前職で課題を乗り越えたエピソード」や「前職で得た学びがどのように活かせるのか」をなるべく具体的に書きます。
また、採用側は「なぜ職種は同じなのに、違う会社で働きたいのか?」を知りたいと思う可能性が高いため、自己PR内に含められる場合は、合わせて記載しましょう。
おそらく面接でも聞かれるため、どのように答えるのか準備しておくことが大切です。
面接時に自己PRをする際に、押さえておきたいポイントを解説します。
面接時の自己PRは「〇分でお願いします」と時間制限つきのパターンもあります。
面接官によっては、簡潔な回答を求め、それに対して質問をしながら理解を深めていこうとする人と、はじめからエピソードなどを交えた分かりやすい説明を求める人など、さまざまなタイプの人がいます。
そのため、あらかじめ「1分くらいで話せる簡潔版」と「3分くらいで話す詳細版」など、複数のバージョンを用意しておくと安心です。
また、面接時の自己PRで、注目されているのは話の内容だけではありません。
とくに営業職や接客業の場合、限られた時間の中で「分かりやすく伝える能力があるか」や「論理的に話せるか(筋道を立てて考えているか)」もチェックされています。
面接官にご自身のアピールポイントをよく理解してもらうためには、短い時間でまとめるほうが本当は難しいのですが、逆に「時間が長いと何を話していいのか分からない」と感じる方もいるかもしれません。
コツは、企業へアピールするポイントを1つに絞ることです。
時間があるからといって、複数の強みやエピソードを盛り込んでしまうと、話がまとまりにくくなってしまいます。
そのため、まずはアピールポイントを1つ決めて、その強みを裏付けるエピソードを掘り下げる内容に仕上げていきましょう。
3分間のスピーチは、文字数で換算するとおおよそ800〜1,000文字です。
上記を目安に文章を作成して、実際に読み、時間を計ってみましょう。
面接では、自己PRや長所だけでなく短所を聞かれることもあります。
そのため、自分のいい面だけでなく、気になる面も把握しておくことが大切です。
面接で短所を聞かれたときの答え方
企業側は短所を聞くことによって「あなたのことを良く知りたい」「自分のことを客観的に見ることができているのか知りたい」と思っています。
また、短所をふまえたうえで「自社の雰囲気に合うか」や「課題を解決する力があるのか」もチェックされていると考えましょう。
回答するときのポイントは、工夫や努力でカバーしていることも交えて伝えることです。
例えば「1つのことに集中しすぎる」という点が短所だとしましょう。
この場合、工夫や努力としては「あらかじめ取り組む時間を決めるように心掛けている」という内容が挙げられます。
そうすると、「1つのことに集中しすぎるという点が自分の短所だと考えています。そのため、何か物事に集中する必要がある場合には、あらかじめ取り組む時間を決めるように心掛けています。」というように伝えることができるでしょう。
上記はあくまで一例ですが、このように、短所だけでなく工夫や努力を一緒に伝えることで、好印象に繋がる可能性がアップします。
短所は長所の裏返しであることも
短所と聞くとネガティブな印象を受けますが、実は長所の裏返しでもあります。
例えば、下記の例が挙げられます。
一見、短所に見えても、見方や状況が変われば長所になり、強みに変わるというものは数多くあります。
自分の短所についても、企業のニーズに対して、どうやったら強みに変えて活かせるか?を考えてみるのもいいかもしれません。
障害のある方が就職や転職をする際、自己PRの作成で意識したい点について解説します。
また、自己PRの作成を含め、就職活動に行き詰ったり、不安を感じたりしているときに利用できる支援も合わせてご紹介します。
障害者雇用とは、障害のある方一人ひとりの特性に合わせた働き方ができるように、企業や自治体などが障害のある方を雇用する制度のことです。
障害者雇用を利用して就職・転職する場合、自己PRを作るときのポイントは「障害を乗り越えたエピソード」以外の内容を作成することです。
障害に対しての努力や経験を自己PRにすることが、ダメなわけではありません。
しかし、障害者雇用の場合、面接の中でも障害について聞かれることが多いため、自己PRのメインが障害のことだと、話が被ってしまうことがあります。
せっかくなら、異なるエピソードを伝えて、より詳しくあなたのことを知ってもらった方が、限られた時間の中で有効的に企業へアピールできるでしょう。
そのため、自己PRは、自分の性格や長所、能力をメインにした内容に仕上げましょう。
また、障害者雇用以外の場合と同様に、自分の性格や能力が企業のニーズ(求めるもの)に合っているという点を伝えることが大切です。
もちろん、上記の中に、少し障害の話が含まれていても問題ありません。
障害のある方の就労をサポートする施設の一つに、就労移行支援事業所があります。
サポート内容は事業所によって幅広く、自己PRの添削や面接練習などのほか、自己分析に関するセミナーなどもおこなっています。
「LITALICOワークス」は、全国各地へ就労移行支援事業所を展開し、さまざまな角度から就労に関するサポートをしています。
就職活動中の期間だけでなく、就職後にも職場定着支援として働き続けるサポートをおこなっています。
気になる方はぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。
自己PRや自己分析が苦手な方へ向けて、パターン別に工夫点や対処法をご紹介します。
自己PRを書いてはみたものの「これでいいのだろうか」と不安になる場合は、添削サービスの利用を検討しましょう。
添削サービスを利用すると、自己PRの内容について、プロからアドバイスしてもらえます。
オンライン上のやりとりで完結するため、わざわざどこかへ出向く必要はありません。
金額は会社によってさまざまですが、無料で対応しているところもあります。
とくに、求人サイトを運営している大手会社のサービスであれば、安心して利用できます。
自己PRの作成をしていて「そもそも自分の性格がよく分からない」と思ったら、自己分析ツールを活用してみるのもいいでしょう。
例えば、各求人サイトが用意している「性格診断テスト」や「適職診断テスト」などです。
いくつかの質問に答えるだけで、考え方や性格、向いている職業などが表示されるため、自分でも知らなかった一面を発見できるかもしれません。
自己PRの作成はできたものの、アピールポイントに自信が持てない場合、下記の考えに捉われている可能性があります。
しかし「素晴らしい営業成績や華やかな経験(全国大会出場など)がないと、採用にならない」なんてことはありません。
会社が知りたいのは「応募者がどんな風にすごい人なのか」ではなく「応募者の強みを自社で活かせるかどうか」であり、あなたの自慢話を聞きたいわけではありません。
また、伝え方や見せ方も大切です。
もしも「周りと比べて自分のアピールポイントは弱いかも…」と思った場合は、企業のニーズに合わせて、自分のどの強みがどう活かせるか、それによって企業はどのような利点があるか、を今一度考え直してみるといいでしょう。
自己PRは、企業へ「自分を雇う利点」を伝える大切な項目です。
思いついたままに書くのではなく、時間をかけ、手順を踏んでしっかりと作成しましょう。
また、履歴書に自己PRの記入欄がない場合も「必要なさそう」と安心はできません。
なぜなら、面接時に聞かれるパターンがあるからです。
就職や転職活動をスムーズにおこなうためにも、自己PRは必ず準備しておきましょう。
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