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お役立ち仕事コラム

ADHD(注意欠如多動症)のある方の時間管理やスケジュール管理・タスク管理を解説

更新日:2024/07/01

ADHD(注意欠如多動症)などの発達障害がある方のなかには「時間管理が得意ではない」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

発達障害の特性の中には、スケジュールやタスク(作業)の管理が困難に感じるというものもあり、時間に間に合わなかったり、ぎりぎりになってしまったりするケースもみられます。

 

しかし、いくつかのポイントを押さえることで、時間管理がしやすくなることもあります。

 

今回は、ADHD(注意欠如多動症)のある方へ向けて「時間管理が難しいと感じるそもそもの理由」や時間管理のポイントについて、解説していきます。

ADHD(注意欠如多動症)とは?

ADHD(注意欠如多動症)は、発達障害のひとつに分類されています。

 

なぜ、発症するのかについては、まだ明確になっていませんが「生まれつき脳機能に偏りがあること」が原因のひとつではないかといわれています。

 

特性としては、集中力が続かない(不注意)、じっとしていられない(多動性)、思いつくとすぐに行動してしまう(衝動性)などが挙げられます。

 

しかし、人によって「どの特性が強くあらわれるか」や程度はさまざまです。

 

また、子どもの頃に気づかれず、大人になってから診断を受けて、ADHD(注意欠如多動症)だと判明するケースもみられます。

 

※以前は「注意欠陥・多動性障害」という診断名でしたが、2022年(日本語版は2023年)発刊の『DSM-5-TR』では「注意欠如多動症」という診断名になりました。この記事では以下、ADHD(注意欠如多動症)と記載しています。

ADHD(注意欠如多動症)の特性は?

ADHD(注意欠如多動症)の特性は、大きく「不注意優勢型」「多動性・衝動性優勢型」「混合型」の3つに分かれます。

不注意優勢型

不注意優勢型の特性の例をいくつかご紹介します。

  • 小さなミスが多い
  • 同じ誤りを繰り返す
  • よく忘れ物をする
  • よく物を失くす
  • 整理整頓が苦手
  • 落とし物が多い
  • 集中力が続きにくい
  • 提出物の納期を過ぎてしまう
  • タスク(作業)の整理が苦手 など

※上記は一例です。

例えば、仕事上で「頼まれていた仕事が締め切りに間に合わない」や「書類を失くしてしまった」「ミスを繰り返して怒られてしまう」などのケースが起こる可能性があります。

 

また、不注意優勢型は、大人の方によくみられるといわれています。

 

その理由としては「子どもの頃は問題視されにくい」「大人になると、多動の症状が落ち着いてくるケースがある」などが挙げられます。

 

結果として、大人の場合は、不注意の症状が目立ちやすいのではないかと考えられています。

多動性・衝動性優勢型

多動性・衝動性優勢型の場合にみられる特性は下記の通りです。

  • 一方的に話をしてしまう
  • 落ち着きのなさが目立つ
  • 感情が高ぶりやすい
  • お金の管理が苦手
  • 静かにすることが苦手
  • 順番待ちが得意ではない
  • 失言をしてしまう など

※上記は一例です。

例えば、仕事上の場面では「悪気はないのに相手から誤解される」や「大切なことを上司に相談せずに一人で決めてしまった」などのケースが起こる可能性があります。

混合型

混合型は、不注意優勢型と多動性・衝動性優勢型の症状がどちらも目立つケースです。

 

また、上記3つの種類にあてはまるもの以外に、過度に集中しすぎる「過集中」の症状がみられる場合もあります。

ADHD(注意欠如多動症)のある方が時間管理やスケジュール管理・タスク管理を難しいと感じる理由

ADHD(注意欠如多動症)の症状によっては「時間管理が難しい」と感じてしまうケースがあります。

 

この項目では「なぜ時間管理が苦手だと感じてしまうのか」について、5つのパターンに分けて解説していきます。

1.物事を整理して優先順位をつけるのが苦手

ADHD(注意欠如多動症)の症状のひとつ、「物事を整理して優先順位をつけるのが苦手」にあてはまる場合、期限や約束の時間から逆算して考えることが上手くいかないことがあります。

 

例えば、3日後までに資料を作成して提出するように頼まれたとします。

 

間に合うように段取りをして作業に取り組みますが、ADHD(注意欠如多動症)のある方の場合、さまざまな原因によって計画通りに進められないことがあります。

 

具体的には「ふと、思いついた別の作業をしてしまう」などのパターンが挙げられます。

 

また、そもそもの優先順位が分からなくなっているケースも考えられます。

 

結果として、提出期限に間に合わず「時間管理ができていない」と悩む方も多くいます。

2.ほかのことに集中しすぎてしまう

約束の時間や提出物の納期に間に合わなくなる理由のひとつとして「目の前のことに集中し過ぎてしまう(過集中)」が挙げられます。

 

もちろん、集中して物事に取り組むことは悪いことではありません。

 

しかし、過集中で1つの業務に時間をかけすぎてしまい、ほかの業務をおこなう時間が無くなってしまって「時間管理ができない」と悩んでしまうことがあります。

3.タスクやスケジュールを忘れてしまう

ADHD(注意欠如多動症)の不注意性が強い場合、頼まれていた業務の存在を忘れてしまうことがあるかもしれません。

 

後から思い出したものの、時間がなく、間に合わない状況が何度も起こることで、自信を失くしてしまう可能性もあります。

 

また、業務だけでなく「10日の15時から会議」などのスケジュールを忘れてしまい、仕事に支障が出てしまうケースも少なくありません。

4.集合場所に辿り着けないことがある

集合場所に辿り着けない(集合時間を過ぎてしまう)ことが続き「上手く時間管理ができない」と落ち込んでしまう方もいらっしゃいます。

 

これは、ADHD(注意欠如多動症)の衝動性と不注意性が関係していると考えられます。

 

衝動性が強いと「ひとまず、目的地に近い駅までつけばいい」と考えてしまい、駅から目的地までのルートや、かかる時間を気にせずに行動してしまうことがあります。

 

また、不注意性が強い場合、目的地や集合時間を勘違いし、遅刻へ繋がるケースもみられます。

5.朝に起きられないことがある

社会人の場合、朝に寝坊をしてしまい、遅刻が続くことで「時間管理ができていない」と思われてしまう場合があります。

 

朝に起きられない理由としては「夜寝る前に何かの作業に没頭し、夜更かしをしてしまった」などが挙げられます。

 

また、目覚ましを止めた後に眠ってしまう場合、「行動の切り替えが苦手」という発達障害の特性が関係している可能性も考えられます。

 

「発達障害がある方は睡眠障害を併発している場合も多い」といわれているため、もしも睡眠について困っていることがある場合、一度、専門の医師へ相談してみるとよいでしょう。

6.物事を先送りにしてしまう

仕事で優先して仕上げる必要がある業務でも、「やりたくないな」という気持ちが先行して先延ばしにしてしまうことも挙げられます。

 

そして「やらなければいけない」と思いながらも、衝動性もあって「自分がやりたい仕事」を優先してしまい納期ぎりぎりになってしまうことがあります。

 

ぎりぎりで間に合ったという経験から、同様なことを繰り返してしまう場合もあるので、優先順位通り進める対策が重要になります。

 

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ADHD(注意欠如多動症)のある方の時間管理やタスク管理で大切なこと

ADHD(注意欠如多動症)のある方が、時間管理やタスク管理をする際に、意識するといい点について見ていきましょう。

 

パターン別に、大切なポイントをご紹介していきます。

物事の整理整頓が苦手な場合(納期に間に合わない)

物事を上手く整理できない場合は、一度紙に書き出して「なにをしなくてはいけないのか」を目に見える状態にすることが大切です。

 

手順としては、まずやるべきことを書き出して、その後に優先順位と必要な時間を記載していきます。

 

このようにして作ったリストは「Todoリスト」と呼ばれ、仕事を効率的におこなうために、多くのビジネスパーソンが取り入れています。

 

もちろん、仕事だけでなく、日常生活において取り入れることもできます。

 

1.やるべきことを書き出す

最初に、しなくてはいけないことを紙にすべて書いていきます。

 

このとき、期限があるものは合わせて記載しておくと、次の「2」がしやすくなります。

 

ポイントは細かく書き出すことです。

 

例えば、「資料を作成して30部コピーする」という内容は「資料を作成する」と「30部コピーする」のふたつに分けて書きます。

 

このように、作業を細かくすることで「自分が何をしなくてはいけないのか」が、より目で見て分かりやすくなります。

 

2.優先順位と必要な時間を記載する

「1」で書き出した作業に優先順位と必要な時間を記載していきます。

 

仕事の業務に優先順位を付けるのが苦手な方や、優先順位は分かっていてもついほかのことに注力してしまう方がいらっしゃいます。

 

そのような方は、自身で記載するだけでなく先輩や上司の協力を得ることも視野に入れましょう。

 

作成したTodoリストは、こまめにチェックし、作業が終わったら線を引いて消していきます。

 

やるべき作業が終わったことを目で確認できるため、達成感を得られる点もTodoリストを活用する魅力のひとつです。

 

ただし、ToDoリストの作成に夢中になるあまり、ほかの作業に支障が出ないように注意が必要です。

 

一つのことに集中しすぎてしまうという方は、次のポイントを確認してみましょう。

ほかのことに集中しすぎてしまう場合

ひとつのことに集中しすぎてしまうあまり、ほかの作業が進まなくなる場合は、あらかじめ業務をする時間を決めて、アラームを鳴らす方法が有効的です。

 

ただし、ほかの人がいる場所であれば、マナーモードに設定するなどの工夫が必要です。

 

また、上記をおこなうためには、前もって各業務ごとにかける時間を決める必要があります。

 

そのため、前の項目でご紹介したTodoリストをもとに「今日はこの業務に2時間かける→アラームを2時間後にセット」と計画を立てながら実践しましょう。

タスクやスケジュールを忘れてしまう場合

タスクやスケジュールをよく忘れてしまう場合は、メモをとるクセをつけましょう。

 

ポイントは、小さなことであっても、書き留めることです。

 

例えば、職場で「メールで送ったデータを今日の13時までに20部コピーしてほしい」と依頼されたとしましょう。

 

一件、簡単な指示に見えますが、上記の依頼には3つの情報が含まれています。

  • 送られてきたデータ(何を)
  • 今日の13時まで(いつまでに)
  • 20部コピーする(どうする)

つまり「このくらいであれば、覚えられる」と思ってメモをとらないと、いずれかの情報を忘れてしまう可能性があるということです。

 

また、メモをしたノートをどこかに忘れてしまわないように注意が必要です。アプリの場合はアラームをセットするなど工夫すると抜け漏れを防ぐ効果が期待できます。

 

最近は、ウェアラブルメモ(身に着けるタイプのメモ帳)も発売されているため、一度チェックしてみるとよいでしょう。

集合場所に辿り着けないことが多い場合

よく道に迷ってしまったり、電車の運行情報を調べずに家を出てしまったりする方は、早めに行動するクセをつけるようにしましょう。

 

もしも、想定外の事態が起こったとしても、時間に余裕があれば、間に合う可能性が高くなります。

 

また、早めの行動をしているうちに「〇分前に到着するつもりで家を出ると間に合う」という遅刻しないためのパターンが見つかるかもしれません。

 

さらに、試験などの重要なイベントがあるときは、当日迷わないように、一度会場までの道を歩いてみることをおすすめします。

朝に起きられない場合(遅刻してしまう)

朝起きられずに遅刻してしまう場合は、下記ふたつの対策を実践しましょう。

 

起きる時間と寝る時間を決める

過集中によって、つい夜更かししてしまう場合の対策として「起床時間と就寝時間を決める」が挙げられます。

 

上記ふたつを決めることは、生活リズムの安定にも繋がります。

 

大切なポイントは「一日の中で起床と就寝の時間は守る」とルールにすることです。

 

もしも、いきなり時間を固定することが難しいと思ったら、まずは朝起きる時間だけを意識して実践してみましょう。

 

目覚まし時計やアラーム機能を利用する

目覚まし時計や携帯のアラーム機能を設定している方は多いはずです。

 

それでも起きられない場合は、下記を試してみましょう。

  • ベッドから離れた場所に目覚まし時計を置く
  • 部屋のいろいろなところに複数の目覚まし時計を置く
  • 光る目覚まし時計を使う

また、日光の光を使って身体を起こすために、カーテンを開けて寝る方法もおすすめです。

 

自分だけで起きるのは難しいと感じた際は人に起こしてもらうサービスもありますので、検討してみるといいでしょう。

 

なお、紹介した方法は一例です。人によって合う方法は異なるので、上記を参考に自分に合う方法を探してみましょう。

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ADHD(注意欠如多動症)などで仕事にお悩みがある方へ

 

ADHD(注意欠如多動症)などで仕事にお悩みがある方は「就労移行支援」の利用を検討してみるとよいでしょう。就労移行支援とは、障害のある方の就職をサポートする福祉機関のことです。

 

「時間管理がどうしてもうまくいかない」などのお悩みを相談できるだけでなく、一人ひとりに合った仕事を見つけるための面談もおこなっています。また、ストレス対処法やメモの取り方など、さまざまな研修やセミナーを開催しているところもあります。

 

就労移行支援事業所のLITALICOワークスは、全国各地で就職の支援をおこなっています。

 

就職のお悩みのある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

ADHD(注意欠如多動症)のある方の時間管理やスケジュール管理・タスク管理のまとめ

ADHD(注意欠如多動症)の症状によっては「時間管理が得意ではない」と感じる場合があるかもしれません。

 

しかし、症状に合った対策をとることで、スケジュール管理やタスク管理がしやすくなることもあります。

 

まずは「自身がなぜ、時間管理が得意ではないのか(過剰に集中する・時間の逆算が苦手、など)」を把握し、その原因をフォローできる対策を考えてみましょう。

 

もし仕事で働くことのお悩みがありましたら、ぜひお気軽にLITALICOワークスにご相談ください。

更新日:2024/07/01 公開日:2022/04/14
  • 監修

    鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授/LITALICO研究所 客員研究員

    井上 雅彦

    応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。

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