焦点起始発作とは、その人にとって決まった脳の領域で異常放電が始まるスイッチが入ります。
その脳の領域で異常放電が始まり、終わるパターンもあれば、そこから異常放電が次々に脳全体へ広がり、二次的に両側化することがあります。
そのため、全般起始発作か、焦点起始発作かを正確に見極めることが難しいことがありますが、診断や治療にも関わる大切なポイントになります。大きな発作だけではなく、その前に小さな発作(前兆)のようなものがなかったか、注意してみておくとよいでしょう。また中には本人の意識がない状態での発作もあるため、その場に居合わせた人にどのような発作がおきたのかを確認する必要があります。
焦点起始発作は、意識の有無によって、「焦点意識保持発作(意識のある焦点発作)」と「焦点意識減損発作(意識のない焦点発作)」に分けられます。
【焦点意識保持発作(意識のある焦点発作)】
焦点意識保持発作は「運動症状を示す発作(焦点性運動起始発作)」と「感覚・自律神経・精神の症状を示す発作(焦点非運動起始発作)」があります。後者は本人に分かるだけで、周りの人は発作がおきていることが分かりにくいこと、またてんかんとは関係ないように見えて、実はてんかん発作であったと後々から気づく場合が多いので、ここで症状を確認しておくとよいでしょう。
● 運動症状を示す発作(焦点性運動起始発作)
【症状】
・急に身体の一部が硬直したり、がくがく震えたりする
・頭や目がぐっーと引っ張られ、左右どちらかにむく など
● 感覚・自律神経・精神の症状を示す発作(焦点非運動起始発作)
感覚症状を示す発作
【症状】
・耳鳴りが聞こえる、不快な味・においがする、身体の一部にしびれるような感覚がある
・光はあたっていないのにチカチカ見える など
● 自律神経症状を示す発作
【症状】
胃のあたりがムカムカする、吐き気・嘔吐・腹痛がおこる、動悸がする、鳥肌がたつ など
●精神症状を示す発作
【症状】
・幻視や幻聴がある
・記憶の働きが混乱し以前にもまったく同じ光景を見たことがあるように感じる(既視感)
・もしくはよく知っているのに見知らぬようなもののように感じる(未視感) など
【焦点意識減損発作(意識のない焦点発作)】
本人の意識がなくなる発作のため、本人は発作の有無自体を認識することができません。そのため、発作がおきた場面に居合わせた人がその際の様子を本人や医師へ伝えることが大切です。この段階では、全般起始発作のように目に見える激しいけいれんではなく、近くで見ている人が「様子がおかしい?」と気づくくらいのレベルです。
症状としては、次の通りです。
【症状】
・意識がぼんやりと共に表情に生気がなくなり、口をぺちゃくちゃさせたり、手をもぞもぞしたりといったような不自然な無意識な行動を数分間にわたって続けている
・睡眠中に、突然大声を出す、からだ全体や手足を大きくばたつかせるなど激しい身体の動きを伴う など