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特例子会社とは?働くメリット・デメリット、給料や雇用形態など解説

更新日:2023/03/14

就職活動で求人を探しているときに特例子会社の求人を見かけ「特例子会社とは?」と疑問に思われる方もおられるのではないでしょうか。

 

特例子会社とは、障害のある方が安定して働きやすくするために設立された、主に大手企業が設立するグループ子会社です。

 

この記事では、特例子会社の実態(給料や雇用形態など)や、働くメリット・デメリット、一般企業の障害者雇用との違いなど解説していきます。これから就職活動をする上でぜひご参考いただければ幸いです。

特例子会社とは

特例子会社はどんな会社?

特例子会社とは、障害のある方の雇用促進及び安定を図るために設立された会社です。

 

障害のある方が働きやすくなるよう、障害に配慮した「短時間勤務」や「通院のための休暇」「仕事(量・内容)の調整」などのサポートが整備されていることが最大の特徴になります。

特例子会社ができた背景

障害のある方の雇用安定を実現するために定められた「障害者雇用促進法(※1)」があります。

 

その中で従業員が45.5名以上在籍している企業は、障害者の法定雇用率(※2)が2.3%(※3)以上、障害のある方を雇用しなければいけない義務があります。

 

しかし会社の業種や規模などのさまざまな理由から、障害のある方のために環境や制度を整えることが現実的に難しい場合があります。そこで会社とは別に障害のある方が安定して働きやすくするために子会社を設立し、厚生労働大臣の認可を受けたものが特例子会社になります。

 

特例子会社に在籍している障害のある従業員は親会社やその他のグループ会社に雇用されているものとみなし、障害者の法定雇用率を算定することができる仕組みとなっています。

 

(※1)正式名称は「障害者の雇用の促進等に関する法律」になります。

(※2)法定雇用率は分かりやすくいうと「労働者全体に占める、障害のある労働者の割合」のことです。労働者が100名の場合、障害のある労働者を2名雇用しなければいけないという計算になります。

(※3)2021年3月1日時点のものです。

特例子会社は全国にどれくらいあるの?

厚生労働省の「障害者雇用状況の集計結果」によると、2020年6月1日現在では「542社」となっており、年々と増加する傾向があります。
特例子会社推移グラフ

特例子会社の実態(給料・雇用形態・障害種別・業務内容)は?

特例子会社の実態はどのようになっているのか気になるという声をよく聞かれます。

 

そこで「障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査・調査結果(2018年12月/株式会社野村総合研究所)」のデータに基づいて、紹介します。ただし、あくまでもデータの結果・傾向であり、会社によって異なりますので、参考程度に留めてください。

特例子会社における給料(平均年収)

特例子会社で働く障害のある方の平均年収のうち、最も多かったのは「151~200万円」が33.8%でした。続いて「201~250万円」が26.3%、「101~150万円」が19.7%となっています。データの中でもっとも高額だったのは「451~500万円」で0.5%でした。

特例子会社における雇用形態

特例子会社で働く障害のある方の雇用形態では、最も多いのは「正社員(64.2%)」その次は「契約社員・パートなど(35.6%)」となっています。

特例子会社における障害種別

特例子会社で働く障害のある方の障害種別では、知的障害のある方は52.2%、身体障害のある方は29.7%、精神障害・発達障害のある方は18.8%となっています。

 

データで見ると精神障害・発達障害のある方が少ない割合となっていますが、厚生労働省の「障害者雇用状況の集計結果」のデータによると、年々と増加する傾向があります。その背景は、2018年4月より障害者雇用促進法の雇用対象が知的障害のある方・身体障害のある方に加えて、精神障害・発達障害のある方も対象になったことにあります。

特例子会社の障害種別のグラフ

特例子会社における業務内容

特例子会社における業務内容では、最も多かったのは「事務補助(79.1%)」でした。次に「清掃(50.0%)」「その他(30.1%)」「製造(機械・食品など)(23.5%)」「物流(20.4%)」と続いています。(※複数回答可による集計)

 

その他においては、具体的には「人事・総務関連事務」「ギフトラッピングなどの包装」「郵便物の仕分け」などが挙げられました。

特例子会社で働くメリット・デメリットとは?

特例子会社で働くメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット

●特例子会社は大手企業が設立することが多く、比較的雇用の安定が見込める

 

●自分に関する情報(障害特性や業務の得手・不得手など)を会社側で管理しているため、自分のことを理解してもらいやすく、また体調などに配慮してもらいやすい傾向がある

 

●仕事をしながら、自分の体調管理・体調コントロールのスキルを上げていきやすい

 

●配慮がきいた仕事・職場・人的支援が用意されている

 

(配慮の例)

  • 勤務時間の調整
  • ファシリティ(トイレなど)
  • 仕事内容(難易度・業務量)
  • 人的支援(精神保健福祉士やジョブコーチなどの配置)
  • コミュニケーション方法(口頭以外) など

 

(職種の例)

  • 入力作業
  • 物作り(食品、物品、植栽など)
  • 軽作業 など

デメリット

●特例子会社の構造的に昇給や仕事のスキル、職域を広げにくい傾向がある

 

※あくまでも「傾向」です。現在さまざまな特例子会社が増加しているため、上記のデメリットに当てはまらない特例子会社もあります。

特例子会社と一般企業の障害者雇用との違いは?

特例子会社においても一般企業の障害者雇用においても「配慮を受けながら働く」という点は同じです。それでは、違いはどこにあるのでしょうか?

 

違いとして、特徴を挙げられるものは「就業規則などの制度」や「環境の整備」などになります。

 

一般企業の障害者雇用においては、障害のある方に合わせて柔軟に制度や環境を整えることは難しい傾向があり、一方で特例子会社においては、障害のある方に合わせた制度や環境を整備しやすい傾向があります。

 

そのため、特例子会社の方が受けられる配慮の幅が広く、また働きやすい環境が整っていることが特徴であるといえます。

特例子会社で働いているAさん・Bさん ~特例子会社を選んだ理由~

これから就職活動をするにあたって、特例子会社で働くか、一般企業の障害者雇用で働くか、悩むところもあるかと思います。そこで、実際に特例子会社で働いているAさん・Bさんが特例子会社を選んだ理由についてご紹介します。今後の就職活動にぜひご参考ください。

 


 

●Aさん

私は前職でうつ病が発症し、体調が不安定になりました。その後、就労移行支援事業所に通いながら体調コントロールを身につけていきましたが、働くことにまだ不安な気持ちがありました。

 

そのため、業務量の調整や体調管理など相談しやすい環境でまずは働くことに慣れていきたいと思い、特例子会社を選びました。現在は体調が安定して働けることを目標にしています。安定して働けるようになったら、次は一般企業の障害者雇用に挑戦し、経験やスキルを少しずつ広げていきたいと思っています。

 


 

●Bさん

私は生まれつき肢体が不自由で悩むこともたくさんありました。しかし、私には難しそうと思っていても、実は工夫次第でできることもたくさんあると気づくこともできました。その経験から、障害をポシティブに捉え、人はみんなそれぞれ能力があり、その能力を発揮できる社会になってほしいと思うようになりました。

 

特例子会社を選んだ理由は、ダイバーシティ・インクルージョン(※)の実現に挑戦できるからです。特例子会社ではいろいろな人がいて、自分にはない視点や学びがあり、楽しく働いています。

 

※ダイバーシティ&インクルージョンとは「人の多様性(=ダイバーシティ)を認め、受け入れて活かすこと(=インクルージョン)」で、性別や年齢、国籍などが違う人々に、それぞれの個性や能力に応じて活躍できる場を広げようという意味合いになります。

 


 

このように、Aさんのように「体調管理をしながら働く能力を身につけたい」という理由で特例子会社を選んだ方もいれば、Bさんのように「ダイバーシティ・インクルージョンを実現したい」という思いで特例子会社を選んだという方もおられます。

 

特例子会社を選ぶ理由は人によってさまざまです。これから働く上で何を実現していきたいのか、これが特例子会社で実現できそうかを考えながら就職活動をしてみても良いかもしれません。

特例子会社における就職活動のポイントは?

特例子会社における就職活動の流れやポイントは、一般企業(障害者雇用・一般雇用)と同じでほとんど変わりません。

 

会社によって採用基準が異なりますが、どの会社においても配慮を求めるだけではなく、その会社でどう活躍できるのかを伝えることが大切です。そのため、自分の障害特性や配慮、やってみたい仕事の話だけではなく、自分が会社に対して貢献できる経験やスキル、想いなどもあわせてアピールしていくと良いでしょう。そのためには、自分について理解を深めるための自己分析をしっかりと行い、面接で話せるようにすることが大切です。

 

自分一人で自己分析をすることが難しい場合、就職活動をサポートする支援機関もありますので、活用してみるのも良いでしょう。

就職をサポートする支援先の一例

●ハローワーク
ハローワークには、障害のある方の就職を支援する窓口「専門援助部門」があります。(市区町村によって、名称が異なります)ハローワークには特例子会社の求人もあり、求人探しのサポートだけではなく、就職や働き方に関する相談や自己分析・面接などの就職活動をサポートを行っています。

 

●就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、特例子会社を含む一般企業への就職に向けてサポートを行なう通所型の障害福祉サービスです。

利用者は事業所に通い、職業トレーニングや自己分析、面接や履歴書対策などの就職活動のサポート、就職後の定着支援などを受けることができます。また障害のある方の就職や定着にノウハウを持っていることも特徴です。

 

LITALICOワークスは、障害特性への理解があるスタッフが、一人ひとりの悩みや気持ちに寄り添い、それぞれに合った目標やペースで、就職までの道のりをサポートします。
「これから特例子会社で働くか悩んでいる」「ひとりで就職活動を進めていくのに不安がある」「自己分析に自信がない」など、就労に関するお悩みをぜひ、お気軽にご相談ください。

まとめ

特例子会社は、障害のある方が働きやすくなるための配慮や環境が整っているところが最大の特徴だといえます。特例子会社と一般企業においてはそれぞれメリットがあり、これから働く上で何を実現していきたいか、これを会社で実現できそうかを考えながら、ぜひ自分らしい働き方を見つけてください。

 

一人で就職活動を進めるのに不安がある方は、ぜひハローワークや就労移行支援事業所などの利用を検討してみてください。

 

LITALICOワークスはいつでもご相談を承っています。ぜひお気軽にご相談ください。

更新日:2023/03/14 公開日:2021/09/16
  • 監修

    LITALICOワークス・マネジャー

    佐藤 謙介

    大手特例子会社で7年間現場責任者として延べ400名以上の障害者の仕事の創出と、心身ともに健康的に働ける職場づくりに従事。現在はその経験を踏まえ、企業への障害者雇用研修やダイバーシティ&インクルージョンの研修を実施している。

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