身体や精神に重度の障害がある場合「特別障害者手当」の支給対象者に該当する可能性があります。
しかし、「そもそも特別障害者手当がどのようなものか知らない」「支給を受けたいけれど、申請方法が分からない」という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、今回は特別障害者手当の支給額や対象者、申請の手順を解説していきます。
また、「障害年金」や「生活保護」「就労移行支援事業所」など、障害のある方が利用できるほかの制度や支援についてもご紹介します。
身体や精神に重度の障害がある場合「特別障害者手当」の支給対象者に該当する可能性があります。
しかし、「そもそも特別障害者手当がどのようなものか知らない」「支給を受けたいけれど、申請方法が分からない」という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、今回は特別障害者手当の支給額や対象者、申請の手順を解説していきます。
また、「障害年金」や「生活保護」「就労移行支援事業所」など、障害のある方が利用できるほかの制度や支援についてもご紹介します。
特別障害者手当とは、身体もしくは精神に重度の障害がある方の、経済的・精神的な負担を軽減する目的で国から支給される手当のことです。
特別障害者手当で支給される金額は、月額27,300円(2022年4月より適用)です。
金額は物価の変動により随時見直されているため、今後も変更する可能性があります。
特別障害者手当の対象者は、身体・精神に重度の障害があり、施設ではなく自宅で生活している20歳以上の方です。
ここでいう重度の障害とは、日常生活において常に特別な介護を必要としている状態(目安は身体障害者手帳1〜2級程度、もしくは、療育手帳1〜2級程度の障害が重複、または、これらと同じ程度の疾病や精神障害がある)※のことを差します。
※知的障害の場合は、障害者手帳の等級や知能指数のみではなく、日常のさまざまな場面における援助の必要性を勘案して判断されます。知能指数の目安としてはおおむね20以下程度に相当するとされています。
また、所得制限やその他の条件があるため、気になる方はまず、自身が特別障害者手当の対象となるか確認してみましょう。
特別障害者手当は、障害のある方全員へ支給されるわけではありません。
この項目では、特別障害者手当の申請ができないケースや所得制限について解説します。
特別障害者手当には所得制限があるため、下記のいずれかに該当する場合は手当を受け取ることができません。
扶養義務者とは、受給者と生計を一つにしている直系血族(曾祖父母から曾孫)もしくは兄弟姉妹のうち、一番収入が多い人のことを差します。
同じ家に暮らしていない場合であっても「生活費を仕送りしてもらっている」などの場合は、生計を一つにしているとみなされることがあります。
所得制限限度額は、厚生労働省の公式サイトにて公開されています。
下記の表は2021年8月から適用されていますが、今後も変更となる可能性があります。
例えば、受給資格者本人に扶養親族が2人いる場合、所得制限限度額は4,364,000円です。
この金額を超えている場合は、特別障害者手当の対象にはなりません。
表の「扶養親族等の数」とは、所得税法上の控除対象配偶者と扶養親族の数のことです。
所得税法上の扶養親族の対象について知りたい方は、国税庁の公式サイトをご覧ください。
特別障害者手当における所得額の計算方法は、下記の通りです。
各種控除の例としては、下記が挙げられます。
計算で出した数字(所得額)を、ひとつ前の項目でご紹介した表に照らし合わせて、所得制限限度額を超えていないかどうか判断します。
特別障害者手当の対象外となるケースとしては「所得制限限度額を超えている」以外に下記が挙げられます。
※障害者支援施設などに通所している場合や、短期入所(ショートステイ)、有料老人ホームなどは含まれません。
特別障害者手当の対象であるかどうか、分からない場合は自治体の担当窓口(市役所の障害福祉課など)に問い合わせてみましょう。
この項目では、特別障害者手当を申請してから支給されるまでの流れや、申請に必要な書類について解説します。
申請はお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口でおこないます。
流れとしては下記の通りです。
また、支給が開始された後も、毎年8月に「現況届」を提出する必要があります。
この書類によって、所得の再確認などがおこなわれ、状況によっては支給が停止されます。
毎年8月に「現況届」を提出しなかった場合、8月分以降の手当が受け取れなくなるため、忘れないように気を付けましょう。
特別障害者手当の申請に必要な書類は、下記の通りです。
特別障害者手当認定請求書は市区町村の窓口に用意されているほか、自治体によっては、公式サイトからダウンロードすることが可能です。
また、担当医に「専用の診断書」へ記入をしてもらわないといけないケースも見られます。
お住まいの地域によって、必要な書類の種類が異なる場合があるため、申請をお考えの方は、念のため、事前に担当窓口へお問い合わせください。
もしも、申請したのにもかかわらず特別障害者手当がもらえない場合は、窓口に「審査請求書」を提出し、審査請求(不服申し立て)をすることができます。
申請できる期限は認定されなかったことを知ってから3ヶ月以内です。
ただし、不服申し立てをしたからといって、必ずしも認定されるわけではありません。
もしも、特別障害者手当の申請について困ったことがあったり、悩んだりしたら、障害福祉分野を得意とする専門家(行政書士など)に相談する方法も検討してみるといいでしょう。
特別障害者手当の支給月は、12ヶ月の間に4回(5月・8月・11月・2月)です。
各月に、前月分までの額がまとめて支給される仕組みです。
また、手当は指定した口座へ振り込まれます。
基本的には支給月の10日に振込されますが、支給日が土日や祝日、金融機関の休業日にあたる場合は、直前の平日に支払われます。
特別障害者手当のほかにも、障害のある方が利用できる支援や制度は複数あります。
障害年金は、障害により生活や仕事に支障が出ている方へ支給されます。
病気や障害の診療を初めて受けた日(初診日)に加入していた年金が国民年金の場合は「障害基礎年金」、厚生年金の場合は「障害厚生年金」を申請することができます。
障害年金は原則として20歳〜64歳までの方が申請できます。
また、障害者手帳の取得の有無は問われません。
また、支給される金額は、障害の程度や年金への加入月数、給料額、扶養している子どもの有無などによって、人それぞれ異なります。
詳しい内容や申請方法について知るためにも、まずは市区町村の窓口や年金事務所に問い合わせましょう。
生活保護とは「健康で文化的な最低限度の生活」を保証する制度のことです。
経済的に困窮している程度に応じて、必要な保護をし、その人の自立を支援します。
その世帯の収入が「最低生活費(居住地域や家族構成などにより算出)」に至らない場合、不足分が支給される仕組みであるため、世帯によって支給される額はさまざまです。
また、持ち家や車、土地の所有の有無などによっては申請できないケースもあります。
生活保護の支給を希望する場合は、お住まいの地区にある福祉事務所の生活保護担当へ相談してみましょう(申請も福祉事務所でおこないます)。
傷病手当金は、業務外のことが原因で起こった病気やケガ、障害により、仕事を休職している間に支給されます。
健康保険の被保険者であれば、正社員以外の方(アルバイトや派遣社員)も対象です。
ただし、自営業の方などが加入している国民健康保険には、原則、傷病手当金の制度はありません。
また、傷病手当金として受け取れる額の目安は「休職前に毎月受け取っていたお給料の三分の二ほど」の金額です。
基本的に、支給される期間は「支給を開始した日から通算1年6ヶ月間」です。
詳しい条件などは、協会けんぽ(全国健康保険協会)の公式サイトをご覧ください。
労災保険とは、仕事中や通勤中に起こった出来事による、ケガや病気、障害に対して、保険給付をおこなう制度です。
正社員・契約社員・パートアルバイトなどを含め、会社に雇われている方全員が対象です。(派遣社員の場合も、派遣元である派遣会社が加入していますので対象となります)
補償内容にはいくつか種類があるため、状況に応じて定められた金額が給付されます。
例えば、4日以上賃金を受け取れない場合に支給される「休業補償給付」などがあります。
詳細は、厚生労働省が用意しているパンフレットをご覧ください。
特別障害者手当は、身体・精神に重度の障害がある方を対象として支給されます。
ただし、支給を受けるには、自宅がある市区町村の障害福祉担当窓口へ申請し、審査に通る必要があります。
特別障害者手当の支給条件を満たす場合や「そもそも対象者かどうか自分で判断がつかない」場合は、まずは一度問い合わせてみましょう。
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