ADHDの根本的な原因はまだ解明されていませんが、脳機能の偏りが原因のひとつであるといわれています。
【脳の特定部位の機能障害】
集中力の維持や行動の計画などの働きをするための「前頭前野」とスムーズな行動を行うための「尾状核」の働きが弱いことが原因とされています。
【神経伝達物質「ドーパミン」の働きが弱い】
神経伝達物質のうち「ドーパミン」は、目的のある行動(学習や作業など)を促したり、ワーキングメモリーを働かせたりする重要な役割があるといわれています。
ドーパミンの働きが低下すると、不注意や多動性、衝動性などの特性が現れやすくなります。
【ADHDにかかわる実行機能】
実行機能とは「状況や場面を把握し、うまく対処するためにはどのような行動をとればいいかを反応し、実行する」ことをいいます。
実行機能は複数の要素があり、それぞれ相互作用しながら働くものと考えられます。特にADHDに関わる実行機能は大きく分けて6つの要素があります。
- 取り掛かり
課題の整理、優先順位づけ
- 焦点化
課題に対する注意の焦点化、注意の維持、注意の移動
- 努力
課題を遂行するために意識を覚醒させる、努力の維持、適切な処理速度
- 感情
欲求不満の管理、感情の調整
- 記憶
ワーキングメモリー(作業記憶)の活用と想起
- 行動
自分の行動を客観的に監視し、必要に応じて自己制御する機能
アメリカの精神科医トーマス・E・ブラウンによると、ADHDにかかわる「実行機能」の中の一部、もしくは全てに機能障害のためにADHDの特性が現れるのではないかといわれています。