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お役立ち仕事コラム

身体障害とは?種類や症状・仕事や就職で利用できるサービスや支援機関をご紹介

更新日:2023/10/05

身体障害とは「身体の機能に障害がある状態」のことです。

 

身体障害があることで、生活・仕事で困りごとを感じるときはありませんか?

そんなときは、支援機関や福祉サービスなど活用しても良いかもしれません。

 

この記事では、身体障害の種類を始め、身体障害者手帳や活用できる支援機関、働く上での配慮事例など、幅広くご紹介します。

生活や仕事で困ったときに使える選択肢の一つとして、ぜひご参考ください。

身体障害とは?

身体障害の定義

身体障害とは分かりやすくいうと「身体の機能に障害がある状態」のことをいいます。
視覚障害や聴覚障害、内部障害なども、身体障害の一つです。

身体障害者福祉法の「身体障害」は、次の通り定義とされています。

  • 身体障害の定義
    身体の機能に障害があって、身体障害者手帳を交付された18歳以上の方
    ※18歳未満の方は児童福祉法に位置づけられます。児童福祉法では「身体に障害がある18歳未満」を「身体障害」と定義されています。

身体障害者福祉法に定められている身体障害の症状の種類や身体障害者手帳などについては、後の章で詳しく解説していきます。

身体障害の症状の種類について

身体障害の症状の種類はどのようなものがあるか、ここで簡単に見ておきましょう。

身体障害者福祉法によると、大きく分けて次の5つがあります。

視覚障害

視覚障害とは、視力や視野などに障害があって、目が見えにくい・見えない状態です。

 

視覚障害の症状

視覚障害のある方は以下のような症状が見られることがあります。

  1. 両目の視力がそれぞれ0.1以下のもの
  2. 一眼の視力が 0.02 以下、他眼の視力が 0.6 以下のもの 
  3. 両眼の視野がそれぞれ 10 度以内のもの 
  4. 両眼による視野の2分の1以上が欠けているもの 

参考:厚生労働省「身体障害者の範囲について」

聴覚障害 または 平衡機能障害

聴覚障害とは、音を伝えるための外耳・中耳、音を感じ取るための内耳などに

何かしらの障害があって、耳が聞こえにくい・聞こえない状態です。

 

平衡機能障害とは、耳や脳神経などの機能に障害があって、起立や歩行などに支障がでている状態です。

 

聴覚障害の症状

聴覚障害のある方は以下のような症状が見られることがあります。

  1. 両耳の聴力レベルがそれぞれ 70 デシベル以上のもの 
  2. 一耳の聴力レベルが 90 デシベル以上、他耳の聴力レベルが 50 デシ ベル以上のもの

参考:厚生労働省「身体障害者の範囲について」

平衡機能障害の症状
平衡機能障害の症状としては、「平衡機能の著しい障害」が挙げられます。

 

具体的には目を開けた状態で立っていることができない、または目を開けた状態で又直線を歩行中に10m以内に転倒若しくは著しくよろめいて歩行できない状態をいいます。

参考:愛知県「身体障害認定基準(第2 個別事項)<聴覚又は平衡機能の障害>」

音声機能、言語機能 または そしゃく機能障害

音声機能・言語機能は構音器官の障害などによって、音声を発することが難しかったり、音声・言語のみで意思疎通に支障がでている状態です。

 

そしゃく機能障害は、食べ物を噛み砕いて食べるための機能に障害があって、摂取できる食べ物の内容や摂取方法に支障がでている状態です。

 

音声障害・言語機能障害の症状

音声障害・言語機能障害の症状は、3級では音声を全く発することができないか、発声しても言語機能を喪失した状態のことをいいます。

また4級では音声、言語のみを用いて意思を疎通することが困難な状態のことをいいます。

参考:愛知県「身体障害認定基準(第2 個別事項)<音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害>」

そしゃく機能障害の症状

そしゃく機能障害の症状は、3級では経管栄養以外に方法のないそしゃく・嚥下機能の障害のことをいいます。

 

4級では著しいそしゃく・嚥下機能または、咬合異常によるそしゃく機能の著しい障害がある状態です。

参考:愛知県「身体障害認定基準(第2 個別事項)<音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害>」

肢体不自由

上肢、下肢、体幹に障害があり、具体的には、握る・なでる・摘むといったような手指の機能障害、歩く・登る・座るといったような下肢の機能障害、運動機能などに障害があって、日常生活の動作へ支障がでている状態です。

 

肢体不自由の症状

肢体不自由の症状として、「軽度の障害」と呼ばれるものだと日常生活に支障をきたすと見なされる値(概ね90度で足関節の場合は30度を超えないもの。)の状態をいいます。

 

「機能の著しい障害」ですと、各々の部位で関節可動域が日常生活に支障をきたすと見なされる値(概ね90度)のほぼ30%(概ね30度以下)のものをいいます。

 

さらに「全廃」の状態だと関節可動域が10度以内のものをいいます。

※ただしこの数値は、機能障害の一面を表したものであるので、その判定に当たっては、その機能障害全般を総合した上で定めなければならない。とされています。

参考:愛知県「身体障害認定基準(第2 個別事項)<肢体不自由>

内部障害

内部障害とは、身体の内部に障害がある状態です。

内部障害の種類は以下の通り挙げられます。

 

・心臓機能障害
全身に血液を送り出す心臓の機能に障害があって、日常生活へ支障が出ている状態です。中には「ペースメーカー」という医療機器を胸部に埋め込まれている方もいます。

 

・じん臓機能障害
じん臓の機能が低下し、老廃物や余分な水分など排泄することができなくなったりする状態です。

 

・呼吸器機能障害
肺などの呼吸器の機能が低下したことにより、呼吸が難しくなる状態です。

 

・ぼうこう または 直腸の機能障害
排便・排尿などの機能が低下し、日常生活へ支障がでている状態です。中には、排泄物を体外に排泄するための「ストーマ(人工肛門・人工膀胱)」を造設した方(オストメイト)もいます。

 

・小腸の機能の障害
広範囲に及ぶ小腸切除や小腸疾患によって、小腸の機能が低下し、口から摂取する食べ物や薬で栄養を維持することが難しくなったりする状態です。

 

・ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害
HIVウイルス感染によって、ある種の白血球が破壊され、免疫機能が低下している状態です。

 

・肝臓の機能の障害
何らかの原因で肝臓の機能が低下し、全身倦怠感やからだのむくみ、黄疸などの症状が現れやすくなる状態です。

身体障害者手帳について

身体障害のある方をサポートするために代表的なものとして「身体障害者手帳」があります。

身体障害者手帳とは

身体障害福祉法に定める障害に該当すると認められた場合、本人からの申請に基づき、身体障害者手帳の交付がされます。

 

 

身体障害者手帳の交付がされると、各種の手当や医療費の助成、税金の控除、公共料金の減税など(※)が受けられます。また、福祉サービスを利用しやすくなったり、障害者求人への応募ができたりといったように、受けられる支援の幅も拡がります。

 

(※)お住まいの自治体によって受けられるサービスの内容が異なります。

 

一方で身体障害者手帳が交付することで不利なことはあるのではないかと心配されるかもしれません。

 

身体障害者手帳の申請は義務ではないため、不必要なときは返却することもできます。また身体障害者手帳を取得していることを履歴書などに記載する義務などもありません。

 

さまざまなサポートを受けたいと考えている方は身体障害者手帳を取得した方がメリットが大きいといえるでしょう。

 

身体障害者手帳の詳細を知りたい方は、お住まいの自治体の障害福祉窓口などでご確認ください。

身体障害のある方が受けられるサービス・制度

身体障害のある方が生活を送る上で、移動やコミュニケーションなどに困りごとを感じるときがあるかもしれません。

 

そのようなときは、この後に挙げる支援機関や福祉サービスなど活用すると良いでしょう。

 

ここでは、受けられる支援(生活編)の一部をご紹介します。

 

※お住まいの自治体、障害の状況や重症度などによって受けられるサービスの内容が異なります。詳細はお住まいの自治体へご確認ください。

経済的なサービス・制度

身体障害のある方が受けることができる、経済的なサービスや制度について紹介します。

障害年金

病気やケガなどによって生活・仕事などに著しい制限がある場合に受け取ることができる年金です。障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」があり、受け取るためには受給要件を満たす必要があります。

更生医療

日常生活をより送りやすくすることを目的とした治療(身体障害者の障害を除去・軽減するための手術など)にかかる費用(自立支援医療費)に対して支給を受けることができる制度です。

心身障害者医療費助成制度

健康保険に加入している重度障害のある方が病院へ受診したときの自己負担分を軽減するための医療費助成制度です。

・日常生活用具/補装具の交付

日常生活をおくるのに必要な用具・補装具を給付(または貸与)する制度です。

 

※用具・・日常生活をサポートするためのもの(例:ストーマ装具、透析液加湿器など)補装具・・身体障害のある方が装着することで機能を補完するもの(例:補聴器、義足、義眼など)

日常生活のサポート

相談支援事業所

自立した日常生活や社会生活に向け、本人の希望や状況に合わせて、福祉サービスや人をつなげ、地域とのよりよい関係を築くサポートを行うサービスです。

 

自立訓練(機能訓練)

障害のある方が日常生活をより送りやすくなるよう、生活に関する相談、理学療法士などによるリハビリテーション、歩行・家事の練習などを行うサービスです。

 

生活介護

常に介護を必要とする方へ、入浴や排せつ、食事など日中活動をサポートするためのサービスです。

具体的には自宅での入浴・排泄などをサポートする訪問系の「居宅介護」や、介護だけではなく創作活動などの機会も提供する日中活動系の「生活介護」、施設での入浴・排泄、食事などをサポートする施設系の「施設入所」などがあります。

身体障害と仕事に関する制度

身体障害のある方の働き方として、「就労継続支援(A型・B型)」・「障害者雇用」・「一般雇用」があります。

就労継続支援(A型・B型)

通常の事業所に雇用されることが困難である方に対して、就労の機会や生産活動などの機会の提供、また、その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練・支援を行う事業所となります。

 

障害者雇用

障害者雇用とは、分かりやすく言うと「障害者求人に応募して雇用される」のことで、各企業が障害者雇用促進法に基づいて障害者雇用を実施しています。

 

障害者雇用促進法とは、障害のある方の雇用安定を実現するために定められたもので、具体的には障害のある方が働きやすいようにサポートする(合理的配慮の義務)などのルールがあります。

 

そのため、障害のある方の特性や能力などに合わせた求人が多く、働く上でのサポートが得られやすいことが特徴となっています。

 

一般雇用

一般企業の応募条件を満たせば、誰でも応募できる求人のことです。一般企業では「障害を開示する働き方(オープン就労)」をされる方もいれば、「障害を開示しない働き方(クローズ就労)」をされる方もいます。

 

【無料】LITALICOワークスで働き方について相談してみる

身体障害と仕事に関するサービス・支援

ここまで身体障害のある方の働き方について紹介しましたが、実際に「働く上で困っていることがある」「これからの働き方に迷っている」「配慮がなかなか得られない」といったようなお悩みがあるかもしれません。そのような働くことへのお悩みを相談できる支援機関などがあります。

 

ここでは身体障害のある方が受けられる支援(仕事編)の一部を紹介しますので、ぜひ活用してみてください。

 

※お住まいの自治体、障害の状況や重症度などによって受けられるサービスの内容が異なります。詳細はお住まいの自治体へご確認ください。

仕事や就職について相談できるサービス・支援先

障害者職業センター

都道府県に設置されている機関で、障害のある方に対する職業リハビリテーション、就職支援、就労継続支援などを行います。

障害者就業・生活支援センター

障害のある方に対して就業面と生活面の一体的な相談・支援を行い、自立・安定した職業生活の実現をサポートしています。

ハローワーク

ハローワークには障害のある方のための「障害者相談窓口」があります。
専門の相談員によって障害のある方の就職相談や求人探しなど幅広いサポートが受けられます。障害者手帳がなくても相談することはできます。

 

障害のある方の就職をサポートする就労移行支援

就労移行支援は一般企業に就職を希望する方々へ、働くための様々なサポートを行う福祉サービスです。

 

LITALICOワークスは各地で就労移行支援事業所を運営しており、これまで1万人以上の方の就職をサポートしてきました。

障害のある方が自分らしく働くために、ストレスコントロール・PC訓練・企業インターン・面接練習など一人ひとりに合わせたサポートを提供しています。

 

「働くことに悩んでいる」「体調が不安定で働けるかわからない」「一人で就職活動がうまくいかない」などお悩みのある方は、まずは就職支援のプロに相談してみませんか?

【無料】就職支援のプロに相談する

身体障害のある方が仕事でできる対策や対処法は?

LITALICOワークス(就労移行支援事業所)で受けられる支援の一つとして、障害のある方が働きやすくなるよう、企業・本人の間で「合理的配慮」の調整をサポートしています。

 

「合理的配慮(※1)」とは、お互いが平等・公正に支えあい、共に活躍するための調整をするという考え方のもと、本人の特性や場面によって発生する困りごとを解決できるようにするための調整・配慮をおこないます。

 

ここでは、身体障害のある方の合理的配慮の事例(※2)を一部ご紹介します。

 

(※1)
合理的配慮は、2016年4月1日より施行された「改正障害者雇用促進法」(正式名称:障害者の雇用の促進等に関する法律)により、事業主は法的義務として障害のある方の障害特性に配慮した必要な措置をとるよう定められています。(ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなる場合を除く)

(※2)
合理的配慮の内容は本人の特徴や困りごと・会社によって異なります。特性への理解とどのような配慮があれば働きやすいのかを整理した上、会社と話し合いながら配慮内容を決めていくことが大切です。以下はあくまでも一例としてご参考ください。

 

視覚障害

困難さ:文書や資料などの文字や図を読むのに時間がかかってしまう

合理的配慮:音声読み上げソフトを使う、文字を拡大する、印刷を濃くする など

聴覚障害

困難さ:複数人数の会議での会話の内容が聞き取れず、理解が追いつかないことがある

合理的配慮:音声認識ソフトを導入する、議事録作成し文字として残す一度に一人が話す・途中で理解できているか確認するなど会議の進め方を工夫する など

音声機能、言語機能障害

困難さ:自分から発声をすることが難しく、コミュニケーションに困難がある

合理的配慮:チャットやメールなど文字中心でやりとりを行う、事前に言葉を書いたカード(「はい」「いいえ」「相談があります」など)を作り、指で指してもらう など

肢体不自由

困難さ:段差や通路の幅などによってオフィスで移動がしにくい

 

合理的配慮:スロープをつける、入口から近い座席に指定する、移動しやすいスペースを確保する など

内部障害

困難さ:平日通院のため、仕事を休まないといけない

合理的配慮:通院のための休みを設ける、勤務日や時間を調整する など

身体障害まとめ

身体障害とは「身体の機能に障害がある状態」のことをいい、症状の程度や部位などによって状況がさまざまで、困りごともみんなそれぞれ違います。生活・仕事の困りごとがあるときは、ひとりで抱え込まず、支援機関や福祉サービスをぜひ活用してみてください。

身体障害のある方の就職をサポートする就労移行支援

就労移行支援は一般企業に就職を希望する方々へ、働くための様々なサポートを行う福祉サービスです。

 

LITALICOワークスは各地で就労移行支援事業所を運営しており、これまで1万人以上の方の就職をサポートしてきました。

障害のある方が自分らしく働くために、ストレスコントロール・PC訓練・企業インターン・面接練習など一人ひとりに合わせたサポートを提供しています。

「働くことに悩んでいる」「自分に合った仕事が分からない」「一人で就職活動がうまくいかない」などお悩みのある方は、まずは就職支援のプロに相談してみませんか?

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参考文献・URL

更新日:2023/10/05 公開日:2021/10/20

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