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お役立ち仕事コラム

難病のある方の仕事探しや求人探しのポイントとは?転職する際に利用できる就労支援も解説

更新日:2023/10/05

「働きたい気持ちはあるけれど、難病を患っていて、働くことが難しいかもしれない」とお考えの方もいるのではないでしょうか。仕事探しで重要なポイントを押さえることで、難病のある方も就職先や転職先を見つけることが可能です。

 

通院や体調管理、休養と両立して活躍できる仕事に就くこと、通院や業務調整等について理解を得られる職場を見つけることで、難病のある人でも仕事で活躍している人が増えています。さらに、近年では治療と仕事の両立支援が本格化しています。

 

この記事では、難病とはどのような病気のことを指すのかを解説し、続いて難病のある方の仕事探しのポイントや仕事探しで利用できる支援等について解説していきます。

難病とは?

2015年施行の「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」では、以下の4つの要素を全て満たす疾患を難病であると定義しています。

  • 発病の仕組みがまだ明らかではない
  • 治療方法が確立していない
  • 希少な疾患である
  • 長期の療養が必要である

さらに、医療費の助成対象となる難病は指定難病と呼ばれ、「患者数が一定の人数(人口の0.1%程度)に達していないこと」と「客観的な診断基準があること」も条件に加わっています。

 

医療の進歩とこれまでの難病対策の成果により、適切な治療や自己管理を徹底することで日常生活を送ることができる状態にまで回復した例も多くあります。その一方で完治は未だ難しいことが多く、軽症を維持していても、定期的な通院と服薬等、生活における自己管理が不可欠です。

 

そのため、難病については国をあげて医療費負担の軽減と、治療を継続しながらも社会参加できるような総合的支援を進めることとされています。

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難病のある人の仕事の選び方や仕事の仕方とは?

難病のある方が仕事を探す際には、治療や疾患管理と両立できる業務や職場を選ぶことが重要なポイントになります。

 

難病があっても無理なく働ける仕事は「仕事の負荷と回復のバランスが取れる仕事」です。具体的には次のような条件で、具体的には、事務作業などのデスクワークやシフト制で体調に合わせて働くことができる仕事は難病のある方も取り組みやすいことが多いです。

  • 肉体労働が少ないこと
  • 定期検診や自己管理のための休みがとりやすいこと
  • 休憩を必要なタイミングでとれること
  • 出勤日数を症状や体力に合わせて調整できること

「仕事の負荷と回復のバランス」が崩れているサインとしては、次のような症状があります。

  • 倦怠感や発熱をともなう
  • 体調が変化しやすい
  • 疲れやすい

難病のある方自身も仕事中の対処方法や自己管理についてしっかり学んでおくことも大切です。また、これらの症状は外見から分かりにくいため、職場の理解配慮を得ておくことで、適切な体調管理も行いやすくなります。

難病のある人の仕事の探し方・準備方法

難病のある方が仕事を探すためには、まず、かかりつけの医師に自分は働くことができるのか、そして働く際に気をつけるポイントを相談してみましょう。

仕事ができる状態かを主治医と相談する

自身では症状が安定していると思っていても、仕事を始めることで体調を崩したり、仕事を続けられなくなってしまうことがあります。

 

難病と向き合いながら働くためにも主治医と相談することは大切です。自分が就こうと考えている仕事内容や働き方、勤務時間や休日などを主治医に伝えて、無理なく働けるかどうか相談しましょう。治療のために通院する時間や、体に負担なく働ける時間や休憩時間はどのくらい必要なのかを主治医とよく話し合って見通しをつけておきましょう。

医師も治療方針を一緒に考えやすくなります。

 

続いて、これまでの仕事経験やその時の課題点・改善点を整理します。

これまでに仕事をした経験がある場合には、以下のようなことを考えてみます。

  • その仕事が向いていたのか
  • その仕事を続けることは治療の妨げにはならないか
  • これからもその仕事を続けられるのか
  • 職場の環境に問題はなかったか?

さらに、当時働いていた時に起こった課題点も整理しておきます。

  • デスクワークでも長時間パソコンと向き合うことは困難だった
  • 時によって仕事量にばらつきがあり自由に休みづらいこともあった

体調が優れない状況に陥ったり、治療と仕事のバランスをうまく取れなかった場合には、それを課題としてまとめておきます。

 

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難病があることを会社に伝えるべきか

難病のある方が悩んでしまう点として「難病があることを事前に職場に伝えておくかどうか」が挙げられます。就職活動では、自分をアピールしながら必要な配慮を求めるためのコミュニケーション方法を整理しておくことが重要です。

 

難病に対して情報不足の企業も多く、「難病」や病気のことを説明してもうまく伝わらない可能性があります。しかし、難病のある人の多くは、仕事内容さえ無理がなければ、月1回程度の通院や簡単な業務調整を必要とするだけで、企業にとって過重な負担ではありません。支援機関の担当者などと、企業に対して誤解を与えず、分かりやすく説明できる練習をしておくこともいいでしょう。

 

一方で、自身の自己管理と職場での対処法をしっかりと身に付けておくことも大切です。

 

また、企業側に相談する際は、合理的配慮を得ることで、自身がどのようにして職場に貢献できるのかをしっかりと伝えることも大切です。

仕事に必要なスキルを身につける

仕事に就くためには、その仕事に必要なスキルが求められます。
仕事内容を理解して、業務に合わせた基礎的な知識を身につけておくと役に立ちます。

 

特に、資格が必要な仕事の場合は、資格を持っていることで就職・転職活動が有利になることもあります。

 

体への負担の小さい範囲で仕事をするためには、デスクワークも選択肢のひとつになります。
デスクワークの場合は、まずパソコンの操作方法を理解し、専門的な知識が求められる場合には、その分野の勉強を進めておきましょう。

 

また、メールによるやり取りや、報告・連絡・相談(報連相)、タスク管理などのビジネススキルもしっかり身につけておきましょう。難病のある方でも、知識や資格、専門的なスキルを身につけて自己アピールできる材料をそろえておくことで、スムーズに仕事を探しやすくなります。

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難病のある人が仕事探しの際に利用できる支援機関・就労移行支援とは

難病で仕事探しのための支援機関

 

難病のある方が仕事探しを進める上で利用できるサービスについて解説します。

ハローワーク(公共職業安定所)

難病のある人は障害者手帳の有無にかかわらず、ハローワークで継続的な職業紹介などの支援を受けることができます。障害者雇用の求人に限らず、難病のある人が無理なく働ける仕事内容の求人を紹介してもらうことが可能です。ハローワークでは、職業紹介や求職の相談、雇用保険の手続きなど、雇用に関する対策・支援や手続きをおこなったり、受けたりすることができます。

 

ハローワークには「難病患者就職サポーター」が配置されていることがあります。

 

難病相談支援センターと連携して、症状の特徴を踏まえた仕事の提案や、仕事に就いている最中に難病が発生した方へのサポートなどを行っています。

 

「企業側に対してどのようにして難病があることを伝えるのか」や、「企業側は難病がある方に対してどのような配慮を行うべきか」などの説明も行ってくれます。

 

サポーターの方と仕事の面接を一緒に受けることも可能なため、面接に関して不安な点がある場合には一度相談してみることもおすすめです。

難病相談支援センター

難病相談支援センターは、難病のある人の日常生活での悩みや不安の相談への対応だけでなく、ハローワークと連携して就労支援も行っています。

  • 電話や面談を通して日常生活を送る上での相談や公的な手続きの支援
  • 難病がある方の自主的な活動に関する支援
  • 難病がある方への講演会の開催や研修会の実施
  • 難病がある方の適切な就労を可能にするための就労・相談支援

難病相談支援センターは難病のある方への総合的な支援を行っており、そのうちのひとつのサービスとして就労に関する相談を行うことができます。

 

難病の専門機関であるため、疾患の自己管理の方法や症状に合わせた働き方の検討など、ハローワークでは難しいこともある難病特有の事情への対処ができます。また、生活面や医療面の問題も含めた一体的な相談支援を行います。

 

難病相談支援センターによっては、就労に関する相談では、キャリアコンサルタントによる個別の相談を受けることが可能です。キャリアコンサルタントとは個人の能力や興味、特性に合わせた職業を提案することを目的とした国家資格をもつ人のことです。働く上で課題を持っている方それぞれに対して、最適な答えを見つけられるようにサポートしてもらえます。

 

注意点として、難病相談支援センターは仕事を紹介するようなサービスはありません。

地域障害者職業センター

各都道府県に設置されている地域障害者職業センターは、ハローワークと連携しており、障害や難病のある人の職業相談、専門的な職業評価、職業準備支援、ジョブコーチ支援や事業主支援とも連動した就職活動のサポートなどを行っています。

就労移行支援

就労移行支援は仕事探しから仕事に就くまでを一貫してサポートしてもらえるサービスです。一般企業などへ就職を目指す方を対象にして、個別の支援計画をたてて、必要な知識やスキルの習得を目指します。「難病だが、自分らしく仕事をしたい」「体調に合わせて柔軟に働ける仕事に就きたい」といった方々が利用できます。

 

難病の症状に合わせて、体調に無理のない範囲で働けるような仕事内容を一緒に考えたり、職場を探したりすることができます。

 

職場見学や実習などの交渉も行えるため、就職する前に一回体験したい方にもおすすめです。

 

仕事に就いた後でも働く上での疑問がある場合には相談することができるため、安心して仕事を継続することが可能です。

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就労移行支援事業所「LITALICOワークス」

 

LITALICOワークスは各地で就労移行支援事業所を運営し、障害のある方の「働きたい」をサポートしています。

 

LITALICOワークスでは一人ひとりの症状や得意不得意、希望する就職などを伺い、計画を立てたうえで支援をおこないます。

 

例えば以下のようなサポートを行なっています。

  • プログラムを通して自己理解を深め、ストレスコントロールを身につける
  • 企業インターンを通して、自分が安心して働けるような職場環境を探す
  • 就職後、本人と職場の定期的な面談を通して長く働きつづけるためのサポートを行う など

難病を開示するかどうかで悩んでいる場合でも、上記のような取り組みを通して自分に合う働き方を就労支援のスタッフと一緒に検討することもできます。その結果、難病を開示せず働くこととなった場合でも長く働き続けられるようサポートをおこないます。

 

LITALICOワークスは無料で随時相談を受け付けています。「体調に合った働き方がしたい」「自分に向いている仕事が分らない」という方は、ぜひ一度お問い合わせください。

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難病のある人が利用できる就労継続支援・ジョブコーチとは

続いて、難病のある方が利用できるサービスについて紹介します

就労継続支援A型・B型

就労継続支援は、企業などで働き続けることが難しくなった場合に、自分のペースに合わせて仕事できる環境を提供する福祉サービスです。

 

就労継続支援はその仕組みによってA型とB型に分かれています。

 

就労継続支援A型では、難病のある方で企業への就職が不安な時に、一定の支援がある企業と原則、雇用関係を結んで働くことができるサービスです。

 

勤務時間が短くなったり、難病の特性に合わせた柔軟な働き方ができるメリットがあります。

 

また、基本的には雇用契約を結んだ上で働く仕組みですので、最低賃金が保証されていることも特長です。

 

一方、就労継続支援B型では、難病がある方で企業への就職が不安な時に、雇用契約を結ばずに仕事できるサービスです。

 

体調に合わせて自分のペースで働くことができるので、継続もしやすいことが特長です。

職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業

難病のある方が仕事をする際、その仕事を遂行できるように具体的な目標を決めて計画を立てたい時は、ジョブコーチ支援事業を利用することができます。

 

業務内容に関わらず、職場でのコミュニケーションの支援も受けられたり、難病がある方が働きやすいように事業主に対する支援もおこないます。

 

労働者と雇用主、お互いに柔軟に働けるような仕組みを作るのがジョブコーチです。

 

雇用主も難病がある方に対して、どのような仕事をお願いしたらいいのかわからないケースもあります。

 

業務上でそのようなミスマッチが何回も発生するとお互いに不利となるので、ジョブコーチを活用して、スムーズに仕事を進めることができます。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターでは求職活動支援だけでなく、就職後の職場定着についての支援も行っています。

 

障害者就業・生活支援センターは、全国に334センター(2018年4月2日時点)あり、利用者が窓口へ赴いて相談します。生活と就労の両方の相談に応じているため、職場で生じた困り事についてだけでなく、日常生活での疾病管理と職業生活の両立のしかたなどについてもアドバイスをもらうことができます。

産業保健総合支援センター

都道府県の産業保健総合支援センター(産保センター)において、治療と仕事の両立支援のための専門の相談員(両立支援促進員)を配置し、両立支援に取り組む事業場への個別訪問支援や、患者(労働者)本人の同意のもとに行う、患者(労働者)と事業者の間の個別調整支援等を行っています。就業している難病患者は、治療と仕事の両立支援の対象です。

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難病のある人の仕事についてのまとめ

難病のある方が仕事を続けるためには、必要な定期的通院や服薬等の治療を確実に行い、適切な休養により体調管理ができる仕事に就き、職場の配慮を得て働くことが大切です。

 

主治医には具体的な仕事内容や職場の状況をよく説明した上で、治療と仕事の両立に向けて助言を得るようにしましょう。また、就職後に、必要な通院や体調管理できるように、職場にどのように説明していくのかについても検討し、説明方法の練習も行いましょう。また、就職後には、産業医等と相談し、治療と仕事の両立支援につながるようにすることも重要です。

 

難病があっても、デスクワーク等で無理なく活躍している人は多くいます。その仕事に必要な知識やスキルを身に付けておきましょう。

 

これらの準備を一人で進めるのはとても大変です。

 

場合によっては専門家や支援機関・サービス等の協力も得ながら、より長く働ける仕事を見つけましょう。

もし、支援機関などを活用したいけど、どんなところを使っていいかわからないという方は、まずはLITALICOワークスにご相談ください。

LITALICOワークスでは、各地の事業所でこれまで難病のある方の就職をサポートしてまいりました。

 

まずは相談から始めてみませんか?皆様からのご相談お待ちしております。

更新日:2023/10/05 公開日:2021/12/03
  • 監修者

    独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 主任研究員 博士(保健学)

    春名 由一郎

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