周りの人に向けて、なんらかの支援や配慮が必要であること伝える「ヘルプマーク」。
どのような人がヘルプマークを持つことでき、具体的にどこでどうやって入手し、どのような利点があるのでしょうか。
今回の記事では、一つずつ解説していこうと思います。
また、障害のある方はもちろん、支援・援助する側の人も正しい知識を持って行動できるよう、しっかりと理解しておくことが大切です。
周りの人に向けて、なんらかの支援や配慮が必要であること伝える「ヘルプマーク」。
どのような人がヘルプマークを持つことでき、具体的にどこでどうやって入手し、どのような利点があるのでしょうか。
今回の記事では、一つずつ解説していこうと思います。
また、障害のある方はもちろん、支援・援助する側の人も正しい知識を持って行動できるよう、しっかりと理解しておくことが大切です。
目次
ヘルプマークとは、「援助や配慮を必要としている方々が、そのことを周囲に知らせることができるマーク」のことです。(東京都福祉保健局より)
日常生活などでなんらかの困難がある方が、周囲の人に「支援や援助を必要としている」ということを伝え、サポートしてもらいやすくするためのマークになります。
デザインとしては、赤色の下地に、上下に白色のプラスマークとハートが描かれています。
実はヘルプマークの対象者に明確な基準はありません。
さまざまな障害福祉サービスには、それぞれ障害や疾患にあわせて基準が設けられていることが多いですが、ヘルプマークの場合、障害や疾患の基準が定められている訳ではありません。
例をあげてみると、このような方が対象になります。
ここにあげたのはあくまでも一例で、上記の方以外でも、「支援や配慮、サポートを必要とするすべての人」がヘルプマークの対象ということになります。
書類などの提示の必要はなく、申し出があった方に配布される、という形式になっています。自治体によって、若干違いはありますが、入手方法・配布場所については、後ほど解説します。
ヘルプマークの使い方をご紹介します。
ヘルプマークには、ストラップがついているので、リュックやバッグなどに付けるのがおすすめです。
周りの人から見えやすいところに付けるのがポイントです。
常時付けておくことも、その日の体調にあわせて付け外しすることもできます。
ヘルプマークは、援助が必要なことを表す目印になるだけではありません。
ヘルプマークには、シールが付属しています。
シールに必要事項を記入して裏面に貼っておけば、援助してくれる人が、何をどう助ければいいのかが、見れば分かるようにすることができます。
症状によっては、言葉で説明することが難しいこともあると思いますので、事前に必要な情報を書いておくのがいいでしょう。
<記載例>
ヘルプカードがどこにいけばもらうことができるのか、について解説していきます。
ヘルプカードをもらうための明確な条件のようなものは決まっていませんので、申し出をすれば、入手することが可能です。
ヘルプマークの配布場所は、各自治体によって若干異なりますが、基本的に下記のような場所で配布されています。
一部の自治体では、郵送での配布にも対応してくれるので、まずはお住まいの自治体で具体的な配布場所をチェックしておきましょう。
ヘルプマークは、自分で作って、付けることも認められています。
どうしても配布場所に行けず郵送対応もしてもらえない場合は、自分で作ることも可能です。
東京都福祉保健局のWebサイト内に、「ヘルプマーク作成・活用ガイドライン」がまとめられていますので、興味のある方は一度ご確認ください。
入手方法は、各自治体ごとに定められている窓口で、ヘルプマークの使用を申し出れば、即日入手することができます。
その際に、「障害者手帳」などの、障害や疾患を証明する資料や書類などを提示する必要はありません。
自治体によっては、「ヘルプマーク交付申請書」が求められるところもあるので、事前に確認が必要です。
ヘルプマーク交付申請書類は、書類選考などがある訳ではありませんので、ご安心ください。
ヘルプマークは無料で配布されていますが、基本的に1人1枚までです。
また、代理の方が申請することも可能です。
各自治体では、ヘルプマークをさらに多くの人に周知してもらうために、ヘルプマークが役に立った事例などを、Webサイトで公開しています。
今回は代表して、2つの事例をピックアップして、ヘルプマークを付けていたことで、どのような方がどのような状況で役立ったのか、具体的に見ていきます。
電車のダイヤ(運行)が大幅に乱れ、駅構内に人が溢れ返ってしまい、構内アナウンスも耳に入らず、駅の壁に寄りかかっていた。
そんな時、かばんに付けていたヘルプマークに気が付いた方が「大丈夫ですか?」と声をかけてくれ、改札外の落ち着いて座れるファーストフード店まで案内してくれた。
ディスレクシア(読み書き困難)があり、銀行で書類を書くのが非常に大変。でも、シールに支援してほしいことを書いたヘルプマークを見せると、さりげなく教えてくれてスムーズに手続きができた。
しかも、大勢のお客様がいる中で、毎回、自分の障害を説明しなくてもいいので、ストレスが減った。
ヘルプマークと似ていますが、ヘルプカードとは、障害のある方が困った時、緊急の時に、必要な支援や配慮を周囲の人に伝えるためのカードです。
人によって、障害の度合いや症状、手伝ってほしいことは違います。
そのため、ヘルプカードには、下記のようなことを記載します。
支援が必要な方がヘルプカードを身に付けておくことで、災害時や日常生活の中で困った時に、たとえ話せない状況になったとしても、カードを見せるだけで自分の障害について説明でき、必要な支援や配慮を周囲にお願いするのに非常に役立ちます。
市区町村の担当窓口(障害福祉課など)や都道府県の健康福祉センター、障害者相談支援センターや、交通機関各駅窓口などで配布されています。
ヘルプカードの入手方法は、ヘルプマークと同じです。
また、自分で印刷して使用することもできるので、お住まいの自治体のWebサイトなどを検索してみてください。
ここでは、ヘルプマークを付けている人を見つけた人が、どのようにすればいいのか?について解説します。
3つのケースにわけてご紹介します。
お声かけをして席を譲るかどうか尋ねるといいでしょう。
外見では分からなくても、非常に疲れやすかったり、つり革に掴まり続けたりするなど同じ姿勢を保ち続けることが困難な方などがいます。
「お席どうぞ」と自分から声をかけましょう。
例えば、電車が事故で遅延して、人が溢れている場合など、突発的な出来事に対して、臨機応変に対応するのが難しい方もいます。
何か困っていそうな様子を見かけた時は、「大丈夫ですか?どうかされました?」「何かお手伝いしましょうか?」と優しく声をかけましょう。
視覚障害や聴覚障害のある方は、緊急の状況を把握するのが難しい場合が多く、また、身体が不自由で自力で素早く非難するのが難しい方がいます。
見かけた際は、安全に避難するための支援・サポートをお願いします。
ヘルプマーク以外に、支援を必要としている方が付けているマークについて解説します。
マークの正しい意味を知っておかないと、せっかくマークの存在に気が付いたとしても、正しい行動をとることができません。
3つのマークについて簡単に紹介します。
ハートプラスマークとは、身体内部に障害があることを表すマークとして、特定非営利法人ハート・プラスの会が奨励しているマークです。
目的としては、ヘルプマークと一緒で、外見からでは障害があることが伝わらない方が誤解を受けたりしないよう、その存在を視覚的に示し、周囲の人々に理解や協力の輪を広げるために作られました。
ハートプラスマークが示す内部障害とは、内臓(心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう、直腸、小腸、免疫、肝臓)に障害がある方のことを指します。
ハートプラスマークをもらう方法はいくつかあります。
マタニティマークは、妊産婦の安全・健康を守るために作られ、厚生労働省が推進する「健やか親子21」が発表したマークです。
特に、妊娠初期の方は、外見からはなかなか見分けがつかないため、マタニティマークを付けることで、交通機関や飲食店、職場などで、周囲の方が配慮を示しやすくするためのものです。
マタニティマークをもらうには以下のような方法があります。
耳マークとは、聞こえが不自由なことを表すと同時に、聞こえない人・聞こえにくい人への配慮を表すマークです。
こちらも、なかなか外見からは分かりにくい場合が多いため、周囲の人に状況を伝えるために使われています。
耳マークをもらうには以下のような方法があります。
世の中には、外見では判断しにくい障害や疾患を抱えていて、日常生活に不安や不便を感じている方は、少なくありません。
すべての人が、気持ちよく安全に過ごせるよう、ヘルプマークがますます普及し、同時に周囲の人もヘルプマークの存在を知り、理解し、行動にうつせることが大切です。
ヘルプマークを入手することを希望される方は、お住まいの自治体にお尋ねください。
LITALICOワークスは各地で就労移行支援事業所を運営し、障害のある方の「働きたい」をサポートしています。
LITALICOワークスでは一人ひとりの症状や得意不得意、希望する就職などを伺い、計画を立てたうえで支援をおこないます。
例えば以下のようなサポートをおこなっています。
障害を開示するかどうかで悩んでいる場合でも、上記のような取り組みを通して自分に合う働き方を就労支援のスタッフと一緒に検討することもできます。その結果、障害を開示せず働くこととなった場合でも長く働き続けられるようサポートをおこないます。
相談は無料で随時受け付けていますので、「体調を安定して働きたい」「長く働き続けたい」「自分に合う職場を見つけたい」などがあれば、ぜひ一度お問い合わせください。
監修者
帝京科学大学 医療科学部 医療福祉学科 准教授
中里 哲也
EBP(Evidence Based Practice)に基づいたソーシャルワーク支援展開を目指し活動中。
専門は「医療福祉」「教育福祉」「地域福祉」「人材育成」など多岐に渡る。
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