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お役立ち仕事コラム

精神疾患とは?種類や精神障害との違いはあるのか解説します

更新日:2024/06/19

精神疾患に心身ともにさまざまな影響が出て、働くことや日常生活に困難が生じる状態のことをいいます。精神疾患は目に見える症状でないため原因や対策が分かりづらいという特徴があり、本人や周りの方も戸惑うことが多いと思います。

 

精神疾患の具体的な種類としてはうつ病や双極性障害(双極症)、統合失調症などが知られています。

この記事では精神疾患とはどういったものか、その種類や治療方法、よくある困りごと、社会復帰のための支援制度を紹介します。

精神疾患とは?「精神障害」と違いは?

精神疾患とは、気分の落ち込みや幻覚・妄想など心身にさまざまな影響が出る疾患のことをいいます。脳内の神経伝達物質の乱れによって起こるといわれており、うつ病や双極性障害(双極症/躁うつ病)、統合失調症がよく知られています。

 

厚生労働省の調査によると精神疾患のある方は、平成29年度で日本国内に約420万人いるといわれています。これはおよそ日本国民の30人に一人の割合です。この人数は平成29年度の時点でかかっている方の数なので、生涯を通してだと約5人に一人の割合で精神疾患にかかるともいわれています。

 

精神疾患以外にも精神障害という言葉も耳にしたことがあると思います。精神疾患と精神障害は表記の違いだけでほぼ同じ意味で使われています。

 

この記事内では、精神疾患という用語に統一して記載していきます。

精神疾患の種類と症状

ここでは主な精神疾患について紹介していきます。精神疾患と一口にいっても種類によって、その症状は大きく異なります。

うつ病(大うつ病性障害)

うつ病とは気分の落ち込みや興味・喜びの喪失、身体のだるさなど精神や身体に影響が出る疾患のことです。


100人のうちに3人~7人がかかるともいわれている疾患で、抑うつ気分が強くなると死にたいと思うなどの自殺念慮が出てくることもあります。


ストレスが原因となることが多いといわれていますが、はっきりとした原因の解明はされていません。

双極性障害(双極症/躁うつ病)

双極性障害(双極症/躁うつ病)は以前は躁うつ病とも呼ばれており、気分の落ち込みなどがある抑うつ状態と、その逆に気分が高まり意欲がわき、精力的に行動するようになる躁状態を繰り返すという特徴があります。

 

躁状態のときには本人は「調子がいい」と感じることが多いため、受診をせずに発見が遅れることがあります。

強めの躁状態が続く双極性障害(双極症)Ⅰ型と、Ⅰ型よりも躁が比較的抑えめ、または短期間となる双極性障害(双極症)Ⅱ型があります。


うつ病同様はっきりとしたきっかけは分かっていませんが、抑うつ状態はストレスが元となることが多く、躁状態は特にきっかけがなくても起こることがあります。


双極性障害は現在、「双極症」という診断名となっていますが、最新版『DSM-5-TR』以前の診断名である「双極性障害(躁うつ病)」といわれることが多くあるため、ここでは「双極性障害(双極症/躁うつ病)」と表記します。

統合失調症

統合失調症は幻覚や妄想などが表れる「陽性症状」と、感情の揺れが少なくなったり意欲が低下したりする「陰性症状」がある疾患です。


陽性症状では「世界が破滅する」や「ずっと監視されている」など現実とはかけ離れた妄想が起こります。陰性症状では意欲が低下し、何もする気が起きなくなるなどの症状が出ます。

 

およそ120人に1人の割合で発症するといわれており、思春期から青年期にかけて発症するケースが多いです。

発達障害

生まれつき脳内の神経伝達物質の異常によって、物事のとらえ方や言動などに特徴が出て、周囲の環境とのミスマッチから困難が生じることをいいます。


診断と治療は精神科でおこなわれます。発達障害は精神障害者保健福祉手帳の対象となるため、行政からの支援を受けることができます。

※知的障害(知的発達症)を伴う発達障害の場合は、療育手帳(自治体により名称は異なる)が取得できることがあります。

適応障害(適応反応症)

進学や転職などによって環境が大きく変わるときに、うまくなじむことができないとそれがストレスとなり、抑うつや不安感などの症状が表れることがあります。それを適応障害(適応反応症)とよんでいます。

※適応障害は現在、「適応反応症」という診断名となっていますが、最新版『DSM-5-TR』以前の診断名である「適応障害」といわれることが多くあるため、ここでは「適応障害(適応反応症)」と表記します。

ストレスとなった原因から3ヶ月以内に症状が表れ、日常生活に支障をきたしている場合に診断されます。

症状は精神面だけでなく、腹痛などの身体への影響や喫煙や飲酒の量が増えるなど行動面での影響も出てくることがあります。

その他の精神疾患

今あげた精神疾患は一部のものです。その他にも「不安障害」「依存症」「解離症」などの精神疾患があります。

精神疾患の3つの原因

精神疾患とは脳内の神経伝達物質の偏りによって引き起こされているといわれていますが、まだはっきりとした原因は判明していません。現在その原因として考えられているものとしては心因性、内因性、外因性の3つがあげられます。

1.心因性

心因性とはストレスによって生じた不安や葛藤などによって精神疾患の原因となることをいいます。


同じストレスを受けても発症する人もしない人もいます。ストレスそのものとともに、その方の性格や価値観などが大きく関わってきます。

2.内因性

内因性とはその方がもともと持っている遺伝的な要素や体質から発症するものをいい、統合失調症や双極性障害(双極症)は内因性により発症することがあるといわれています。ただし目に見えるものではないため、はっきりと解明されているわけではありません。

3.外因性

外因性とは脳や内臓の疾患、外傷などの身体の病気によって起こる場合をいいます。交通事故で脳に損傷を受けた場合にも、幻覚や記憶障害などが引き起こされることがあります。

この3つのうちどれか一つだけが原因となるのではなく、さまざまに関わりあって精神疾患を引き起こされます。

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精神疾患の治療方法は?

精神疾患の治療は主に薬物療法と精神療法を併せておこなっていきます。薬物療法と精神療法を単独でおこなうよりも、併用した方が治療効果が高まるといわれています。

薬物療法

薬物療法とは脳内の神経伝達物質に作用して精神活動を改善する「向精神薬」を使用して治療を進めていくことをいいます。


脳に作用する薬というと不安を抱く方もいると思いますが、疑問があった場合は主治医とよく話し合い、納得したうえで進めていくことが薬物療法では大事になります。


主な向精神薬は5つに分類されます。

  • 抗精神病薬
    抗精神病薬とはドーパミンの働きを抑える薬で、主に統合失調症の治療に使われることが多いです。
  • 抗不安薬
    抗不安薬とは不安感の軽減や、緊張を緩和する効果があるといわれており、多くの精神疾患に用いられます。うつ病や不安症の治療などに使われます。
  • 抗うつ薬
    抗うつ薬とはセロトニンやノルアドレナリンといった脳内の神経伝達物質の動きを高めて、抑うつ状態の改善効果があるといわれています。
  • 気分安定薬
    気分安定薬とは高揚した気分を抑え、精神を安定させる効果があるといわれています。気分の波が激しい双極性障害(双極症)の治療などに用いられます。
  • 睡眠薬
    睡眠薬には催眠効果があり、また不安や緊張を緩和する効果があるものもあります。精神疾患では不眠が出ることが多いため、さまざまな疾患に対して用いられます。

精神療法

精神療法(心理療法ということもあります)とは精神科医、臨床心理士などの専門家によりおこなわれて、患者の自己理解や対人関係、物事のとらえ方などへアプローチしていく治療法のことです。カウンセリングや認知行動療法も含まれます。

  • 認知行動療法
    認知行動療法とはその人の物事の受け取り方(認知)や行動に対して働きかけることで、ストレスを減少させることを目的とした治療方法です。
    認知がゆがむことによって、何か出来事が起こったときに感じるストレスも多くなります。そこで自分の認知のくせに気付き、バランスを整えることによってストレスの軽減を目指していきます。
  • 集団精神療法
    集団精神療法とは複数の方が集まって、参加者が抱える心の問題などを話し合うことで、自分の心の問題を客観的に認識し、同時に困難な状況への対処法を身につけることを目的とした治療法です。
    集団の中で自分が話すことで他者の反応を知ることができ、また他者の話を聞いてそれに対してどう感じるかで自分のことを客観視する効果があります。
    また同じような悩みを共有することによって、共感を得ることができるのも集団精神療法の効果の1つです。

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精神疾患のよくあるお悩みと解決策

ここでは精神疾患のある方からよくうかがうお悩みとそれに対する回答を記載します。

人により症状や状況が違うため、回答も必ずしもすべての方にマッチするわけではありません。ひとつの参考としていただければと思います。

甘えなのではないか

精神疾患は目に見えない症状が多いことから、「自分は甘えているだけなのでは」と悩んでいる方の話をよくうかがいます。


「気分の落ち込みは誰にでもあることなのに」という風に思うかもしれませんが、ただの落ち込みではなく外からは見えないだけで、精神疾患は脳内の神経伝達物質の異常などの原因があります。


「甘えだからもっとがんばらなくては」と考えて、焦って行動をするとかえって悪化することもあります。休養を取り服薬や精神療法などその方に合った治療をしていくことが回復の近道となります。

生命保険は入れるか

「精神疾患にかかると生命保険に入れないのではないか」というお悩みも聞きます。たしかに生命保険の加入時に申告する病気としてうつ病などの精神疾患があり、そのため加入ができないこともあります。


ただし、すべての生命保険に加入できないわけではなく、保険料は割高になりますが、引受基準緩和型保険、無選択型保険などは加入できる可能性があります。

精神疾患は遺伝するのか

「自分の親に精神疾患があったら自分も発症するのではないか」または「生まれてくる子どもに遺伝するのではないか」という不安があるという声も聞きます。


統合失調症や双極性障害(双極症)では遺伝も要因の一つかもしれないといわれています。しかし原因はひとつだけではなく、一卵性双生児が同じ環境にあっても発症するかしないかは個人差があるという研究もあります。

発症には性格や経験など後天的な要素も大きく、あくまで遺伝は原因のひとつかもしれないという状況です。

薬の副作用が不安

精神という見えない場所に作用する薬というと、副作用が気になる方も多いようです。実際にのどの渇き、手の震え、眠気、食欲の増加(または減少)という副作用が起こることがあります。

 

しかし精神疾患の薬だけでなく、どのような薬にも副作用は起こりうるものなので、気になる症状が出た場合は自己判断で服薬を止めるのではなく主治医に相談をするといいでしょう。


薬の効果は個人差があり、急に服薬をやめると悪化や再発の可能性もあるため、主治医と話し合いながら納得して続けることが大事になります。

元のように仕事ができるか

精神疾患によって退職をした方などは「これまでと同じように働けるのだろうか」という悩みを持たれる方もいます。特に業務量や人間関係など職場環境でのストレスが精神疾患の原因となっている場合はその傾向が強いようです。

 

休職をしていて、元の職場に復職する場合はリワークを利用することができます。リワークは精神疾患などで休職した方への復職支援です。リワークの事業所へ通い、休職の原因や対策をスタッフと一緒に整理したり職場と近い環境に身体を慣らしたりといったリハビリテーションのようなことができます。



以前とは違った働き方を考えている場合は就労移行支援などを利用して、自分に合った働き方を探していく方法もあります。就労移行支援でも事業所へ通い、体調の安定やスタッフと一緒に自身の特性を整理することで自分に合った働き方を探ることができます。

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精神疾患のある方が日常生活で利用できる制度

医療費の負担軽減など精神疾患のある方が日常生活で利用できる制度をいくつかご紹介します。

自立支援医療(精神通院医療)制度

精神疾患は治療に長くかかることが多くあります。

 

そういった際に通院などの医療費を助成する制度が、自立支援医療(精神通院医療)制度です。

通常の医療費が原則3割負担のところが制度を利用することで原則1割になります。

診察代、薬代、訪問看護、精神科デイケアなどの医療費に適用されます。

傷病手当金

傷病手当金とは精神疾患を含む病気やけがで働くことができない場合に受給できる制度です。

 

連続して3日以上休んだ場合、4日目より支給されます。支給額は標準報酬日額の6割となっており、支給期間は最大1年6ヶ月です。

障害年金

障害年金とは病気やけがで一定以上の障害と認められた場合に受給できる年金制度です。

 

障害の程度以外にも、病気などで診断を受ける以前に年金へ加入していることや、診断から1年6ヶ月以上経っていることなどさまざまな要件があります。

詳しくは障害年金の記事を参照ください。

障害者手帳

取得することで福祉サービスなどが利用できるもので、精神疾患のある方は「精神障害者保健福祉手帳」が対象となります。

発達障害のある方も同じ手帳が対象となります。

取得することで行政からの助成や障害者求人に応募できるなどのメリットがあります。

精神科デイケア

精神科デイケアとは精神疾患のある方が、社会参加や就職などを目的にさまざまな活動をおこなう事業所です。

スポーツなどの運動や映画鑑賞などの文科系の活動や、就職のためのプログラム、対人関係のトレーニングなどをおこなっています。

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精神疾患のある方が仕事で利用できる支援

精神疾患のある方が働くことを考えたときは、無理なく自分に合った働き方を選択することも大事になります。そういったときに活用できる制度を紹介します。

公共職業安定所(ハローワーク)

ハローワークには障害者求人を調べることができます。

障害者用窓口もあるので、そちらで職員と相談しながら求人の選択や面接の設定などをおこなうことができます。

地域障害者職業センター

障害者職業センターでは就職のため訓練や、講習などを受けることができるほか、リハビリテーション計画の作成、職業適性検査など働くための支援を受けることができます。

就労移行支援

就労移行支援事業所は一般企業への就職に向けてサポートをおこなう通所型の障害福祉サービスです。

 

利用者は事業所に通い、職業トレーニングや自己分析、企業インターン、面接や履歴書対策などの就職活動のサポート、就職後の定着支援などを受けることができます。また障害のある方の就職や定着にノウハウを持っていることも特徴です。

【無料】就労移行支援のサポートについて詳しく聞く

就労移行支援事業所「LITALICOワークス」

 

LITALICOワークスでは全国に「就労移行支援事業所」を展開し、累計13,000名以上の方の仕事探しをサポートしてきました。

 

仕事探しや応募書類の作成、面接対策などのサポートはもちろんのこと、障害のある方が「自分らしく働く」を見つけるためのカリキュラムを複数用意しています。

 

例えば、自分の得手不得手を分析する「自己理解プログラム」や、ストレスの原因に気付き対処法を考える「ストレスコントロールプログラム」、職場での無理のない人付き合いについて学ぶ「コミュニケーションプログラム」などです。

 

どのようなことができるか興味がある方は、お気軽にご連絡ください。

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精神疾患のある方が就労移行を利用して就職した事例

精神疾患があると働けるのかと不安を感じる方もいます。


ここでは就職のために就労移行支援事業所を利用し、障害者雇用で働くことを選択した方の事例を紹介します。

Mさんの事例

Mさんは20代の頃に統合失調症を発症し、勤めていた会社を退職しました。
退職した当初は幻聴や妄想の陽性症状が強く、周りの人が関係のないことを話していても自分のことを話題にしていると思い込み、対人トラブルを起こすこともありました。
薬物療法で症状が落ち着いた後に、主治医と話し合い配慮をもらいながら障害者雇用で働いていこうと決めました。

 

そこでまずは精神科デイケアの利用を開始し、日中定期的に活動ができるようになってから、就労移行支援事業所の利用をおこないました。
就労移行支援事業所ではスタッフと相談してグループワークなどで人との距離感を図るトレーニングや、企業インターンで自分に合った職場環境を探していきました。

その結果、一対一のコミュニケーションが多く、自分のペースで業務を進めることができる会社に就職することになりました。配慮として毎週上司と面談をおこない、人間関係で気になったところを確認する時間を取ってもらうこともあって、安定して働き続けています。

※プライバシーの観点から、事実を再構成して掲載しております

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精神疾患のまとめ

精神疾患とは心身にさまざまな症状が現れる疾患のことです。一人ひとりによってその症状はさまざまで、治療方法や回復への道筋も人によって違ってきます。休養を取り、薬物療法や精神療法などによって焦らずに治療を進めていくことが大事になります。


生活や就職に役立つ福祉サービスも活用して負担を減らしながら、回復に努めていきましょう。

 

もし仕事のお悩みがあれば、ぜひLITALICOワークスまでお気軽にご相談ください。一緒に自分らしく働ける方法を考えていきましょう。

更新日:2024/06/19 公開日:2021/10/18
  • 監修

    医学博士/精神科専門医/精神保健指定医/日本産業衛生学会指導医/労働衛生コンサルタント

    染村 宏法

    大手企業の専属産業医、大学病院での精神科勤務を経て、現在は精神科外来診療と複数企業の産業医活動を行っている。また北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場のコミュニケーション、認知行動療法、睡眠衛生に関する研究や教育に携わった。

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