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お役立ち仕事コラム

適応障害(適応反応症)とは?症状や原因、治療方法などを分かりやすく解説

更新日:2024/06/29

仕事や人間関係など、なにかしらのストレスにより、「夜眠れない」「気分が落ち込む」「なぜか涙が止まらない」などの不調が続き、日常生活や仕事に支障が生じてしまう… そのような経験をされたことがある方も多いのではないでしょうか。 

 

ストレスによって抑うつや不安などの気分や身体症状の変化などがみられ、日常生活や仕事に大きな影響が出ているときは、適応障害(適応反応症)の可能性があるかもしれません。

 

また、周りの人に「元気に見える」「この程度でストレスを感じるのは甘え」などと思われないか悩むことがあるかもしれません。しかし、同じ環境でもストレスの感じ方は人それぞれです。周囲からの見え方とは違い、本人は非常につらいと感じている場合もあります。

 

適応障害(適応反応症)は、ストレスの要因となっているものを特定し、そのストレスに対する対処法をとることによって、ストレスが軽減され、回復させることが大切です。今回は適応障害(適応反応症)の症状や原因、治療方法について分かりやすく解説していきます。

適応障害(適応反応症)とは?

適応障害(適応反応症)とは、職場や学校、家庭などで起こるストレスによって、憂うつな気分になったり、不安を感じたりすることが続き、日常生活や社会生活に支障をきたす障害です。

※適応障害は現在、「適応反応症」という診断名となっていますが、最新版『DSM-5-TR』以前の診断名である「適応障害」といわれることが多くあるため、ここでは「適応障害(適応反応症)」と表記します。

日常生活でのさまざまな出来事や環境に対してうまく適応できず、それがストレスとなり、その結果、心身にさまざまな症状が表れます。通常ストレスは誰にでも感じるものですが、適応障害(適応反応症)の場合はストレスによって症状が強く出ます。その症状によって日常生活や社会生活を送ることが難しくなります。

適応障害(適応反応症)とうつ病の違いは?

適応障害(適応反応症)と症状が似ているところがある疾患として、うつ病が挙げられます。適応障害(適応反応症)とうつ病の大きな違いとしては「ストレスの原因となっているものから離れたときの状態」です。

 

適応障害(適応反応症)の場合は、つらいと感じている状況から距離を置くことで、一時的に症状が和らぎ、次第に気分が落ち着いてくることがほとんどです。一方、うつ病の場合は、ストレスの要因から離れても、適切な治療を受けないと抑うつ状態が続くことがあります。

 

 

しかし、上記のような違いは適応障害(適応反応症)やうつ病のある人すべてに当てはまるわけではなく、症状には個人差があります。そのため個人で判断はせず、日常生活や仕事で困難や苦痛を感じている場合は、専門の医療機関を受診し、医師から正しい診断と治療を受けるようにすることが大切です。

適応障害(適応反応症)の症状

適応障害(適応反応症)の具体的な症状を「身体面」「精神面」に分けてご紹介します。

身体面の症状

  • 眠れなくなる
  • 頭痛
  • めまい
  • 身体のだるさ
  • 息が苦しい
  • 嘔気がする など

精神面の症状

  • 抑うつ気分
  • 不安感
  • なにもやる気が起こらない
  • イライラする
  • 考えすぎてしまう など

適応障害(適応反応症)の身体面や精神面での症状には上記のようなものがあります。これらのチェックした項目が多い場合は、適応障害(適応反応症)などの症状がでている可能性があるかもしれません。これらのチェックに当てはまらず、少しでも違和感があれば病院に受診するようにしましょう。

適応障害(適応反応症)の原因

適応障害(適応反応症)の原因となるストレスの具体的な内容は、人や環境によって異なります。ここではストレスの種類についてみていきます。

 

仕事でのストレスにおいては、厚生労働省「平成24年労働者健康状況調査」によると、仕事に関するストレスは働く人の6割程度が感じ、その中で最も多かったのは「職場の人間関係」です。ほかにストレスと感じるものとしては、以下のようなものがあります。

仕事のストレス

  • 職場の人間関係
  • 仕事の質や量
  • 昇進、昇給
  • 人事異動
  • 会社の将来性
  • 定年後の生活 など

次に生活でのストレスはどのようなものがあるのか、みていきましょう。

生活でのストレス

  • 夫婦間の不仲
  • 結婚、離婚
  • 出産、育児
  • 家族や友人との死別
  • 病気やケガ
  • 引っ越し
  • お金の問題 など

仕事や生活でのストレスにはネガティブなイメージのものだけでなく、昇進や昇給、結婚などポジティブなイメージのものもあります。ストレスの受け取り方でプラスにもマイナスにもなります。一見ポジティブに思えるものの中にストレスのもととなっている出来事はないか、チェックしてみましょう。

 

このような適応障害(適応反応症)の原因となる「仕事や生活におけるストレス」は、誰もが抱えるものですが、人それぞれ感じ方は違います。本人にとって過度なストレスとなり、不安や抑うつ気分が続くと適応障害(適応反応症)やうつ病などの可能性もあります。周囲の理解が得られず、「本人の気持ちの問題」「甘えである」で片づけられてしまうと、その状況がさらにストレスの原因となってしまいます。少しでも違和感があれば早めに病院や周りの方へ相談するようにしましょう。

 

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適応障害(適応反応症)の診断について

適応障害(適応反応症)はアメリカ精神医学会の「DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)」を基に診断されることが多いようです。

 

適応障害(適応反応症)はストレスが原因となっており、症状が一般的に予想されるよりも強く、社会生活に支障が出ている状態 かつ ほかの精神障害の診断基準を満たさない状態です。またストレスから離れると気持ちが落ち着くこともひとつの特徴です。

適応障害(適応反応症)の診察・治療はどこで受ける?

「適応障害(適応反応症)かもしれない」「うつ病なのか、適応障害(適応反応症)なのか分からない」と思ったときは、精神科もしくは心療内科を受診しましょう。

 

診察時には下記の内容について質問があるかもしれません。

  • いつから症状が出ているのか
  • 症状の程度はどのくらいか
  • きっかけとなる出来事はあるか
  • ストレスと感じるようなものはあるか
  • 現在、治療中のほかの病気について
  • 仕事や学校のこと
  • 家族など生活面のこと など

正しい情報を伝えられるか不安という方は、メモやノートを使ってあらかじめ自分の中でまとめておくと、診察時に医師の質問に答えやすくなったり、伝えたいことが伝えやすくなるでしょう。

適応障害(適応反応症)の治し方や対処法は?

この項目では、適応障害(適応反応症)の治し方としてどのような治療方法があるのかについて解説していきます。

 

適応障害(適応反応症)に対する薬物療法は現在のところはありませんが、眠れない、気分の落ち込み、不安感などの症状に対して補助的に薬を服用することがあります。

 

適応障害(適応反応症)の治療をするためには、まず、ストレスの原因だと感じている事柄について、医師と相談しながら、進めていけるといいでしょう。また、気がかりなことを一度にすべて説明することは難しいかもしれませんが、診察を通して、医師と一緒に整理していけるといいかもしれません。もしも、「診察時に何から話せばいいか分からない」というような場合は、相談したいと思っていることを書きだして、整理してみましょう。

 

適応障害(適応反応症)の治療は、医師との話し合いを通しながら原因を明らかにし、個人個人に最適な方法で進めていきます。

 

適応障害(適応反応症)の主な治療方法は下記の通りです。

  • ストレスを取り除く(環境調整)
  • ストレスに対処できるようにする

それぞれ詳しくみていきましょう。

ストレスを取り除く(環境調整)

仕事のストレスとなるようなものはどのようなものかを把握し、そのストレスに対する対処法を検討します。そのうえで、周囲に相談してみましょう。例えば、ストレスの原因をなるべく減らしたり、距離を置いたり、なくしたりできないかを相談しながら試みるといいでしょう。

 

 例えば、下記のような例が挙げられます。

  • 業務内容が合わない:担当業務の変更をしたり調整したりする
  • 職場の雰囲気が合わない:配置転換する
  • 休日も仕事のことを考えてしまう:自分の好きなことをするよう心がける
  • 人間関係に悩んでいる:相手と少し距離を置いてみる
  • 家事・子育てが負担:家族と役割の分担をする など

ストレスに対処できるようにする

ストレスにうまく対処できるようにする方法としては、精神療法が挙げられます。

 

例えば以下のようなものがあります。

  • 認知行動療法 
  • 支持療法 など

ひとつずつ、どのような方法かご紹介します。

 

認知行動療法

認知行動療法とは、認知(ものの受け取り方や考え方)に働きかけて気持ちを楽にする、精神療法のうちのひとつです。悲観的に考えてしまうことに対して、どのようにすれば悲観的に考えなくてすむのか、認知行動療法ではそうした考え方のバランスをとって、ストレスにも対応できるようにしていきます。

 

支持療法

支持療法は最も使われている精神療法のひとつで、具体的には、専門家がご本人の話を聴きながら共感したり励ましたりする過程で、本人の本来持っている能力を伸ばしていきます。

 

また精神療法だけではなく、食事と睡眠をとる時間を一定にするなど生活リズムを整えたり、適度に身体を動かしたりすることも大切です。

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適応障害(適応反応症)の人にかける言葉や対応方法

心の病気の症状は、自分では気づきにくいものです。また、不調を感じていても「周りに心配をかけたくないから」と自分から発信しない場合もあります。いつもと違う様子がみられないか、身近な人による気づきが早めの対処につながることがあります。

適応障害(適応反応症)かもしれないと気づいたら、かける言葉や対応に迷うことがあるでしょう。前提として、その人の価値観や感じ方に寄り添った言葉や対応を心がけることが大切です。そのうえで、以下のポイントを参考にしてみてください。

 

本人の話を聴く

本人の話にゆっくり耳を傾けて否定はせず、その人が言いたいことはなにかを理解しようとする姿勢が大切です。ただし、本人があまり話したがらない様子があれば無理にして聴き出そうとはせず「話したくなったらいつでも聴くよ」という気持ちを伝え、そっと見守りましょう。

 

励ましや原因探しをしない

「がんばって」などと励ますことは、心が疲労している本人にとっては負担になる場合もあります。ただし励ました方がいい時期もありますので、迷ったときには主治医などに相談するといいでしょう。

 

病院の受診や付き添いをすすめてみる

本人が以前と違う状態が続く場合、病院にいくことをすすめてみましょう。その際に適応障害(適応反応症)などの言葉を使わずに「最近ずっと疲れているのが心配だから、一緒に病院に行ってみない?」など気持ちを伝えてみましょう。また病院に付き添うことで、どのようにサポートしたらよいか分かることもありますので、付き添うとよいでしょう。

適応障害(適応反応症)の対処法|無理なく仕事を続けるために大切なこと

適応障害(適応反応症)の方が、仕事を続けるうえで意識したいポイントを解説します。

自分の症状について理解する

自分がどのようなときにストレスを感じるかを把握し、なるべくストレスを感じないようにすることが重要なポイントです。

 

どのようなときにストレスを感じたのか、ストレスのサインはどのようなものなのか、これまでの仕事の状況を振り返ってみましょう。そのうえでストレス対処法を身につけることが大切です。

会社へ合理的配慮について相談する

合理的配慮とは、障害のある方が仕事で活躍できるように、働くうえでの困難さを周りからのサポートや環境の調整によって軽減するための配慮のことで、企業は負担になりすぎない範囲で提供することが義務付けられています。合理的配慮の内容については企業・本人の双方でよく話し合って決めていきます。

 

今の環境のまま我慢をして仕事をするよりも、症状や合理的配慮などについて企業と話し合うことで今後長く仕事を続けやすくなる可能性があります。

 

合理的配慮の例として以下のようなものがあります。

  • 配置転換する
  • 業務内容を変更する
  • 業務量を減らす
  • シフトを調整する
  • 役職から外してもらう
  • 外部との窓口業務を避ける
  • 席の場所を変更する など

会社側とも相談しながら、自身のストレスの原因となっているものを、可能な範囲で減らしていきましょう。

 

相談する相手は、上司のほか、人事部や産業保健スタッフ(産業医や保健師)でも問題ありません。もちろん、無理に話す必要はありませんが、できる範囲で伝えてみるといいでしょう。

支援機関へ相談する

もしも、働いていて「つらい」と感じる状態が続くような場合、無理は禁物です。会社以外にも、適応障害(適応反応症)の方が相談できる場所がありますので、相談してみるのも選択肢のひとつです。

 

とくに、適応障害(適応反応症)の原因が仕事そのものである場合、無理せず「休職」や「退職」を視野に入れてみることも大切です。ただし、仕事の休職や退職は大きな決断にもなるため、医師やご家族といったような周囲の人、専門機関の人などと相談しながら進めていくようにしましょう。

 

会社以外の相談先は 以下のようなものがあります。(相談は基本無料になります)

  • 働く人の「こころの耳相談」
  • 地域障害者職業センター
  • 障害者就業・生活支援センター
  • ハローワーク
  • 就労移行支援事業所 など

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適応障害(適応反応症)で仕事にお悩みのある方へ

就労移行支援事業所とは、適応障害(適応反応症)やうつ病・発達障害など、さまざまな精神疾患や障害のある方の就職をサポートする障害福祉サービスのひとつです。 

 

LITALICOワークスも北海道から沖縄まで各地に就労移行支援事業所を展開しています。

就労移行支援事業所「LITALICOワークス」では、個人個人に合わせたサポートを大切にしています。ご本人の働くうえでの悩みや希望などをお伺いしながら、その人に合うサポートを提供しています。

 

具体的には、ストレスへの対処方法を学ぶ、どのような人間関係や職場環境であれば働きやすくなるか企業インターン(実習)体験などが挙げられます。また、合理的配慮の整理や就活のサポートもおこなっています。また、就職だけではなく、就職した後に長く働き続けられるようサポートもあります。

 

随時、相談・見学を受け付けているため、就職について悩んでいる方は、ぜひご相談ください。また休職中の方は一定の条件を満たせば就労移行支援の利用が可能な場合もありますので、お気軽にお問い合わせください。

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次に実際にLITALICOワークスで支援した事例をご紹介します。

【就職事例】適応障害(適応反応症)が発症したことがきっかけで会社を退職したAさん

Aさんは、前職で上司とのコミュニケーションがうまくいかないことが多く、会社に行く度に不安な気持ちが高まったり、涙が止まらなくなったりすることが増えていました。病院を受診したところ、適応障害(適応反応症)と診断されました。その後休職しましたが、いろいろと考えた結果、自分が安心して働けるところを探したいと思い、退職することにしました。一人で就職活動をすることに不安があったため、就職・職場定着のサポートを受けるために就労移行支援を利用することにしました。 

 

就労移行支援事業所では、主に自己理解を深めることを中心に進めていきました。

 

具体的には、

  • 今までの経験を振り返り、どういう状況で自分がつらくなるのか
  • つらくなったときにどういう対処をするといいか
  • どういう環境を避けるのかいいのか

これらのことを、就労移行支援のスタッフと一緒に整理しました。

 

そして、企業インターン(実習)を通して、どのような環境であれば自分らしく働けるのかを明確にしていきました。前職の経験から、適応障害(適応反応症)への理解があってコミュニケーションが取りやすい環境で働きたいと思い、障害者雇用求人を中心に、就職活動をしました。その後、希望する会社に事務スタッフとして入社することができました。

 

合理的配慮として、

  • 会社に少しずつ慣れるために1日6時間の短時間勤務からスタート
  • 困ったときに相談できるような環境設定(1週間に1回上司と個人面談の設定)

などをお願いしています。

 

現在はフルタイムで働くことができるようになりました。ゆくゆくはリーダー職を目指したいと、いきいきと働いています。

適応障害(適応反応症)のまとめ

適応障害(適応反応症)はどのような方でも発症する可能性のある精神疾患のひとつです。また「気分の落ち込み」や「憂うつ気分」などの症状が続いている場合、うつ病などのほかの疾患の場合もあるため、早めに精神科や心療内科を受診するようにしましょう。

「今の仕事を続けることが難しい…」「自分に合う仕事を見つけたいけれど、一人で就活を進めるのが不安…」といったような就職の悩みがある場合は、外部の相談先に相談してみてもいいでしょう。

 

LITALICOワークスは「自分らしく働く」をサポートしています。今後の働くことについてお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。

更新日:2024/06/29 公開日:2022/07/12
  • 監修者

    医学博士/精神科専門医/精神保健指定医/日本産業衛生学会指導医/労働衛生コンサルタント

    染村 宏法

    大手企業の専属産業医、大学病院での精神科勤務を経て、現在は精神科外来診療と複数企業の産業医活動を行っている。また北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場のコミュニケーション、認知行動療法、睡眠衛生に関する研究や教育に携わった。

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