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お役立ち仕事コラム

うつ病の初期症状とは?自分で気づくサインや仕事での対処法を解説

更新日:2023/08/01

うつ病はおよそ100人に6人が一生のうちに経験していると言われ、 だれもが発症する可能性があり、決して珍しいものではありません。

 

例えば、夜一人で過ごしているなどストレスがない場面でも「涙が止まらなくなる」、人付き合いが好きだったのに「人に会いたくなくなる」などがみられたら、もしかしたらうつ病の初期症状の可能性があるかもしれません。

 

しかし、うつ病の初期症状が出ていたとしても「少し疲れているだけ」「休んでいたら治るはず」と考えてしまうことで、自身の調子を正しく把握できない場合があります。うつ病は早めにサインに気づき、対応することでより早期の回復や再発の防止につながることがあります。 

 

そのため、うつ病について知ることや、そして少しでも違和感をおぼえたら見過ごさずに医療機関の診断を受けることが大切です。 

 

今回はうつ病の初期症状や、うつ病の症状が表れたときの対処法などについて解説します。

うつ病の初期症状

うつ病の初期症状

 

うつ病の場合、不安感や気分の落ち込みなど初期・進行中に関わらず同じ症状が見られる場合があるため「これが初期症状です」と必ずしも言い切れるものではありません。しかし、うつ病の症状のなかには、初期の段階でもうつ病のサインとなり得る特徴のものがあります。 

 

うつ病の初期症状としては以下のようなものがあります。下記の症状が2週間以上続く場合、それはうつ病の可能性があるかもしれません。

急に泣くことが増える、涙が止まらない

以前は泣くことはなかったのに、「急に泣くことが増えた」「涙が止まらない」「少し言われただけで泣いてしまう」など自分自身でも感情をコントロールができない状態が続く場合、うつ病の初期症状の可能性が考えられます。

 

ただ、このサインのみでは他の病気などの可能性もありますので「泣くことが増えた=うつ病」とは言い切れません。このサイン以外にも、うつ病のサインが表れていないか合わせて確認しましょう。

憂うつな気分が続く

うつ病の症状として「気持ちが落ち込む」「やる気が起きない」などの抑うつ状態が続くことがあります。日々の暮らしのなかで、だれしも気分の上がり下がりはありますが、うつ病の場合は、気分の落ち込む状態が2週間以上継続するという特徴があります。また、うつ病では「日内変動」といって、朝方に一番気持ちが落ち込み、夕方から調子が良くなるパターンが見られることもあります。

好きだったことに興味がなくなる

好きだったことに対して興味が薄れるということもうつ病の初期症状としてあります。例えば、人と会うのが好きで、週末はよく友達とショッピングや旅行に行っていた方が「急に人と会いたくなくなる」といったものがサインとして考えられます。ほかにも、それまでずっと好きだった趣味にも興味があまり持てなくなる、ということもサインとして考えられます。

眠れなくなる、または過眠

うつ病の方の中には、眠れなくなる(夜中に何度も目が覚める、寝ることができないなど)や過眠(夜の睡眠時間が異様に長い、昼寝も寝込んでしまう)などの睡眠障害に悩む方もいます。

体重が増加または減少する

うつ病の初期症状として、有意の体重の増加もしくは減少、または食欲の減退もしくは食欲の増加がみられることもあります。

うつ病の初期症状に自分で気づいたときにしたいこと

うつ病の初期症状に当てはまっていると思ったときは、病院を受診することが大事です。また、明確に当てはまっていなくても、「これはうつ病の初期症状なのか不安」という方も、まずは病院で診察を受けてみるといいでしょう。うつ病については、精神科や心療内科、メンタルクリニックなどで診察を受けることができます。

 

もしうつ病だった場合は、休養やカウンセリング、薬物療法などの治療を進めていきます。うつ病は治療の過程の中で時期によって分かれていて「急性期」、「回復期」、「再発予防期」という経過を辿っていくとされています。

 

うつ病は早期に治療をおこなうことで、回復も早まるとされています。そのため、初期症状に気づいたときはなるべく早く病院に行くことが大事です。

うつ病と診断された場合、医師のアドバイスを受けながら適切に対処しましょう。

うつ病でも仕事は続けられる?

うつ病の初期症状を自覚したときは、「仕事を続けられるのだろうか」と不安になる方も多いと思います。

 

うつ病と診断されたら、まずは適切な治療を受けることが大事です。その上で、自身の体調の変化やうつ病のサインを把握し、早めの対処をおこなうことが大切です。また、うつ病など精神障害のある方が利用できる支援機関なども活用することで、無理なく働き続けられている方も多くいます。

 

支援機関などの詳細については以下のリンクをご参照ください。

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仕事で見られるうつ病の初期症状

仕事で見られるうつ病の初期症状

 

うつ病になると「仕事中に泣いてしまう」「スムーズに仕事ができない」などのサインが表れることがあります。そのため、上司や同僚に「いつもと様子が違うのでは?」と心配されることもあります。

 

仕事で見られるうつ病の初期症状の例として、以下のようなものがあります。

人との交流を持たなくなる

仕事中の初期症状として、周囲とのコミュニケーションを避けることが挙げられます。会社において見られるのは、以前は参加していた「ランチや飲み会などに顔を出さなくなる」などのパターンです。また、口数が少なくなり、休憩時間中の雑談や会議時の発言に対しても消極的になる、など変化が見られます。

見た目に気を遣わなくなる

うつ病のある方は、判断力の低下や無気力の症状により、見た目に気を遣わなくなるケースがあります。

 

例えば、下記のようなことが起こります。

  • 二日連続同じ服で出社する
  • お風呂に入らなくなる
  • おしゃれに興味があったが、興味がもてなくなる
  • 化粧をしなくなる など

また、周囲の環境にも気が回らなくなることもあります。以前はできていたのにデスク周りが整理されなくなった、汚れても掃除をしなくなった、などの状態が続く、といった例が挙げられます。一方、沈みがちな気分を何とかあげようとして普段より華美な服装を身につけるという例もあります。

集中力が下がりミスをする

うつ病になると、集中力や判断力が下がり、ミスを繰り返す恐れがあります。具体的な行動の一例として、簡単な計算のミスが増えたり、いつも作っている書類の間違いが増えたりするなどです。また、大切なスケジュールを忘れてしまうなど、以前であればしないミスが増えたときは、うつ病が影響している可能性があります。

遅刻や欠勤が増える

うつ病の方のなかには、仕事に遅刻したり、欠勤が増えたりといつもと様子が変わる方もいます。理由としては、朝に気持ちが落ち込み無気力になったり十分な睡眠がとれていなかったりすることが考えられます。

うつ病の初期症状に気づいた際の対処法

医療機関で治療を受ける

うつ病の症状は医療機関で適切な治療を受けることで、徐々に和らげることができます。ここでは医療機関で受けられる治療方法の例として、「薬物療法」と「精神療法」を紹介します。

 

まず、薬物療法は抗うつ薬などを服用して、症状を抑える方法です。少量から服用し、少しずつ量を調整していきます。また、抗うつ薬の効果が感じられるまでには、1~2週間かかると言われています。

 

次に精神療法では、医師や臨床心理士がカウンセリングをおこないます。患者さんの不安なことや悩みを聞くだけでなく、考え方や行動のパターンを振り返り悲観的な思考のクセを改善する「認知行動療法」がおこなわれる場合もあります。

会社の健康に関する窓口や上司に相談する

うつ病の初期症状で受診した後は、医療機関で治療を受けながら、働く環境についても可能な範囲で相談するようにしましょう。可能であれば上司に相談し、仕事の内容を調整してもらうことで、心身への負担を減らし症状の悪化を防ぐことができます。

 

上司に相談が難しいと感じる方は、社内にメンタルヘルスの窓口などが設置されている場合もありますので、自分が相談しやすいと感じる窓口に連絡してみるといいでしょう。

休職を検討する

うつ病による症状がつらく、仕事に行くことが困難に感じる場合は、休職という選択肢があります。

 

休職は会社の手続きをおこなうことで、一定期間仕事を休むことができる制度です。ただし、会社によっては「休職制度の有無」や「休職可能期間」などが異なります。また、雇用形態や勤続年数によっても休職についての規定が異なることもあります。休職の手続き方法も含めて、事前に確認しておきましょう。

 

また、健康保険に加入している場合、一定の条件を満たせば休職期間中の生活の保障として「傷病手当金」を受け取ることが可能です。

退職を検討する

うつ病の症状により仕事に行くことが困難に感じる場合、休職のほか退職することも一つの方法です。退職という選択肢は大きな決断にもなりますので、うつ病の症状が落ち着いて冷静に判断できるようになってから検討するようにしましょう。

 

また、退職した後の金銭的な面や次の仕事のことを考えると不安になってしまうかもしれません。金銭面については、経済的な支援を活用することを検討してみてもいいでしょう。

 

先程紹介した「傷病手当金」については、退職した後も一定の条件を満たせば、継続して受給することができます。また傷病手当金の申請期限は労務不能であった日ごとにその翌日から2年まで遡って受給できる場合もあります。

また、傷病手当金と同時受給はできませんが、条件に当てはまれば雇用保険の基本手当を受け取ることが可能です。雇用保険についての詳細はハローワークの公式サイトをご覧ください。ほかに「自立支援医療」や「障害年金」、「生活保護」などの制度もあります。

仕事については、うつ病の方の仕事探しをサポートする支援機関(例:障害者就業・生活支援センターやハローワーク、就労移行支援事業所など)がありますので、相談してみてもいいでしょう。

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仕事でうつ病の初期症状に気づいたときに使える制度や相談先

会社によっては、心の調子が悪いときに相談できる産業医と連携していたり、ストレスチェック制度を導入していたりと、精神的な不調への対策をとっているところがあります。

産業医に相談する

産業医とは、労働者が健康的に働くために専門的な立場からアドバイスをする存在です。もしも、心身の調子が悪いと思ったら、会社の産業医へ相談する方法も検討しましょう。また、復職の際に産業医から職場復帰の可否の判断が必要な会社もあるため、早めに産業医に相談できると安心するでしょう。産業医は直接治療をおこなうことはありませんが、従業員の悩みを聞いたり、会社と連携して業務の調整をしたりとサポートをおこなってくれるため、必要に応じて力を借りましょう。

ストレスチェック制度を活用する

2015年12月以降、労働安全法に基づき労働者が50人以上いる事業所では、ストレスチェック制度を導入することが義務づけられました。目的は労働者のストレス状態を把握し、精神的な不調を防止することです。いくつかの質問に回答することで、現在のストレスを確認する仕組みです。ストレスチェックにおいては厚生労働省のホームページにもありますので、ご参考ください。具体的にどのような質問に答えるのかに関しては、下記をご覧ください。

心の悩み相談窓口に相談する

会社では悩みが相談しづらいという場合には、社外の相談窓口を活用することも方法の一つです。

 

厚生労働省が運営している「こころの耳」というサイトでは、電話での相談窓口のほか、SNSやメールを使った相談窓口も紹介しています。ほかにも、仕事や生活など悩みの種類ごとに相談できる窓口が掲載されていますので、「うつ病の初期症状かもしれない」「病院に行った方がいいか悩んでいる」という方も、一度相談してみるといいでしょう

うつ病のある方の就職をサポートする就労移行支援

うつ病の症状が良くなり、復職・再就職に向けて動き出したいと考えている方は「就労移行支援事業所」の活用もご検討ください。就労移行支援事業所は、就職に向けての準備や、就労後のサポートをおこなっている機関です。

 

LITALICOワークスは各地で就労移行支援事業所を運営しており、これまで1万3千人以上の方の就職をサポートしてきました。うつ病で体調が不安という方には、自己理解や生活リズムの安定など体調を安定させるためのプログラムや、自分に合った働き方の整理といったサポートを提供しています。ほかに、ストレスコントロール・PCプログラム・企業インターン・面接練習など一人ひとりに合わせたサポートを提供しています。

 

「働くことに悩んでいる」「体調が不安定で働けるかわからない」「一人で就職活動がうまくいかない」などお悩みのある方は、まずは就職支援のプロに相談してみませんか?

うつ病の初期症状のまとめ

うつ病になると「急に涙が出る」「人に会いたくなくなる」などの症状が長期的に見られます。このくらい大丈夫だと思って放っておくと、ますます症状が悪化し、日常生活や社会生活に影響が出る恐れがあります。またうつ病は早期発見・早期治療が重要といわれています。そのため、少しでも違和感をおぼえたり、もしかしたらうつ病かも?と思ったりしたら、早めに病院に行って相談することが大切です。

 

LITALICOワークスでは、障害のある方の就職をサポートしています。もし復職や再就職に不安がある、無理のない働き方がしたい、などがあれば、ぜひお気軽にLITALICOワークスへご相談ください。

更新日:2023/08/01 公開日:2022/01/11
  • 監修

    医学博士/精神科専門医/精神保健指定医/日本産業衛生学会指導医/労働衛生コンサルタント

    染村 宏法

    大手企業の専属産業医、大学病院での精神科勤務を経て、現在は精神科外来診療と複数企業の産業医活動を行っている。また北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場のコミュニケーション、認知行動療法、睡眠衛生に関する研究や教育に携わった。

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