就労移行支援は、障害のある方が就職のために必要なスキル取得や就職活動に取り組む、通所型の事業所のことです。
就労移行支援を利用するには「受給者証」が必要となりますが、「障害者手帳とは違うものなの?」「どこに申請すればいいの?」など疑問に思っている方もいると思います。
この記事では、就労移行支援の利用に必要な受給者証について、概要や記載内容、障害者手帳との違い、申請から発行の流れなどを紹介します。
就労移行支援は、障害のある方が就職のために必要なスキル取得や就職活動に取り組む、通所型の事業所のことです。
就労移行支援を利用するには「受給者証」が必要となりますが、「障害者手帳とは違うものなの?」「どこに申請すればいいの?」など疑問に思っている方もいると思います。
この記事では、就労移行支援の利用に必要な受給者証について、概要や記載内容、障害者手帳との違い、申請から発行の流れなどを紹介します。
目次
就労移行支援の利用を検討している方の中で、利用するには「受給者証」が必要と目にした方も多いと思います。
受給者証とは、正式には「障害福祉サービス受給者証(※)」という名称で、就労移行支援を含む障害福祉サービスを利用するのに必要となるものです。
(※)この記事では、基本的に障害福祉サービス受給者証を「受給者証」と表記いたします。
受給者証は利用したい障害福祉サービスがあるときに、お住まいの自治体に申請して発行してもらいます。
受給者証という言葉はあまり聞きなれないことや障害者手帳との違いがよく分からないという場合もあると思いますので、順番に説明していきます。
まずは就労移行支援について紹介します。就労移行支援は、障害のある方の支援を定めた障害者総合支援法という法律の中の、障害福祉サービスのひとつです。
就労移行支援では、障害や難病のある65歳未満の方が一般企業などへの就職を目指し、スタッフのサポートを受けながら業務スキルの取得や体調管理などのプログラムや、就職活動に取り組んでいきます。
就職した後も「就労定着支援(※)」として、困ったことがあったときの相談対応や、企業と本人の間に入って職場環境の調整をするといったサポートもおこなっています。
(※)就労移行支援を含む福祉サービスを利用していた事業所で就職後6ヶ月まで継続してサポートします。就職後7ヶ月~3年6ヶ月の期間についてはご本人の利用意思があれば、就労定着支援を受けることができます。(詳しくは就労定着支援に関するページをご確認ください)
就労移行支援の利用条件として、受給者証という書類を所持していることが挙げられます。利用を希望する就労移行支援事業所が決まったら、自治体に申請をして受給者証を発行してもらうことで、就労移行支援を利用することができます。
就労移行支援はこの受給者証を取得することで利用可能となります。
受給者証は正式名称を「障害福祉サービス受給者証」といい、就労移行支援をはじめ障害福祉サービスの利用に必要となる書類です。
受給者証は自治体により多少の差異がありますが、記載内容や基本的な様式は共通しています。
一般的に、受給者証の最初のページに氏名や障害種別、発行元の自治体などが記載されています。そのあとにサービスごとのページがあり、就労移行支援のページには支給量(月に何度利用できるか)や有効期間が書かれています。
ほかにも利用料金に関するページなどがあって、全部で10ページ前後が多いようです。
ここでは、就労移行支援などの利用に必要な受給者証の申請手続きから発行までの流れを紹介します。
受給者証の発行までの流れは自治体により一部異なることもありますので、ご了承ください。
まずは、就労移行支援を利用したいということを、自治体の障害福祉窓口や相談支援事業所に相談します。
利用する就労移行支援事業所が決まっていない場合は相談者に合いそうな事業所などを紹介してくれ、決まっている場合はそのあとの申請手続きの方法や必要な書類などを教えてもらうことができます。
受給者証の手続きには、申請書類や医師の意見書の添付などの書類が必要になります。書類をそろえたら、自治体の障害福祉窓口などで申請をおこないます。
就労移行支援などのサービスを利用するのが適しているかを確認するため、認定調査として自治体の職員により生活状況などのヒアリングがあります。認定調査などの結果に基づいて就労移行などの利用が適切か審査がおこなわれます。
就労移行支援などのサービスをどのように利用するかを盛り込んだ、サービス等利用計画案の作成をおこないます。サービス等利用計画案は、指定特定相談支援事業者が作成するほか、申請者本人が作成する場合もあります。サービス等利用計画案を作成した後に、お住まいの地域の障害者福祉の担当窓口へ提出します。
自治体によっては就労移行支援など障害福祉サービス利用の本決定の前におおむね2ヶ月の暫定支給がおこなわれる場合があります。暫定期間の間は利用を予定している就労移行支援の利用をおこない、障害福祉サービスを使うことが妥当か判断していきます。
障害福祉サービス利用が本決定すると、自治体から本人の元へ支給決定通知書とともに受給者証が送られてきます。受給者証をもとに、利用する就労移行支援などの事業所と契約を結んだあとに正式に利用が開始されます。
受給者証の申請には、いくつか必要な書類などがあります。ここではそういった書類や持ち物などを紹介します。
受給者証を申請するには、まずは障害福祉サービスの利用申請書の記載が必要です。申請書は障害福祉窓口などでもらえるほか、Webサイトから取得できる自治体もあります。
記載した申請書のほかに、
などを持参することが多いようです。自治体により必要な書類などは異なるため、事前に窓口やWebサイトなどで確認しておくことが大事です。
障害者手帳を持っていない方は、医師の意見書で代用できる場合もあります。医師の意見書は発行してもらうまでに時間やお金がかかることがあるため、就労移行支援などの障害福祉サービス利用を考えている方は、早めに主治医に相談しておくといいでしょう。
受給者証は有効期限が記載されており、その期限を超えて就労移行支援などを利用したい場合は更新手続きが必要となります。有効期限は受給者証の利用する障害福祉サービスが記載されているページに書かれていることが多いです。受給者証の更新手続きは基本的に有効期限の3ヶ月前からおこなうことができ、更新可能時期になると自治体から更新のための通知が郵送されてくることが多いようです。
手続き方法や持ち物は通知に記載がありますので、確認したうえで期限までにそろえて更新申請をおこないます。
ここでは、就労移行支援を利用するまでの手続きなどの流れを紹介します。
まずは気になる就労移行支援事業所へ問い合わせや見学をしてみましょう。問い合わせや見学の予約は事業所のWebサイトのほか、電話やチャットなどで受け付けている場合もあります。
見学ではスタッフが事業所内の案内やプログラムの紹介、質問への回答などをしてくれるため、自分に合っているか、通いやすい事業所かを確認することができます。
見学した後は体験もおこなって、その就労移行支援事業所が自分に合っているか確かめることが大事です。体験では、ほかの利用者とともにプログラムを受けたり、一日の流れを経験することができます。
見学は基本的に1時間程度なので、体験をすることでよりプログラムが自分に合っているか、今の体力で通えそうか、などを確かめることができます。
体験を通して利用する就労移行支援事業所が決まったら、自治体へ申請し受給者証を発行してもらいます。
受給者証が手元に来たら、利用する就労移行支援事業所と契約を交わして利用開始となります。
LITALICOワークスでは、就労移行支援事業所を各地で運営しています。障害のある方が自分らしく働くために、一人ひとりの状況に合わせて最適なプログラムやサポートの提供をおこなっています。
見学や体験も随時受け付けています。「転職を繰り返している」「体調が整わず働けるか不安」「利用したいけど手続きが分からない」といった方も、お気軽にお問い合わせください。
ここでは、就労移行支援の受給者証に関してよくある質問に回答していきます。
受給者証は自治体によって手続きなどが多少異なることがありますので、ご了承ください。
受給者証は基本的に利用する事業所が決まった後に申請をすることが多いようです。まずは、利用する就労移行支援事業所を決めることから始めるといいでしょう。ただ、自治体によっても異なるため、詳しくはお住いの自治体の障害福祉窓口へお問い合わせください。
受給者証は利用する就労移行支援事業所が決まったタイミングで申請などの手続きおこなう場合が多いようです。基本的にタイミングは就労移行支援事業所のスタッフから教えてもらえますので、利用したい事業所が決まったら手続きについても尋ねてみるといいでしょう。
受給者証の発行までにかかる時間は自治体によって変わってきますが、おおむね申請から1ヶ月~2ヶ月かかることが多いようです。その間、就労移行支援事業所の障害福祉サービスは利用できませんが、就労移行支援のスタッフと連絡を取りながら利用を開始するまでの準備などを進めていくことは可能です。
受給者証が交付されるかは、申請者の状況と自治体の判断により異なります。心配な方は申請をする前に自治体の障害福祉窓口や相談支援事業所に相談してみるといいでしょう。
就労移行支援を利用するには、自治体から発行される受給者証が必要になります。受給者証には、利用者の氏名や住所や発行した自治体の情報、利用する就労移行支援事業所や有効期限などが記載されています。申請は自治体の障害福祉窓口などでおこない、審査を経て発行まで1~2ヶ月かかる場合が多いようです。
受給者証を申請する前に利用する就労移行支援事業所を決めておく必要があるため、気になる事業所があったら積極的に見学や体験をして自分に合っているか確かめるといいでしょう。
LITALICOワークスでも、随時相談・見学・体験を受け付け中です。就労移行支援をお探しの方はぜひお気軽にお問い合わせください。
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