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お役立ち仕事コラム

特例子会社とは?給料や働くメリット・デメリット、求人についても解説

更新日:2024/08/09

就職活動で求人を探しているときに特例子会社の求人を見かけ「特例子会社とは?」と疑問に思われる方もいるのではないでしょうか。

 

特例子会社とは、障害のある方の雇用を促進するためにつくられたグループ会社です。特例子会社は年々増加する傾向があり、本人の能力を発揮しやすい職場環境を作る会社も増えてきています。

 

この記事では、「特例子会社とはそもそも何か?」「特例子会社の給料や求人」「特例子会社で働くメリット・デメリット」などを解説します。

特例子会社とは

特例子会社とはどのような会社?

特例子会社とは、障害のある方の雇用促進および安定を図るためにつくられた会社です。

 

「障害者雇用促進法(※1)」に基づいて、労働者全体(失業者も含む)の人数に法定雇用率(※2)を掛けて、「1」を超える人数以上の労働者がいる企業は、障害のある方を雇用する義務があります。

 

しかし会社の業種や規模などさまざまな理由から、障害のある方を雇用することが難しい場合があります。そこで、会社とは別に障害のある方が働きやすくなるよう、サポート体制が整備されている会社を設立し、厚生労働大臣の認定を受けたものが特例子会社になります。特例子会社のサポートの例として「多様な障害のある方が働きやすい就業規則」や「多様な障害のある方が適切に評価される人事制度」の整備などがあり、その一環として「通院休暇」や「短時間正社員制度」などを設けている会社があります。

 

特例子会社に雇用されている障害のある従業員は、親会社に雇用されているものとみなし、障害者の実雇用率を算定できる仕組みとなっています。また、関係会社を含め、グループ全体を親会社に合算し、実雇用率算定を可能としています。

 

(※1)正式名称は「障害者の雇用の促進等に関する法律」になります。
(※2)法定雇用率とは、障害のある方の雇用を促進するために、労働者全体に対し障害のある方を雇用しなければいけないと厚生労働省が提示している割合のことです。2023年6月現在、民間企業の法定雇用率は2.3%のため、労働者が100名の場合、障害のある労働者を2名以上雇用しなければいけないという計算(小数点以下は切り捨て)になります。

特例子会社の数・一覧について

厚生労働省の「特例子会社一覧」によると、2022年6月1日現在では「579社」となっており、年々増加傾向にあります。

 

特例子会社の数が増加する背景のひとつとしては、障害者雇用における「法定雇用率の引き上げ」が影響していると考えられます。法定雇用率は、障害のある方の活躍機会を広げるために、原則5年に1回見直しされています。

 

現在は2.3%ですが、令和6年に2.5%、令和8年には2.7%と段階的に引き上げられる予定で、今後も特例子会社の数は増加していくでしょう。

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特例子会社の給与とは

特例子会社の給与はどのくらいもらえるのか気になるという声をよく聞かれます。そこで「障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査・調査結果(2018年12月/株式会社野村総合研究所)」のデータに基づいて、紹介します。

特例子会社における給料はどのようになっている?

特例子会社で働く障害のある方の平均年収のうち、最も多かったのは「151~200万円」が33.8%でした。続いて「201~250万円」が26.3%、「101~150万円」が19.7%となっています。データの中で最も高額だったのは「451~500万円」で0.5%でした。

 

※あくまでもデータの結果・傾向であり、会社によって異なりますので、参考程度に留めてください。
※上記の平均年収に対する勤務時間(フルタイム/短時間勤務など)は不明です。

特例子会社で働くメリット・デメリットとは?

この章では、特例子会社で働くメリット・デメリットについてご紹介します。

 

その次の章では、一般企業で障害者雇用で働く場合との違いについても解説しますので、特例子会社か一般企業の障害者雇用で働くか迷っている方は、メリット・デメリットを含めてぜひ検討してみてください。

特例子会社で働くメリット

特例子会社で働くには、主に以下のようなメリットがあります。障害のある方が多く働いており、障害に関するサポートが整っていることが特例子会社の強みだといえるでしょう。

  • 特例子会社では、障害のある方や理解のある方が多く働いているため、それぞれの得意を活かし、苦手を補完し合いながら働く風土のある職場が多い

  • 自分に関する情報(障害特性や業務の得手・不得手など)を会社側で把握してもらえる。また障害特性などに関する知識が豊富な人が働いていることも多いため、自分のことを理解してもらいやすく、また体調などに配慮してもらいやすい傾向がある

  • 配慮された仕事・職場環境・人的支援が用意されている職場が多い

【配慮の例】

  • 勤務時間の調整
  • 仕事内容(例:難易度・業務量など)
  • 人的支援(例:精神保健福祉士や障害者職業生活相談員をジョブコーチとして配置する、上司とのこまめな面談設定 など)
  • 職場環境(例:イヤーマフの手配、集中ブースや休憩室・仮眠室、図や写真を用いて分かりやすいマニュアルの整備など)
  • 個々に合わせたコミュニケーション(例:口頭指示が苦手な方は書面でやりとりする、文字や漢字を読むのが苦手な方には口頭で伝える、など) など

特例子会社で働くデメリットはある?

実際に働くデメリットとしては、以下のようなことが考えられます。

  • 仕事内容が限られていることも多く、職域やスキルを広げにくかったり、昇給が難しかったりする場合がある

  • 特例子会社から一般企業に転職を考える場合(クローズ就労を希望する場合)に、障害について開示せず働くことが難しくなる可能性がある(職歴に特例子会社での就職経験が残るため、障害があることを知られる可能性が高くなる)

上記はあくまでも傾向です。現在さまざまな特例子会社が増加していることや、社会的にも障害者雇用に関する理解が進んできていることから、上記に当てはまらない場合も多くあります。

 

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特例子会社と一般企業の障害者雇用との違いは?

特例子会社と一般企業の障害者雇用との違いについて、雇用形態・障害種別・業務内容について、それぞれの割合を比較してみます。

 

※特例子会社に関しては「障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査・調査結果(2018年12月/株式会社野村総合研究所)」のデータ、一般企業の障害者雇用に関しては「平成 30 年度障害者雇用実態調査結果」「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」のデータに基づき、解説します。

特例子会社における雇用形態

特例子会社で働く障害のある方の雇用形態では、最も多いのは「期間の定めのない正社員(64.3%)」、その次は「期間の定めのある契約社員・パートなど(35.7%)」となっています。さらに障害種別ごとでまとめると以下のようになります。(※4)

 

特例子会社における雇用形態

 

一方、一般企業の障害者雇用で働く障害のある方の雇用形態は以下の通りです。(※5)

障害種別ごとの雇用形態

障害者雇用における雇用形態

 

「知的障害」について
現在『ICD-11』では「知的発達症」、『DSM-5』では「知的能力障害(知的発達症/知的発達障害)」とも呼ばれたりしますが、知的障害者福祉法などの福祉的立場においては「知的障害」と使用していることが多いため、この記事では「知的障害」という表記を用います。

特例子会社における障害種別

特例子会社で働く障害のある方の障害種別では、知的障害のある方は「52.2%」、身体障害のある方は「29.7%」、精神障害のある方は「18.1%」となっています。(※4)

 

一般企業の障害者雇用で働く障害のある方の障害種別は、知的障害のある方は「23.8%」、身体障害のある方は「58.3%」、精神障害・発達障害のある方は「17.9%」となっています。(※6)

 

特例子会社は知的障害のある方を雇用していることが多いですが、特例子会社・一般企業共に精神障害・発達障害の割合も年々増加しています。

 

その背景のひとつとして、2018年4月より障害者雇用促進法の雇用対象が知的障害のある方・身体障害のある方に加えて、精神障害・発達障害のある方も対象になり、法定雇用率が引き上げられたことにあります。

特例子会社における業務内容

特例子会社における業務内容では、最も多かったのは「事務補助(79.1%)」でした。次に「清掃(50.0%)」「その他(30.1%)」「製造(機械・食品など)(23.5%)」「物流(20.4%)」と続いています。(※複数回答可による集計)

 

その他においては、具体的には「人事・総務関連事務」「ギフトラッピングなどの包装」「郵便物の仕分け」などが挙げられました。

 

一般企業の障害者雇用で働く障害のある方の具体的な業務内容についてのデータはありませんでしたが、障害種別・職業別のデータとしては、最も多いものから5つを並べると、以下のようになります。

 

身体障害

  1. 事務的職業(32.7%)
  2. 生産工程の職業(20.4%)
  3. 専門的・技術的職業(13.4%)
  4. サービスの職業(10.3%)
  5. 販売の職業(9.6%)

知的障害

  1. 生産工程の職業(37.8%)
  2. 運搬・清掃・包装等の職業(16.3%)
  3. サービスの職業(22.4%)
  4. 販売の職業(12.2%)
  5. 事務的職業(7.5%)

精神障害

  1. サービスの職業(30.6%)
  2. 事務的職業(25.0%)
  3. 販売の職業(19.2%)
  4. 生産工程の職業(12.0%)
  5. 運搬・清掃・包装等の職業(7.6%)

発達障害

  1. 販売の職業(39.1%)
  2. 事務的職業(29.2%)
  3. 専門的・技術的職業(12.0%)
  4. サービスの職業(10.5%)
  5. 運搬・清掃・包装等の職業(5.5%)

障害特性は人それぞれ異なるため一概にはいえませんが、障害種別ごとに就いている職業にばらつきがあるのが分かります。例えば、身体に障害のある方であれば、身体に負担のかかりにくい職業として、事務的職業の割合が高い傾向にあります。

 

(※4)「障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査・調査結果(2018年12月/株式会社野村総合研究所)」のデータを基に、株式会社LITALICOパートナーズにて推計をおこなっています。

(※5)「平成 30 年度障害者雇用実態調査結果」のデータを基に、株式会社LITALICOパートナーズにて推計をおこなっています。

(※6)「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」のデータを基に、株式会社LITALICOパートナーズにて推計をおこなっています。

 

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特例子会社の求人や就職活動のポイントは?

特例子会社の求人の探し方や就職活動のポイントは、一般企業(障害者雇用・一般雇用)と大きくは変わりません。

 

特例子会社の求人は、インターネットやハローワークでの求人検索で主に探すことができます。それ以外にも、特例子会社と連携している特別支援学校や就労移行支援事業所などを経由して求人に応募する場合も多くあります。

 

特例子会社によって採用基準は異なりますが、どの会社においても自分について理解を深めるための自己分析をしっかりとおこない、面接で話せるようにすることが大切です。自分一人で自己分析をすることが難しい場合、就職活動をサポートする支援機関を活用してみるのもいいでしょう。

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就職をサポートする支援先の一例

ハローワーク(公共職業安定所)

ハローワークには、障害のある方の就職を支援する窓口があります。(市区町村によって、名称が異なります)ハローワークには特例子会社の求人もあり、求人探しのサポートだけではなく、就職や働き方に関する相談や自己分析・面接などの就職活動をサポートをおこなっています。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、特例子会社を含む一般企業等への就職に向けてサポートをおこなう通所型の障害福祉サービスです。

 

実際に事業所に通い、職業トレーニングや自己分析、面接や履歴書対策などの就職活動のサポート、就職後に働き続けるための定着支援などを受けることができます。また障害のある方の就職や定着にノウハウを持っていることも特徴です。

 

ほかに「障害者就業・生活支援センター」や「地域障害者職業センター」などさまざまな支援機関があります。

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障害のある方の就職をサポート「LITALICOワークス」

「大人の発達障害」の就職サポート事例

 

LITALICOワークスは、障害特性への理解があるスタッフが、一人ひとりの悩みや気持ちに寄り添い、それぞれに合った目標やペースで、就職までの道のりをサポートします。特例子会社をはじめ、これまでに累計13,000名以上の方の就職をサポートしてきており、就職後も働き続けられている方が多くいます。全国に100ヶ所以上の事業所によるネットワークがあるため、多くの知見やノウハウを持っていることも強みです。

 

また、LITALICOワークスでは、多くの特例子会社とつながっているため、特例子会社の求人もあります。


「就職先の選択肢として特例子会社を入れるか悩んでいる」「ひとりで就職活動を進めていくのに不安がある」「自己分析に自信がない」など、就職に関するお悩みをぜひ、お気軽にご相談ください。

 

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特例子会社で働く方の体験談

これから就職活動をするにあたって、特例子会社で働くか、一般企業の障害者雇用で働くか、悩んでいる方もいると思います。

 

そこで、実際にLITALICOワークスから特例子会社に就職したAさん・Bさんが特例子会社を選んだ理由についてご紹介します。今後の就職活動の参考にぜひご覧ください。

Aさん(うつ病)

私は前職でうつ病を発症し、体調が不安定になりました。その後、就労移行支援事業所に通いながら体調コントロールを身につけていきましたが、働くことにまだ不安な気持ちがありました。

 

そのため、まずは業務量の調整や体調管理など相談しやすい環境で働くことに慣れていきたいと思い、特例子会社を選びました。現在は体調が安定して働けることを目標にしています。安定して働けるようになったら、次は一般企業の障害者雇用に挑戦し、経験やスキルを少しずつ広げていきたいと思っています。

Bさん(身体障害)

私は生まれつき肢体が不自由で悩むこともたくさんありました。しかし、私には難しそうと思っていても、実は工夫次第でできることもたくさんあると気づくこともできました。その経験から、障害をポジティブに捉え、人はみんなそれぞれ能力があり、その能力を発揮できる社会になってほしいと思うようになりました。

 

特例子会社を選んだ理由は、ダイバーシティ&インクルージョン(※)の推進に取り組みたいと思ったからです。特例子会社ではいろいろな人がいて、自分にはない視点や学びがあり、楽しく働いています。

 

※ダイバーシティ&インクルージョンとは「人の多様性(=ダイバーシティ)を認め、受け入れて活かすこと(=インクルージョン)」で、性別や年齢、国籍などが違う人々に、それぞれの個性や能力に応じて活躍できる場を広げようという意味合いになります。

 

このように、LITALICOワークスでは皆さんが働くうえで何を大事にしたいのかを一緒に整理しながら、一人ひとりの希望にあった働き方が実現できるようにサポートしています。

 

Aさんのように「体調管理をしながら働く能力を身につけたい」という理由で特例子会社を選んだ方もいれば、Bさんのように「ダイバーシティ・インクルージョンの推進に取り組みたい」という思いで特例子会社を選んだ方もおり、理由は人さまざまです。

 

これから働くうえで何を実現していきたいか、それが特例子会社で実現できそうかを考えながら就職活動をしてみてもいいかもしれません。

 

ほかに特例子会社で働いている方の事例もありますので、ぜひ参考にしてみてください。

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特例子会社のまとめ

特例子会社は、障害のある方が働きやすくなるための配慮や環境が整っているところが最大の特徴だといえます。特例子会社と一般企業においてはそれぞれメリットがあるため、自分らしい働き方はどのような環境でなら実現できそうか、ぜひじっくり考えてみてください。

 

一人で就職活動を進めるのに不安がある方は、今回ご紹介したようなハローワークの専門窓口や就労移行支援事業所などを活用してみることもおすすめです。

 

LITALICOワークスでは、いつでも就職相談を受け付けていますので、ぜひお気軽にご相談ください。

更新日:2024/08/09 公開日:2021/09/16
  • 監修

    行政書士/親なきあと相談室主宰/社会保険労務士

    渡部 伸

    慶應義塾大学法学部卒後、出版社勤務を経て、行政書士、社会保険労務士、2級ファイナンシャルプランニング技能士などの資格を取得。現在、渡部行政書士社労士事務所代表。自身も知的障害の子どもを持ち、知的障害の子どもをもつ親に向けて「親なきあと」相談室を主宰。著作、講演など幅広く活動中。

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