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お役立ち仕事コラム

うつ病の人が転職・再就職を考えるときに大事なポイント、支援制度、体験談を紹介

更新日:2024/06/29

うつ病の方の中には、転職や退職を考えているものの、なかなか次の一歩に踏み切れないというお悩みのある方もいるかもしれません。まず大前提として、転職や退職は大きな決断となるため、うつ病の症状が落ち着いてから慎重に進めていくことが大切です。

 

この記事では、うつ病の治療をしながら転職や再就職を考えている方が、まず押さえておきたいポイントや、実際に動き出す前にしておくといいことについてまとめました。

 

金銭的なサポートやうつ病の方が利用できる相談先、実際に転職をした方の体験談なども合わせて紹介します。

うつ病の方が転職・再就職を考えているときに押さえたいポイント

この章では、うつ病の治療をしている方が、転職や再就職に向けて動き出す前に押さえておきたいポイントについて紹介します。

焦って決断をしない

現在就業中の方の場合「周囲に迷惑をかけている」と考えたり、休職中の場合は「休職期間が長引くと転職に不利なのでは」と考えたりして、転職を急ぐ方もいるかもしれません。

 

しかし、うつ病の症状が強く出ているときには、冷静な判断が困難であったり、普段しないような極端な決断をしてしまったりすることもあるため、「大事な決断をしない」ことが大切です。

 

まずは一度立ち止まり、大事な決断は症状が落ち着いてからするようにしましょう。

一人で判断をしない

焦って決断をしないことと同様に、大事な決断を一人でしないことも大切です。

 

うつ病の症状が強く出ているときは、悲観的な考え方になったり、退職や転職などのときにも「この道しか残されていない」というように捉えてしまったりすることがあります。

 

今に限らず、今後のことも含めて冷静な決断をするためにも、家族や友だち、主治医などに相談をするようにしましょう。その際「自分にとって信頼できる相手」に話をすることが大切です。

 

例えば、インターネットやSNSなどにはいろいろな情報があふれています。それらの意見を取り入れすぎてしまうと余計に迷ってしまい、判断ができなくなる可能性も考えられます。

 

もし、身近に気軽に相談できる相手がいない場合には、うつ病の方が利用できる支援機関もありますので、相談してみるのもいいでしょう。この記事でも紹介していますので、参考にしてみてください。

うつ病で転職・再就職を進める前にしておきたいポイント

うつ病は、しっかりと治療を続ければ回復が見込めますが、再発率の高い病気でもあります。厚生労働省の調査によると約60%の方が再発するといわれています。そのため、適切な治療を続けながら、無理なく働けるように環境を調整することも大切です。次の章よりポイントを紹介します。

うつ病の治療を続ける

うつ病の治療には、大きく分けると「休養」「薬物療法(服薬などによる治療)」「精神療法・カウンセリング」の3つがあります。

 

うつ病の症状が強く出ている場合には、心理的なストレスや疲れを溜めている可能性が高いため、まずは心身を休めることが大切です。

 

「休む」の程度は人それぞれですが、残業を極力抑えたり、必要に応じて休職を検討したりするなどが考えられるでしょう。

 

また、うつ病の治療には「精神療法・カウンセリング」を用いる場合もあります。主に再発予防の観点から、考え方や行動を見直すことを目的に実施します。

 

なお、うつ病はなんらかのストレスや疲れなどが原因となり、脳がうまく機能しなくなっている状態のため、脳の機能を改善するために「薬物療法(服薬などによる治療)」を用いる場合もあります。

 

服薬の効果がなかなか表れず、副作用がつらくて中断してしまう方もいますが、自己判断で服薬を止めたり減らしたりしてしまうことは症状悪化につながる恐れもあります。どうしても服薬を続けることに抵抗がある場合には、必ず主治医に相談をするようにしましょう。

自己分析をする

転職活動や再就職を進める前には、自己分析や業界・職種研究、自分の強みなどを知ることに加えて、「自分に合った仕事や環境」について整理することも大切です。ストレスを感じやすい状況を振り返り、ストレスを感じるとどのようなサインが表れる傾向があるかなどを理解しておくことも必要でしょう。

 

例えば、以下のようなサインが表れる場合があります。

  • 気分が落ち込み、物事に対して悲観的になる
  • これまで楽しめていたことにも興味が持てなくなる
  • 思考力の低下
  • 自分に価値がないと感じる
  • イライラして落ち着かない
  • 漠然と不安があり、常にそわそわする
  • 今までできていたことも頭が回らずに判断ができなくなる
  • 食欲がなく体重が減る、または食欲が増えて体重が増える
  • 疲れているはずなのに眠れなくなる
  • 眠りが浅くて夜中に何度も目が覚めてしまう
  • 頭痛、めまい、微熱などの症状が続く
  • どれだけ寝ても疲れが取れず疲労感がある など

これらはあくまでも一例ですが、どのようなサインが出やすいかを理解しておくことで、再発や症状の悪化を予防することにもつながります。

 

「ストレスのサインが自分では分からない」という方は、身近な人に聞いてみたり、以下のようなセルフチェックを活用してみるのもいいでしょう。

働き方を考える

「働きやすさ」は人によってさまざまです。そのため、自分の特性を把握したうえで、自分に合った働きやすい環境を探していきましょう。

 

例えば、通勤ラッシュがストレスになる方は、オフピーク通勤の配慮を相談したり、多少迂回しても空いている通勤ルートを探したりしてみましょう。フレックスタイムや在宅勤務を導入している仕事を選ぶという選択肢もあります。人との関わりが多いと疲れてしまう方は、自分のペースで黙々と進められる仕事を選ぶといいかもしれません。

 

もちろん、理想がすべて叶う職場を見つけることは安易ではありませんが、「譲れない条件」と「譲れる条件」を整理して考えることも大切です。例えば「勤務時間の理想は9時からだが、在宅勤務が可能であれば8時開始でもOK」などのように、いくつかの選択肢を持っておきましょう。このように自己理解や働き方を考えていくことで、やはり退職して転職した方がよいのか、それとも今の職場に復職してできそうなことがあるかについて整理することもできるでしょう。

うつ病治療中の経済面の支援を活用する

うつ病の治療中はなるべく負荷をかけずに療養することが大切ですが、休職中や療養中には、経済面での不安を覚える方もいると思います。

 

ここではうつ病の治療中に経済面での助けとなる制度などを紹介します。

 

自立支援医療(精神通院医療)

自立支援医療(精神通院医療)とは、精神疾患などの通院にかかる費用の自己負担が軽減される制度のことです。

通常は公的医療保険で医療費が原則3割負担のところ、制度を利用すると原則1割負担になります。

 

利用するには申請が必要となりますので、お住まいの自治体の障害福祉課などの窓口へお問い合わせください。

 

傷病手当金

社会保険に加入していて、うつ病などにより仕事ができない期間に給与の支払いが十分でない場合は、傷病手当金を受給できる可能性もあります。受給するためには以下の4つの条件を満たすことが必要です。

  • 業務外の事由による病気やケガの療養である
  • 病気やケガの療養で仕事に就くことができない
  • 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかった
  • 療養により休業した期間について給与の支払いがない

傷病手当金の受給対象になるかどうか確認したい方は、人事部や健康保険組合に相談してみましょう。

 

障害年金

病気やけがにより、仕事や生活になんらかの支障が出ている場合に受給できる公的な年金です。障害者手帳がなくても申請することができ、うつ病の方も要件を満たせば申請可能です。

受給にはいくつか要件がありますので、詳細は年金事務所などにお問い合わせください。

 

障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)

なんらかの障害があり、長期的に仕事や生活への制約のある方が申請できる手帳です。うつ病の方は精神障害者保健福祉手帳が交付対象となります。交付されると税金などの控除を受けられたり、地域によっては電車やバスなどの公共料金の割引を受けたりします。詳細はお住まいの自治体の障害福祉課などへお問い合わせください。

うつ病で転職・再就職をする場合に障害者雇用で働くことも考える

うつ病で転職や再就職をする場合は、障害者雇用で働くという選択肢もあります。

 

障害者雇用とは、障害のある人が一人ひとりの特性に合わせた働き方ができるよう、企業や自治体などが障害のある人を雇用することです。

 

障害のある人が働く機会を得やすくするために「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」によって定められています。一定数以上の従業員がいる企業や自治体などには、一定の割合以上で障害のある人を雇用することや、合理的配慮を提供することが義務付けられています。うつ病などの精神疾患がある方も、障害者手帳を取得していれば対象となります。

 

障害者雇用の場合は障害を開示して働くため、一般雇用よりも配慮を受けやすくなることもあります。無理なく働き続けたい方は検討してみてもいいでしょう。参考までに、障害者雇用で就職した人の1年後の職場定着率は、一般雇用で就職した人よりも高いという調査報告もあります。

  • 障害者雇用:64.2%
  • 一般雇用(障害開示):45.1%
  • 一般雇用(障害非開示):27.7%

 

出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「障害者の就業状況等に関する調査研究」

 

障害者雇用で働く場合には、障害や疾患について理解を得やすいというメリットがある一方で、求人の選択肢は一般雇用よりも少ない傾向があります。

一般雇用の場合は求人数が多いため、働く選択肢が広がりキャリアアップも望みやすくなりますが、障害や疾患について職場に開示するかどうかは個人の選択に委ねられています。それぞれのメリットと懸念点を比較したうえで、自分に合った働き方を考えることが大切です。

 

障害について開示する場合としない場合のメリット・デメリットは、以下の記事にまとめています。参考までにご覧ください。

障害者雇用で働くためには障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳など)の取得が必要です。なお、障害者手帳を取得しても必ず障害者雇用で働かなければいけないということはありません。選択肢が増えると考えるといいでしょう。

うつ病で転職・再就職する際に活用できる支援機関

うつ病の方が働く際に活用できる支援機関があります。障害や体調について相談したり、支援を受けたりすることができますので、問い合わせてみるといいでしょう。

ハローワーク

ハローワークには障害者相談窓口(専門援助部門など)があります。障害への専門的な知識のある担当者が、求人の紹介だけでなく応募書類作成や面接対策などの相談に乗ってくれるほか、就職した後の職場定着まで幅広くサポートをおこなっています。


一般求人と障害者求人のうちどちらが自分に合うのか分からずに悩んでいる方も、まずは障害者相談窓口(専門援助部門など)で相談してみてもいいかもしれません。

地域障害者職業センター

障害のある方に、就職前の準備から就職後に長く働き続けるための支援まで、幅広いサポートを提供している機関です。

 

「職業相談」で目標達成に向けた課題を整理し、「職業評価」で現状分析をしたうえで、支援計画(職業リハビリテーション計画)を策定します。就職した後、本人と企業の双方が働きやすくなるよう一定期間(標準:2~4ヶ月)職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援を実施しています。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、障害のある方のうち、一般企業などへの就職が可能だと見込まれる方が利用できるサービスです。障害者手帳を持っていなくても、働くことに相応の障害(困難さ)があると認められる場合には利用できます。自己分析や就職に向けたスキルの向上を目指し、各事業所ごとにさまざまなカリキュラムが用意されています。

 

また、自分に合った職場環境を知るための企業インターンや、就職した後も安定して働き続けるための定着支援などもおこなっています。定着支援では、就職してから最大で3年6ヶ月までサポートが受けられます。(※)

 

(※)就労移行支援事業所で就職後6ヶ月まで継続してサポートします。就職後7ヶ月~3年6ヶ月の期間については本人の利用意思があれば「就労定着支援」を受けることができます。(詳しくは就労定着支援に関するページをご確認ください)

就労移行支援事業所「LITALICOワークス」

 

LITALICOワークスでは、これまで14,000人以上の方の就職を支援してきており、うつ病の方のサポートも数多くおこなってきました。

 

具体的には、ストレスとの上手な付き合い方を考える「ストレスマネジメントプログラム」や、自分の得手不得手を分析する「自己理解プログラム」などを提供しています。職場でのヘルプの出し方や、対応が難しい場合の断り方などを身につけられるなど、うつ病の方の再就職に役立つカリキュラムを豊富に用意しています。

 

また、全国に130拠点以上展開しており、各拠点同士のネットワークを活用し、企業との連携に力を入れていることも特徴のひとつです。企業インターン先も多く、復職後を見据えて、自分にあった職場環境や業務内容を再確認することができます。

 

そのほか、長く働き続けるための「定着支援」もおこなっているため、就職準備~就職後まで、幅広くサポートを受けることができます。

 

リワーク支援もおこなっていますので、休職中の方もお気軽にご相談ください。

うつ病で転職・再就職をした体験談

この章ではうつ病の方で、転職・再就職をした事例を2つ紹介します。

転職をしたKさん(40代女性)の事例

アパレル企業で事務の仕事をしていたKさんは、あるときから不眠に悩まされるようになりました。睡眠不足で業務にも支障が出たことに加え、ストレスから一時は10キロ近く痩せるなど大幅な体重の減少も起こりました。そこで友だちからの勧めにより精神科で診察を受け、うつ病という診断を受けました。

 

休養と服薬などによる治療で症状が落ち着いてから、治療の一環としてカウンセリングを受けた際に、発症までの流れを振り返ってみると現在の仕事が自分に合っていないことが原因だと思い当たりました。

 

そこで、自分に合った仕事を見つけるために就労移行支援事業所「LITALICOワークス」を利用。最初は「一般雇用」「障害者雇用」のどちらで働くか迷っていたKさん。それぞれのメリット・デメリットをスタッフと整理をし、企業インターンにも参加しながら、どちらのほうが自分に合うかを考えていきました。

 

その結果、周りの方に理解のある職場でサポートを受けられるほうが働きやすくなると分かり、障害者雇用で働くことを決意します。

 

そこから、具体的に必要な配慮や自分でできる対処法の整理をしながら、精神障害者保健福祉手帳を取得し、ハローワークの障害者相談窓口で相談をおこないながら転職先を探していきました。

 

その中で以前から興味があった福祉業界で事務のスキルを生かせる職場が見つかったため、ハローワークを通じて応募をしたところ採用となりました。

 

新しい職場では、時短勤務から開始するなど無理のない働き方を実現できており、安定して働き続けています。

再就職をしたMさん(30代男性)の事例

30代で転職をしたMさん、最初は周りについていこうと必死に頑張っていましたが、3ヶ月経った頃から朝起きると憂うつ感を覚えるようになりました。そしてあるときベッドから起き上がることができずに欠勤をしました。

そのあとも、「身体が重い」「気分が落ち込む」「ケアレスミスが増える」などの状態が続き、心療内科を受診したところ、うつ病と診断され休職をすることにしました。

 

休職中は服薬などで治療をおこないましたが、職場のことが気になり、なかなか回復しなかったため、一度退職をして治療に専念することになりました。

 

1年ほど治療をおこない、回復してきたところで主治医からの勧めにより障害者雇用で働くことを考え、精神障害者保健福祉手帳を取得しました。

 

また体調を崩したらどうしようという不安があったため、体調を安定させて就職に向けた準備を整えるために就労移行支援事業所「LITALICOワークス」に通うことを決意します。

 

LITALICOワークスのプログラムの受講を通して、ストレスとの無理のない付き合い方を学んだり、パソコンを使ったプログラムなどにも積極的に取り組んだりと、スキル向上を目指しました。

 

実際の転職活動では、LITALICOワークスに週5日休まずに通えていたことや、パソコンプログラムで取り組んできた実績をアピール。また、採用前に企業インターンを実施して、実際に働いている姿を見てもらう期間をつくりました。

 

その結果、無事に採用が決まりました。現在も困ったときはLITALICOワークスに相談しています。パソコンスキルが活かせる業務でスキルアップしながら、長く働き続けることができています。

 

※プライバシーの観点から事実を編集・再構成しております。

うつ病で転職・再就職する場合のまとめ

うつ病で転職や再就職を考えている方の中には「早く次の仕事を見つけなくては」と焦る気持ちがある方もいるかもしれません。

 

しかし、うつ病の症状が不安定なときに大事な決断をすると、後悔をしてしまう場合もあります。まずはしっかりと休養をしたうえで、これまでの経験を振り返りながら、自分に合った仕事を考えてみるといいでしょう。

 

その際には一人で抱え込まずに、身近な人を頼ったり、今回ご紹介したようなサポート機関を活用したりすることもおすすめです。

 

LITALICOワークスでは、現在働いている方や休職中の方、離職中の方など、どなたでも相談を受け付けています。一人ひとりに合わせたサポートをおこなっていますので、お気軽にお問い合わせください。

更新日:2024/06/29 公開日:2021/12/27
  • 監修

    医学博士/精神科専門医/精神保健指定医/日本産業衛生学会指導医/労働衛生コンサルタント

    染村 宏法

    大手企業の専属産業医、大学病院での精神科勤務を経て、現在は精神科外来診療と複数企業の産業医活動を行っている。また北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場のコミュニケーション、認知行動療法、睡眠衛生に関する研究や教育に携わった。

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