うつ病の人と接するうえで、上記の通り紹介したうつ病の知識を持つほかに、接し方において意識したいポイントを5つ紹介します。
前提として、うつ病という診断の有無の前に、その人個人の価値観や感じ方を尊重するということが大切です。そのうえで、以下のポイントを参考にしてみてください。
話を聴く姿勢でいる
身近なうつ病の人が、悩んだり落ち込んだりしている様子に気がついた場合、その人の話を聴くという姿勢でいることが大事です。悲観的な話をされても、まずはその人が言いたいことを言える状況をつくるといいでしょう。
「明日会社を辞めさせられる」など悲観的な考えが客観的に現実的でないとしても、本人はつらい状況にあります。
話を聴いた側も「そんなことないよ」「気のせいだよ」といった否定はせずに、話に耳を傾けてその人が何を言いたいのか把握するようにしましょう。
本人のペースを大事にする
話を聴くことは大事ですが、本人が話したがらない場合は無理に聴き出そうとはしないことも大切です。
本人も考えがまとまっていなかったり、話すのをためらっていることがあるため、周りも「話したくなったら話して」といった形で聴く用意があることを伝えて見守っていくことも大事です。
また、話だけでなく仕事や行動でも同じことがいえます。一度仕事を休んで療養しているときに、本人がなかなか活動ができず、周りから見ていて「もっとこうしたら」と思うことがあったり、一見元気に見える時期には「早く復帰してほしい」といった気持ちになるかもしれません。
しかし、うつ病は体調の波があり、良くなったりまた症状があらわれたりを繰り返しながら回復していきます。そのため、アドバイスしたくなるときがあるかもしれませんが、本人のペースを尊重して接していくことが大事です。
もちろん、治療の見通しなどの確認が必要な場面もあると思います。そういったときは、「今○○について話しても大丈夫?」と確認してから話すことや、うつ病の方だけに負担がかからないように「一緒に考えていこう」と声掛けをしていくようにしましょう。
決断を迫らない
決断を迫らないようにするということも、意識したい点の一つです。うつ病の症状によっては考えがまとまらなかったり、悲観的にとらえてしまうことがあるため、何か決断をするということは、大きな負担となる場合があります。
そういった状態のときに、例えば仕事に復帰をするか辞めるか、といった大きな決断を迫らずに、本人が自分で決断できるまで見守っていくようにしましょう。
ただ、どうしても決めなくてはいけないことがある場合は本人に寄り添いながら「心配だから一緒に考えていこう」といった声かけをして、本人の負担を減らしていく対応も大切です。
治療のサポートをする
うつ病の治療では療養や服薬が大切です。ご家族やパートナーなど生活を一緒にしている場合は、無理のない範囲で家事で負担となっているものを代わることや、生活リズム、服薬管理などのサポートができるといいでしょう。
本人が希望すれば通院に付き添うこともサポートの一つとなります。また、傷病手当金などの申請すべき書類作成を負担と感じていることは多いものです。書類などの作成に際して、一緒に確認することは、本人にとって大きなサポートになることでしょう。
相談機関に相談する
身近にうつ病の人がいる場合に、周りの人が抱え込まないようにすることも大事なポイントの一つです。
うつ病の人の家族や周りの人が相談できる窓口がいくつもあります。電話やインターネットで相談できる場合もありますので、どう接していいのか迷う場合は早めに相談してみましょう。