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お役立ち仕事コラム

適応障害とうつ病の違いは?特徴や症状・診断基準について解説

更新日:2022/07/05

なにかしらの強いストレスが原因で「激しい気分の落ち込み」や「不安感」に悩まされている場合、適応障害を発症している可能性があります。

 

しかし、適応障害の症状はうつ病と似ているため「どちらの疾患か判断がつきにくい」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

そこで、今回は適応障害とうつ病の特徴や症状、診断基準について解説します。また、適応障害やうつ病と上手く付き合いながら、仕事を続けるポイントもご紹介します。

適応障害とうつ病の違いとは?

適応障害の症状とうつ病の症状は似ている点もありますが、実際は異なる疾患です。

 

この項目では、それぞれの疾患の特徴について解説していきます。

適応障害の特徴

 

適応障害とは、本人にとって耐えがたいストレスが引き金となり「気持ちが落ち込む」「不安感が強くなる」などの症状が現れる障害です。

 

ストレスの原因は仕事、恋愛、家族、学校、病気など人によってさまざまです。

 

うつ病と異なる特徴としては、ストレスとなっている原因や環境から距離を置くことで、うつ病より比較的早く症状が緩和される点が挙げられます。

 

また、適応障害からうつ病に移行することもあり、「繊細で傷つきやすい」や「切り替えが上手くできない」といった傾向のある方は、適応障害になりやすいといわれています。

うつ病の特徴

 

うつ病は、気分が激しく落ち込み「何もする気が起こらない」「体がだるい」などの状態が続く気分障害のひとつです。

 

日本では100人に6人がうつ病を経験したことがあるという報告もあります。

 

明確な原因は明らかにされていませんが、さまざまな研究よって「うつ病の原因となる要素はひとつではない」ことがわかっています。

 

そのため、辛かったり、悲しかったりする出来事がきっかけとなり、うつ病を発症した場合であっても、背景にはいくつかの原因が潜んでいることがあると言われています。

 

原因が複数あるため、適応障害とは異なり「ストレスの元となっている要素から離れても、すぐには良くならない」という特徴があります。

 

といっても、ストレスから離れることはうつ病の回復にとても大切なことです。

 

また、うつ病になりやすい方の傾向としては「完璧主義」「生真面目」「周囲に気を遣ってしまう」などが挙げられます。

適応障害とうつ病の症状

適応障害とうつ病の症状を項目ごとにご紹介します。

適応障害の症状

適応障害の症状としては、下記が挙げられます。

  • 寝つきが悪くなる
  • 倦怠感がある
  • 気分が落ち込む
  • 絶望感に苛まされる
  • やる気が起こらない
  • 無断欠勤をする
  • アルコールに依存する
  • 荒い運転をする
  • 遅刻しがちになる など

上記のように、精神面だけでなく身体的、行動面において症状が生じることがあります。

うつ病の症状

うつ病の症状をいくつかご紹介します。

  • 気持ちが沈む
  • イライラしてしまう
  • 元気がでない
  • ネガティブな考えになる
  • 疲れやすくなる
  • 体重が変化する
  • 夜中に起きてしまう
  • 好きなことにも興味がなくなる など

症状の例を見てもわかる通り、うつ病の症状は適応障害と似ている点があるため「どちらにあてはまるのか?」は個人では判断できません。

 

上記のような症状が見られ、日常生活や仕事などで困難や苦痛を感じる際は、専門の医療機関にて受診を検討すると良いでしょう。

 

なお、適応障害やうつ病の症状が見られる場合には、精神科や心療内科を受診します。

 

精神科や心療内科の受診が初めてで不安という方は、事前に病院に電話やメールで不安を感じる部分について相談してみると良いでしょう。

適応障害とうつ病の診断基準

適応障害とうつ病の診断基準について、アメリカ精神医学会によって出版された「DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)」をもとに解説します。

 

DSM-5には、世界共通で使用されている精神疾患の診断基準が記載されています。

適応障害の診断基準

適応障害の診断基準は下記の通りです。

  1. 明確なストレス原因により、ストレスが始まってから3ヶ月以内に症状が出た
  2. 次のうち、どちらかにあてはまる
    ・ストレスの原因から出ている症状が、一般的に予想されるよりもはるかに強い
    ・仕事や日常生活において支障が出ている
  3. ほかの精神疾患では説明がつかない
  4. その症状は死別反応ではない
  5. ストレスの原因が終結すると、その後症状は6ヶ月以上続くことはない

1~5を満たした場合、適応障害と診断されることがあります。

うつ病の診断基準

DSM-5によると、うつ病は「抑うつ症候群」のひとつに分類されています。

 

「大うつ病性障害」と呼ばれることもあります。

 

下記に記載している9つの症状のうち、1もしくは2を含む5つ以上にあてはまり、2週間以上症状が続いている場合は、うつ病と診断されることがあります。

  1. ほぼ毎日、気持ちが落ち込んでいる
  2. ほぼ毎日、何にも興味がわかず、喜びを感じない
  3. ほぼ毎日、食欲が低下、もしくは増加し、体重の減少や増加が激しい
  4. ほぼ毎日、眠ることができない、もしくは寝すぎてしまう
  5. ほぼ毎日、話すことや行動が鈍くなったり、落ち着きがなくなったり、イライラしたりする
  6. ほぼ毎日、疲労感があったり、やる気が起こらなかったりする
  7. ほぼ毎日、自分には価値がないと感じたり、自身を責めたりする
  8. ほぼ毎日、考えが上手くまとまらず集中力が低下し、決断できない
  9. 死ぬことや、自分を傷つけることを考えてしまう

うつ病と診断するためには、1の「憂うつな気分」と、2の「興味や喜びがなくなる」のどちらかが当てはまる必要があります。

 

また「症状が原因で職場などの社会的環境下での困難や苦痛といった支障を起こしているか」などもふまえて診断されます。

適応障害とうつ病の治療方法

適応障害とうつ病の治療方法について、それぞれに分けて解説します。

適応障害の治療方法

適応障害の治療方法としては、環境調整、薬物療法、精神療法の3つが挙げられます。

環境調整

まずは、現実的に可能な範囲でストレスの要因から離れることを試みます。

 

例えば「仕事量や作業内容の調整をする」「(業務調整が難しい場合)休職する」「転職する」「苦手な人と距離を置く」「子育てや家事の分担」などです。

 

また、可能であれば自分の興味のあることをしてリフレッシュすることも大切です。

薬物療法

必要に応じて薬が処方されることがあります。

 

具体的には、症状に応じて抗うつ薬、抗不安薬、睡眠導入薬などが使用されます。

 

しかし、適応障害において、薬物療法は根本的な治療ではなく、症状を和らげるための補助的な役割であることを覚えておきましょう。

精神療法

ストレスの原因となる環境から離れられない場合に重要となるのが適応力です。

 

例えば、「認知行動療法」などの精神療法が取り入れられることがあります。

 

認知行動療法では、マイナス思考になりがちな思考に働きかけて、バランスの良い考え方ができるように心を整えていきます。

 

精神療法はただ受けるだけではなく、本人が現状を変えようとする姿勢も大切です。

 

ただし、無理をしたり焦ったりする必要はなく、主治医と相談しながら徐々にできる範囲から初めていくと良いでしょう。

うつ病の治療方法

つづいて、うつ病の治療方法を見ていきましょう。

薬物療法

うつ病を治療するために、抗うつ薬が主に使用されます。

 

ただし、服用後、すぐに症状が良くなるわけではなく、効果が現れるのに1〜2週間程度かかるといわれています。

 

そのため、焦らず継続的に治療を続けることが大切です。

 

勝手に薬の量を増やしたり減らしたり、服用を止めたりすると、症状が良くならないばかりか、副作用が起こるケースがあるため、自己判断はせず必ず主治医に相談するようにしましょう。

休養・環境調整

心と体をゆっくりと休めることも、うつ病の治療には欠かせないポイントです。

 

主治医に相談したうえで、会社へ「残業を減らしてもらえないか」「他部署への異動ができないか」など、心身への負荷が強い環境を変えることができないか相談してみましょう。

 

また、場合によっては休職や退職を検討することも選択肢の一つです。

 

責任感がある方ほど「職場に迷惑がかかる」と考えてしまいますが、無理をすると症状が悪化したり、回復までに時間がかかってしまいます。

 

うつ病を治すためにも、できるだけ心身への負担を減らす工夫を行ったり、また、栄養バランスの良い食事や規則正しい生活リズムなども意識すると良いでしょう。

精神療法

うつ病の治療でも、適応障害と同じく精神療法を行うことがあります。

 

悲観的になりがちな考え方や思考のクセを改善する「認知行動療法」や、対人関係の問題を解消し、ストレスを軽くする「対人関係療法」などが取り入れられています。

適応障害やうつ病と付き合いながら仕事をする上で大切なこと

適応障害やうつ病と上手く付き合いながら仕事を続ける上で、意識したいポイントをご紹介します。

職場の配慮を得る

適応障害やうつ病と付き合いながら働く場合、少しでもストレスとなる要因から距離を置くことを考えましょう。

 

そのために、可能な範囲で職場の配慮やサポートを得ることが大切です。

 

例えば、職場に下記のことを依頼するといった方法があります。

  • シフトの調整
  • 業務の量を減らす
  • 外部との窓口業務を回避する
  • 役職から外してもらう
  • 業務内容の変更 など

自身のストレスの要因をふまえたうえで、どのような配慮があると働きやすいか考え、職場に相談してみましょう。

自己判断で薬の服用を止めない

うつ病や適応障害のある人へは、薬が処方されることがあります。

 

薬を飲むことによって、症状を抑えたり、気持ちを安心させたりすることができるため、必ず医師の指示通りに飲みましょう。

 

「仕事が忙しくて飲み忘れた」「症状が良くなってきたから、自己判断で量を減らす」などの状況にならないようにお気をつけください。

無理をしない

うつ病や適応障害の症状と付き合いながら仕事を続けるためには「無理をしない」ことが大切です。

 

また、人それぞれ症状が異なるため、「このくらい大丈夫」と自分で考えず、ちょっとしたことでも医師に相談してみると良いでしょう。

 

もしも働くことが辛いと思ったら、休職や退職も視野に入れる必要があります。

就職や職場復帰は専門機関の支援の利用を検討する

一定期間、仕事から離れると復帰をするときに不安を感じるのは自然なことです。

 

また、うつ病や適応障害があるときは、症状を悪化させないためにも、特性をふまえたうえで仕事選びを行うことが大切です。

 

そのため、自分一人で判断がつかないときに、ハローワークや就労支援事業所などの機関を利用すると安心です。

 

例えば、ハローワークには、障害や疾患のある方をサポートする専門援助部門があります。

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適応障害とうつ病の違いのまとめ

適応障害とうつ病は、それぞれ異なる疾患ではあるものの、気分の落ち込みや倦怠感、寝つきが悪くなるなど、似た症状が現れることもあります。

 

適応障害とうつ病は治療方法が異なるところもあるため、精神科や心療内科で正確な診断を受けたうえで、適切な治療を行う必要があります。

 

また、うつ病や適応障害と付き合いながら仕事を続ける場合は、絶対に無理をせず、一人で判断することが難しい場合は専門医や支援機関のサポートを検討してみましょう。

精神疾患のある方の就職支援について

「働きたい」という気持ちはあっても、適応障害やうつ病などの精神疾患があって働くことに不安を感じる方も多いでしょう。

そのようなときに活用できる支援の一つに、「就労移行支援」があります。
就労移行支援とは精神疾患をはじめとする障害のある方へ、就職に必要な知識やスキル向上のためのサポートをおこなう福祉機関のひとつです。

LITALICOワークスは、障害特性への理解があるスタッフが、一人ひとりの悩みや気持ちに寄り添い、それぞれに合った目標やペースで、就職までの道のりをサポートします。


「体調が不安定」「自分に合った仕事が分からない」「仕事が長続きしない」など、就労に関するお悩みをぜひ、お気軽にご相談ください。

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参考文献・URL

更新日:2022/07/05 公開日:2022/02/07
  • 監修

    医学博士/精神科専門医/精神保健指定医/日本産業衛生学会指導医/労働衛生コンサルタント

    染村 宏法

    大手企業の専属産業医、大学病院での精神科勤務を経て、現在は精神科外来診療と複数企業の産業医活動を行っている。また北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場のコミュニケーション、認知行動療法、睡眠衛生に関する研究や教育に携わった。

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