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お役立ち仕事コラム

適応障害で休職したときの過ごし方や期間とは?休職後(復職・転職・退職)におけるポイントや活用できる支援機関など解説

更新日:2023/11/17

適応障害(適応反応症)(※)はストレスによって気分の落ち込みや倦怠感・不眠などの症状が表れている状態のことをいいます。

 

特に仕事のストレスがきっかけで適応障害(適応反応症)が発症し、自宅安静のため休職に入られる方が多いといわれています。しかし、どのように休職期間を過ごしたら良いのか、休職後の働き方はどうしたら良いのかといったようなお悩みを持たれる方が多いのではないでしょうか。

 

この記事では、適応障害(適応反応症)の症状や治療方法をはじめ、休職中の過ごし方のポイントや再就職を目指す方のための支援先のご紹介、適応障害(適応反応症)が発症して再就職を目指すまでの事例など、幅広くご紹介します。

 

(※)適応障害は現在、「適応反応症」という診断名となっていますが、最新版『DSM-5-TR』以前の診断名である「適応障害」といわれることが多くあるため、ここでは「適応障害(適応反応症)」と表記します。

適応障害(適応反応症)とは?症状やうつ病との違いは?

適応障害(適応反応症)とは

適応障害(適応反応症)とは、ストレスによって心身に症状が表れます。その症状によって、仕事にいけなくなったり集中力が低下したりするなど、社会生活にも影響します。

 

適応障害(適応反応症)はストレスが解消できれば回復できる傾向がありますが、一方でストレスが取り除けず、症状が慢性化してしまう場合もあります。慢性化すると、症状が悪化し、うつ病やパニック症など心身に影響が出てしまいます。

 

そのため、適応障害(適応反応症)が発症したら、まず回復・再発防止に専念していくことが大切です。

適応障害(適応反応症)の症状

適応障害(適応反応症)の症状は人によってさまざまで、特に抑うつ気分や不安、素行の問題がみられることが多いといわれています。

 

<適応障害(適応反応症)によくみられる症状>

  • 身体症状
    眠れない、倦怠感、喉の異物感、胸の圧迫感、息苦しい、動悸、頭痛、咳 など
  • 心理
    気分の落ち込み、涙がでる、絶望感、混乱、心配、焦燥感、やる気がなくなる など
  • 素行の異常
    無断欠勤、遅刻がちになる、無謀な運転をする、酒浸りになる など

適応障害(適応反応症)とうつ病との違いは?

前述に述べた症状はうつ病の症状でも見られますが、それらを区別するポイントの一つとしてストレスが関わっているかどうかです。

 

適応障害(適応反応症)の場合、ストレスが原因で発症しますが、ストレスを解決 もしくは 回避できれば改善に向かうことができます。

一方でうつ病はストレスから離れていても改善が見られないことが多いといわれています。

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適応障害(適応反応症)の治療方法とは?

適応障害(適応反応症)はストレスがきっかけで発症する病気です。

そのため、ストレスとなっているものから離れ、回復に専念することが大切です。

原因となるストレスを明らかにする

まず原因となるストレスを明確にすることが大切です。

最近ストレスとなっているようなものはなかったのか、紙に書き出してみると良いでしょう。

 

原因のストレスが明確になったら、解決するための方法があるか(例:環境を変えるなど)、もしあれば行動を起こしてみます。

薬物療法

不安や抑うつなどが強くてつらい場合、これらの症状を和らげるための薬物療法を行うことがあります。

精神療法

ストレスの受け止め方を変えることで気持ちを楽にしていくことを目的とした精神療法があります。

 

認知行動療法やマインドフルネスなどもその一つです。

精神療法を通じて、セルフコントロールやストレス耐性を高めていくことで、適応障害(適応反応症)の回復だけではなく再発予防にもつながります。

 

生活療法

症状が発症すると生活リズムが乱れてしまいがちで、回復のためには生活リズムを整えることが大切です。

起床、就寝、食事の時間を一定にして、適度に体を動かしていくと良いでしょう。

 

適応障害(適応反応症)になった時は休職しても良い?休職期間はどのくらい?平均や目安は?

適応障害(適応反応症)と診断されたときは

適応障害(適応反応症)はストレスが関与しているため、まず原因となるストレスから離れ、回復に専念することが大切です。

ストレス源が職場にある場合、適応障害(適応反応症)の回復に向けて、できる範囲で休職の制度など使って休めると良いでしょう。

 

休むことに対する罪悪感や責任感がある方もおられるもしれませんが、休むこと自体は決して甘えでもなくめずらしいことでもありません。

適応障害(適応反応症)はうつ病や不安障害などの予備軍であるといわれているため、適応障害(適応反応症)の段階で対策をたてることが大切です。

 

自分の体調を第一に考えるようにしましょう。

休職について

休職制度の制定は義務ではなく、会社の判断で自由に決められます。

そのため、休職制度の有無や休職できる期間などは会社によって異なります。

社内規定などで確認した上、上司や人事・労務担当者、産業保健スタッフ(産業医・保健師)へ相談してみてください。

休職期間について

適応障害(適応反応症)の回復に向けて、心身と共に回復ができるまで相当の時間がかかります。

また、適応障害(適応反応症)の回復だけではなく、再発防止の対処法を身につける必要があるため、思い切って長期間休むことが大切です。

目安としては、最低でも1ヶ月、理想的には3ヶ月、リワークなどを利用する場合は6ヶ月以上必要となる場合があるといわれています。

 

初めは様子を見るために診断書には「1ヶ月自宅安静」となる場合がありますが、本人の状況をみて更新することが多いようです。

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休職期間における経済的なサポートについて

休職期間中の給与制度は会社によって異なりますが、無給であることの方が多いかもしれません。

その場合、条件を満たせば活用できる経済的なサポートとして「傷病手当」や「自立支援医療」があります。

傷病手当金

病気やケガのために会社を休み、会社から十分な報酬が受けられない場合、傷病手当金が受けられます。

ただし、受給条件を満たす必要があるため、傷病手当金の詳細は会社の人事労務担当者や健康保険の窓口などでご確認ください。

自立支援医療(精神通院医療)

治療にかかる医療費の自己負担を少なくする制度です。

通常の医療費が原則3割負担なのに対して、自立支援医療制度を利用すると原則1割負担となります。詳細はお住まいの自治体の障害福祉課などの窓口でご確認ください。

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適応障害(適応反応症)で休職中の過ごし方におけるポイントとは?

適応障害(適応反応症)と診断され、休職に入ってみたが、仕事のことが気になって心身が休まらなかったり、休職中でどのように過ごしたら良いか分からないといったようなお悩みを持たれる方が多いのではないでしょうか。

 

休職中における過ごし方は大きく分けて「休養期」「活動期」「復職期」があるといわれています。また各期における期間が均等である必要ではなく、与えられた休職期間の中で それぞれ適切に過ごすことがポイントになりますので、ぜひ参考にしてみてください。

休養期

<この時期は…>

これまでのストレスによって心身と共に疲弊している状態です。

そのため、一度自分をリセットし「何もしないこと」を積極的にしていくと良いでしょう。

 

<過ごし方の例>

寝たいときは寝る、食べたいときは食べる、音楽を聞きたければ聞く、テレビを見たければ見る など

 

<ポイント>

  • 休職に入っても仕事が気になってしまいがちですが、ストレス源となっている仕事から思い切って離れ、休むことが大切です。休職中に必要な事務的な連絡など除いてすべてシャットダウンして気持ちを切り替えられるようにすると良いでしょう。
  • 少しの回復で何でもできそうと思っても、安静を優先してゆっくり過ごすと良いでしょう。

<次の時期に入るポイント>

食欲や頭痛やめまいなどの改善ができ、「動きたい」という欲求が少しずつ自然に出てきたら、次のステップ「活動期」に入るころといわれています。

 

活動期

<この時期は…>

自分が「楽しい・面白い」と思えることを中心に少しずつ活動量を増やしていきます。

 

<過ごし方の例>

ウォーキング、手芸、カフェで過ごす、本を読む、買い物する など

 

<ポイント>

  • 休養期で筋力も衰えている状況のため、いきなり大きなことを始めるのではなく、少しずつ活動量を増やすことを心がけるようにしましょう。
  • 資格をとるための勉強などの行動は無理のない範囲でおこないましょう。
  • 目的に向かうための努力をしなければいけず、苦しくなってしまうこともあります。あくまでも自分が楽しいと思えることをしましょう。

 

少しずつ活動できるようになったら、今後は適応障害(適応反応症)の再発防止策を考えてみます。

前章で解説したようにストレスとなっているものを明確にしましょう。

 

その上、主治医や臨床心理士などと相談しながら生活療法や精神療法を進めてみてください。

 

<次の時期に入るポイント>

そろそろ「働きたい」という欲求が出てきたら、次のステップ「復職期」に入るころといわれています。

ただし「働なければいけない」などの義務感に追われていると苦しくなる場合がありますので、あくまでも「働きたい」という欲求でみていきましょう。

復職期

<この時期は…>

復職に向けて、生活リズムを職場のリズムに戻す時期です。

 

<過ごし方の例>

睡眠のリズムを整える、通勤する練習 など

 

<ポイント>

  • 適応障害(適応反応症)の再発防止のため、復職後の職場環境調整について、産業医や人事担当者、上司などじっくりと話し合うことが大切です。
  • 職場調整の一例として「残業や休日勤務を避ける」「時短勤務からスタートする」「業務量・時間の調整」「配置転換」「上司との定期的な面談」などが挙げられます。

 

復職が近づくと不安が大きくなってしまいがちです。その不安は休職の中で最も大きいものであり、無理もないことです。

 

復職後はついつい元気なころの自分をイメージしてしまいがちですが、あくまでも病後のため、以前のようにできなくても当然と割り切り、自らのハードルを下げることで少しは楽になるかもしれません。

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適応障害(適応反応症)の方の復職を支援するリワークとは?

休職中に活用できる支援機関として「職場復帰支援プログラム(リワークプログラム)」というものがあります。都道府県や病院の精神科などがおこなっているもので、復職の準備として受ける支援プログラムのことです。

 

事業所によって内容はさまざまですが、例えば心理教育やカウンセリング、仕事を想定したパソコン作業などがあります。

 

職場復帰支援プログラム(リワークプログラム)におけるメリットは、働いていたときの生活リズムを取り戻す、ほかの休職者とのコミュニケーションを取ることができる、などが挙げられます。

適応障害(適応反応症)で退職・転職する支援先のご紹介

上記のように復職される方がいる一方で、職場へ打診しても中小企業において業務の調整が難しかったりなどで、退職・転職の道を選ばれる方もおられます。退職・転職という選択肢は大きな決断になる上、新しい環境に馴染むための負担もかかります。

 

そのため、ひとりで抱え込まず、周囲の方々やご家族など相談しながら慎重に進めていくと良いでしょう。また適応障害(適応反応症)の方が活用できる支援先など視野にいれてみるのもおすすめです。

 

ここでは、適応障害(適応反応症)の方が活用できる支援先の一部をご紹介します。

ハローワーク

ハローワークは一般窓口だけではなく、障害のある方のための「障害者相談窓口」もあります。

ハローワークの障害者相談窓口では、障害への専門的な知識がある担当者が就職相談や求人探しなど幅広くサポートします。障害者手帳がなくても相談することはできます。

就労移行支援事業所

一般企業の就職を目指す障害のある方(65歳未満)を対象に、就職に向けてのサポートを行う場所です。

 

就職活動のサポートをはじめ、安定して働くためにストレス対処法を身につけたり、企業インターンで自分に合う職場環境を見つけたり、就職した後も長く働き続けられるようなサポートも行っています。就労移行支援事業所では、障害者手帳がなくても、医師や自治体の判断などにより、就職に困難が認められる方も利用できる場合があります。

 

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就労移行支援事業所「LITALICOワークス」

無理のない働き方をサポート「LITALICOワークス」

 

LITALICOワークスは各地で就労移行支援事業所を運営し、障害のある方の「働きたい」をサポートしています。LITALICOワークスでは一人ひとりの症状や得意不得意、希望する就職などを伺い、計画を立てたうえで支援をおこないます。

 

例えば以下のようなサポートを行なっています。

  • プログラムを通して自己理解を深め、ストレスコントロールを身につける
  • 企業インターンを通して、自分が安心して働けるような職場環境を探す
  • 就職後、本人と職場の定期的な面談を通して長く働きつづけるためのサポートを行う など

障害を開示するかどうかで悩んでいる場合でも、上記のような取り組みを通して自分に合う働き方を就労支援のスタッフと一緒に検討することもできます。その結果、障害を開示せず働くこととなった場合でも長く働き続けられるようサポートをおこないます。

 

LITALICOワークスは休職中の方も一定条件を満たせば利用できる可能性があります。相談は無料で随時受け付けていますので、「退職しようか悩んでいる」「復帰したあとの働き方がわからない」という方は、ぜひ一度お問い合わせください。

 

【無料】LITALICOワークスで受けれられるサポートについて相談する

適応障害(適応反応症)を発症し、再就職を目指したAさんの事例

新卒で入社した職場は常に周りの人が忙しく、相談がしにくい環境でした。

 

Aさんは仕事を1人でやらなければいけず、また残業が多い日が重なり、ストレスがたまったことがきっかけで適応障害(適応反応症)が発症し、休職しました。

これからどうしようか悩んでいたときにLITALICOワークスを見つけ、相談することにしました。すると、LITALICOワークスは職場復帰支援プログラム(リワークプログラム)として活用することができると分かり、利用することにしました。

 

Aさんは「体調安定」に向けて、体調が悪化しやすい原因や無理のない働き方はどういったものなのかを把握する必要がありました。そのため、LITALICOワークスでは、ストレスマネジメントを中心に、毎日その日の疲労度・行動を記録に残し、就労支援スタッフと共に振り返りを行い、整理していきました。

Aさんは、体調が安定しながら働くためには、自己管理と職場からのサポートが必要だと感じました。

 

その後、復職に向けて、企業と就労支援スタッフとの間で面談をおこない、Aさんが働きやすいように職場環境を調整していきました。

 

復職後、Aさんが見通しを持てるように余裕のある期日を設定するといったような業務設計をしていただきつつ、睡眠時間が6時間未満の日々が3日続いたり、不安があったときは定期面談で相談するといったようなサポートをうけながら、Aさんは体調を安定しながら安心して働けています。

 

※就労移行支援事業所で職場復帰支援プログラム(リワークプログラム)を受けられるかどうかはお住まいの自治体によって異なりますので、まずはLITALICOワークスまでご相談ください。

適応障害(適応反応症)で休職した時のまとめ

適応障害(適応反応症)はストレスによって気分の落ち込みや倦怠感・不眠などの症状が表れている状態のことをいいます。適応障害(適応反応症)が発症したときはストレスとなるようなものから離れ、しっかり回復した上で今後の再発防止のためにストレス対処法を身につけたり、職場環境など調整していく必要があります。

 

特に働いている方は、適応障害(適応反応症)が発症した後どうしていくかというところで悩ましいことでもあります。しかし、自分ひとりで頑張りすぎず、周りにいる主治医やカウンセラーなどへ相談してみる、また支援先の活用も視野にいれてみるといったように、頼れるものはぜひ頼ってみてください。

 

LITALICOワークスでは、再就職をサポートすることはもちろん、職場復帰支援プログラム(リワークプログラム)を活用できる場合もあります。まずは利用の有無を問わず、ぜひお気軽にご相談ください。

更新日:2023/11/17 公開日:2021/10/05
  • 監修

    医学博士/精神科専門医/精神保健指定医/日本産業衛生学会指導医/労働衛生コンサルタント

    染村 宏法

    大手企業の専属産業医、大学病院での精神科勤務を経て、現在は精神科外来診療と複数企業の産業医活動を行っている。また北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場のコミュニケーション、認知行動療法、睡眠衛生に関する研究や教育に携わった。

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