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お役立ち仕事コラム

メンタルヘルスとは?心のケア・セルフケアにおけるポイントなどを解説

更新日:2024/06/29

働く人を取り巻く環境は大きく変化しており、仕事でストレスを感じている人の割合も増えています。

 

「ひどく疲れている」「何をするにも面倒」「落ち着かない」といった症状は、メンタルヘルスの乱れが原因かもしれません。

 

メンタルヘルスとは心の健康のことです。心の健康を保つためにも、自分のできる範囲内で心のケアをすることが大切です。

 

この記事では、メンタルヘルスの意味やセルフケアのポイントをお伝えします。

メンタルヘルスとは?

「気分の落ち込みが激しい」「食欲がない」「眠れない」などといった状態が続いていたら、もしかしたら心の調子を崩しているかもしれません。

 

心の不調は早めの対応が回復のためにも大切になりますので、もしも不調が続くようならメンタルヘルスケアを検討してみましょう。この章では「メンタルヘルスの定義」や「メンタルヘルスケア」などについて解説します。

メンタルヘルスの定義

メンタルヘルスとは、直訳すると「心の健康」を意味します。

 

世界保健機関(WHO)では、メンタルヘルスを「すべての個人が自らの可能性を認識し、生命の通常のストレスに対処し、生産的かつ効果的に働き、コミュニティに貢献することができる健全な状態」と定義しています。

 

このようにメンタルヘルスとは、ストレスに対処しつつ、社会や職場、家庭などにおいていきいきと健やかに過ごせる状態と広い意味で用いられます。

メンタルヘルスケアとは?

メンタルヘルスケアとは、働くすべての人が健やかに、いきいきと働くことができるように必要なケアをおこない、心の健康を管理したり確保したりすることです。

 

メンタルヘルス不調になると、同じ仕事なのに普段よりも多くの時間がかかってしまう、仕事の優先順位がつけられなくなるなど、生産性が低下することもあります。また、集中力や注意力の低下により事故やトラブルにつながる可能性が高くなります。

 

これらを未然に防ぐためにも、メンタルヘルスケアを適切に実践していくことが大切です。

 

メンタルヘルスケアには、自分自身でおこなう「セルフケア」、職場の上司などがおこなう「ラインケア」、企業の産業医・保健師・人事労務担当などがおこなう「事業場内産業保健スタッフなどによるケア」、会社以外の専門的な機関や専門家を活用する「事業場外資源によるケア」の4つの種類があります。

メンタルヘルスと心の病気

心のケアは、心の病気を予防するためにも意識したいことです。

 

もしも以下のような症状があれば、メンタルヘルスの乱れを疑ってみてもいいかもしれません。

  • 不安に感じることが増える、気分が激しく落ち込む、やる気が起きないなどの精神的な症状
  • 眠れない、疲れが取れない、ひどい頭痛や肩こりがあるなどの身体的な症状
  • 仕事に対して身が入らない、遅刻や欠勤が続いてしまうなどの仕事への影響

メンタルヘルスの乱れがあるからといって必ずしも心の病気とは言えません。ただ、もしも症状が一定期間続いているようなら、心の病気を患っている可能性もあります。心の病気は早めに発見し治療することで回復がしやすくなります。そのため、心の病気に関する初期症状について知っておくといいでしょう。

心の病気にはどのようなものがある?

ここまで読んで、「自分は心の病気なのかもしれないな」と思った人もいるかもしれません。ここでは、心の病気(精神疾患)の主な種類と特徴、初期症状について、それぞれ簡単に説明します。

 

※一般に「心の病気」とよばれている病気は、実際には脳の伝達物質の異常などで症状が起きる「脳の病気」と言えますが、心に症状が出ることが多いため、ここでは「心の病気」という言葉で説明をしていきます。

うつ病

うつ病は、気分が落ち込む、やる気が出ないなどといった精神症状や、身体がだるい、眠れない、食欲がないなどの身体症状が表れる特徴があります。

 

初期症状として、ちょっとしたことで涙が出てしまう、好きだったことに興味が持てなくなる、人と交流をしようとしなくなる、などの症状がある人もいます。

双極性障害(躁うつ病/双極症)

双極性障害(躁うつ病/双極症)は、気分が高まり活動的になる躁状態と、気分が落ち込む抑うつ状態をいったりきたり繰り返す特徴があります。

※双極性障害は現在、「双極症」という診断名となっていますが、最新版『DSM-5-TR』以前の診断名である「双極性障害/躁うつ病」といわれることが多くあるため、ここでは「双極性障害(躁うつ病/双極症)」と表記します。

初期症状として、うつ病と同じような症状があるほかに、高揚した気分になる、多弁になる、大声で話す、お金を多く使ってしまう、なんでもできる気になる、などの症状がある人もいます。

統合失調症

統合失調症は、幻覚や妄想などの陽性症状と意欲の低下や感情の起伏がなくなるなどの陰性症状が表れる病気です。

 

初期症状として、うつ症状や不眠症状がある人がいます。

適応障害(適応反応症)

適応障害(適応反応症)は、ストレスが原因で憂うつな気分になったり、眠れなくなる症状が表れる特徴があります。

※適応障害は現在、「適応反応症」という診断名となっていますが、最新版『DSM-5-TR』以前の診断名である「適応障害」といわれることが多くあるため、ここでは「適応障害(適応反応症)」と表記します。

初期症状として、不眠や食欲低下、めまいや耳鳴りなどの症状がある人もいます。

不安障害(不安症)

不安障害はさまざまな種類がありますが、一般的には強い不安や恐怖心によって日常生活に支障が出てしまう状態のことをいいます。

 

初期症状として、過度の不安やイライラ、動悸を感じたり過呼吸になるなどの症状がある人もいます。

そのほかの心の病気については、以下の記事をご参照ください。

心の病気かも…と思ったときの相談先

メンタルヘルス不調が続く、心の病気かもと思ったときは早めに相談をしましょう。心の病気は早期発見と早期治療が回復のためにも重要です。

 

病院

ここまでご紹介した病気の専門科は「精神科」になります。「心療内科」は、内科疾患の中でも身体と心のつながりが深い病気を専門としています。どちらの科でも、心の病気について相談することができます。また、最近ではメンタルクリニックと表記しているところもあります。

社内の相談窓口

社内に産業医がいたり、メンタルヘルスに関する相談窓口があったりする場合は、それらに相談するものいいでしょう。

公的なサービスや支援機関

病院に行くのは躊躇してしまう、上司や社内の担当者に相談がしづらい、といった場合は、公的なサービスや支援機関を利用してみてはいかがでしょうか。

 

働く人の「こころの耳相談」は、電話、SNS、メールでの相談ができ、土・日曜日や夜間の相談も可能です。そのほか、保健所や保健センター、精神保健福祉センターも相談先としてあげられます。

メンタルヘルスを保つためのセルフケアのポイント

先にメンタルヘルスケアには4つの種類があると紹介しましたが、ご自身のメンタルヘルスを保つためにも、日頃から自分のできる範囲内で心のケアをするようにしましょう。

 

セルフケアのポイントのひとつとして、ストレスへの知識や対処法を身につける方法があります。

ストレスとは?

ストレスの原因となるものには、人間関係や仕事上の問題だけではなく、暑さや寒さ、騒音、公害物質などもあります。これらに対し、心理面(イライラする、不安になる、憂鬱になるなど)、身体面(頭痛、肩こり、不眠、食欲の低下など)、行動面(飲酒量や喫煙量の増加、ミスが増えるなど)のストレス反応の現れ方は個々人によって異なります。

 

ストレスというとネガティブなイメージをもつかもしれませんが、ストレスそのものが悪いわけではありません。

 

生活するうえでストレスはつきものです。そのため、ストレスとうまく付き合っていくことが大事です。

3つのRでストレスに対処する

ストレスは、こまめに発散できるといいでしょう。日頃から実践することでストレスを原因とした心の不調を予防することができます。

 

ストレスの対処には3つのRが重要だと言われています。

  • レスト(Rest):休息、休養、睡眠
  • レクリエーション(Recreation):運動、旅行などの趣味や娯楽など
  • リラックス(Relax):ストレッチ、リラクゼーション音楽など

セルフチェックする

心の健康を守るためにも、まずはご自身でストレスに気づけるといいでしょう。心理面、身体面、行動面でいつもの自分と違うなと思うことがあったら、ストレスが溜まっているサインかもしれません。

 

ストレスが蓄積されているかどうか、メンタルヘルス不調がどのくらい深刻なものか判断しづらいときは、チェックリストを利用することも手がかりとなります。例えば、厚生労働省の「こころの耳」はインターネット上で無料でセルフチェックができます。

周りに相談する

一人で抱え込まずに家族や友人、同僚などに悩みやストレスを感じていることについて話してみましょう。話すだけでも気持ちが整理できたり、解決策がみつかったりします。もしも身近な人に相談をしても解決できない、相談がしづらい場合は、先に紹介した相談先の活用も検討してみるといいでしょう。

メンタルヘルスについてまとめ

メンタルヘルスとは心の健康のことです。心の健康を保つためにも、普段からストレスとうまく付き合い、心のケアをしていくといいでしょう。

 

心の不調を感じたときは一人で抱え込まずに、社内のメンタルヘルス窓口や産業医、公的サービスや支援機関へ相談することが大切です。

 

心の不調をそのままにしておくと、心が回復できるまでに時間がかかる可能性もあります。早めの相談や受診を心がけることによって、心の病気を予防していくことが大切です。

うつ病などの精神疾患・発達障害のある方の就職支援について

LITALICOワークスは「就労移行支援」を運営しています。就労移行支援とは、障害のある方の就職・職場定着をサポートする福祉機関のひとつです。

 

心身とともに健全で安定した働き方に向けて、ご自身の特性やストレスについて理解を深めます。また、ご自身を取り巻く環境(職場など)に対して、どのような働きかけができるのかを考えていきます。

 

具体的には、ストレスマネジメントを学んだり、企業インターン(職場体験実習)などを経験したりして、スタッフと一緒に整理していきます。

 

働くことに悩んだときは、お気軽に就職支援のスタッフへご相談ください。

【無料】働くことのお悩みを就労支援のスタッフへ相談する

更新日:2024/06/29 公開日:2023/01/25
  • 監修者

    滋賀医科大学精神医学講座 助教

    増田 史

    医療法人杏嶺会 上林記念病院 こども発達センターあおむし
    著書に『10代から知っておきたいメンタルケア しんどい時の自分の守り方』(2021年8月 ナツメ社)
    https://www.natsume.co.jp/books/15323

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