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お役立ち仕事コラム

発達障害で障害者手帳を申請するには?取得できる条件や申請方法について解説

更新日:2023/08/31

発達障害のある方は障害者手帳の申請が可能です。

 

しかし「取得した方が良いのか?」「手帳をもらえないケースはあるのか?」「そもそも障害者手帳のことがよくわからない」など疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。

 

そこで、今回は障害者手帳の取得を検討している方へ向けて、障害者手帳がどのような手帳であるのかご紹介します。

 

また、手帳を取得する利点や申請方法についても合わせて解説していきます。

発達障害の障害者手帳とは?

障害者手帳は、何らかの障害のある方に交付されます。

 

取得することで「障害者求人への応募」ができることや「一部公共料金の割引」など、さまざまな支援サービスを受けることが可能です。

 

大前提として「発達障害者の障害者手帳」という名称の手帳はありません。

障害者手帳の種類

障害者手帳の種類には、下記の3つあります。

  • 身体障害者手帳(対象:身体障害)
  • 精神障害者保健福祉手帳(対象:精神障害・発達障害)
  • 療育手帳(対象:知的障害)

この中で、発達障害のある方が対象となる手帳は「精神障害者保健福祉手帳」であり、発達障害と知的障害がある場合は「療育手帳」もその対象になります。

 

障害者手帳は種類によって内容が異なるため、各自治体の公式サイトなどで詳細を調べる際は、名称を間違えないようにご注意ください。

 

例えば、精神障害者保健福祉手帳の対象疾患としては、下記が挙げられます。

  • 発達障害
  • 統合失調症
  • うつ病
  • てんかん
  • 高次脳機能障害
  • その他の精神疾患(ストレス関連障害等)など

発達障害には、ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)、ADHD(注意欠如・多動症)、LD(学習障害)などが含まれます。

精神障害者保健福祉手帳の等級とは?

精神障害者保健福祉手帳の等級は、1級~3級まであります。

 

等級とは、障害の症状や日常生活にもたらす制限の程度を計るための基準のことです。

 

例えば、発達障害の1つであるADHDにおいても、症状はさまざまであるため、日常生活での困りごとや必要な支援は人によって異なります。

 

1級と3級とでは、1級の方が症状による困難や制限が大きいことを表します。

 

日常生活にどのくらい制限があるかによって、等級が分けられています。

 

等級について、もう少しわかりやすくご紹介します。

  • 1級
    常に周囲の援助がないと日常生活が困難が生じている場合
  • 2級
    1級よりは症状が軽いが、日常生活に困難が生じている。就労をしている方も含む。
  • 3級
    2級よりは症状が軽いが、日常生活に制限がある状態。一般企業で働いている人も含む。

※上記の等級区分は、目安としてご覧ください。

 

等級は手帳を申請した後、各自治体の精神保健福祉センターで審査が行われ、決定します。

 

審査の際には、医師の診断書などを確認されます。

 

正確に審査してもらうためにも、かかりつけの医師へ日常生活の支障を正確に伝えておくことが大切です。

療育手帳は各自治体によって判定基準が決まっている

療育手帳は、児童相談所、または知的障害者更生相談所において、発達障害があると判定された方に交付される手帳です。

 

精神障害者福祉手帳のような等級ではなく、各自治体ごとに定めた判定基準があります。

 

例えば、症状の度合いに応じて、「A.重度 / B.中度 / C.軽度」といった区分に分けられます。

 

また、療育手帳は、各自治体により別の名称で呼ばれることもあります。

 

例えば、東京都では「愛の手帳」、埼玉県では「みどりの手帳」と呼ばれています。

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発達障害のある方でも障害者手帳は取得できる?

前の項目でもお伝えした通り、発達障害がある方は障害者手帳を申請することができます。

 

ただし、発達障害と診断されていても、場合によっては基準を満たさず、手帳が取れないことがあります。

発達障害のある方で障害者手帳が申請できない場合

発達障害のある方が申請できる精神障害者保健福祉手帳の対象は「長期にわたり精神疾患があり、生活に制限が出ている方」です。

 

長期とは、症状の診断を受けた日(初診日)から6ヶ月以上が過ぎていることを差します。

 

上記の基準を満たしていないと判断された場合は、申請ができません。

 

例えば「初診日から4ヶ月しか経っていない」などです。

 

障害者手帳が取得できるか否かの審査を行うのは各自治体です。

 

そして、等級の判定時と同様に診断書の内容が大きく影響すると考えられます。

 

そのため、障害者手帳の申請を検討している場合、まずは手帳が取得できそうか否か、かかりつけの医師に相談してみましょう。

発達障害の傾向があるグレーゾーンの方の申請は難しい

医師から発達障害だと確定診断されていないグレーゾーンの方の場合、障害者手帳申請の条件を満たしていないため、取得はできません。

 

しかし、障害者手帳や医師の診断書がなくても利用できる支援サービスがあります。

 

相談費用がかからない機関もあるため、困っていることがある場合は相談してみましょう。下記を参考にしてみてください。

障害者手帳を持っていなくても利用できる支援サービス

障害者手帳が取れない場合でも活用できる支援サービスの例は「ハローワーク」や「地域障害者職業センター」「就労移行支援事業所」などです。

 

上記の機関では、障害者手帳を持っている方だけでなく、持っていない方のサポートもしています。

 

ちなみに、就労移行支援事業所の「LITALICOワークス」では「スキルアップのサポート」と「就職活動サポート」の二つをメインに行っています。

 

また、就職が決まった後に、長く働き続けられるようサポートすることを目的とした「就労定着支援」にも対応しています。

 

相談のみや資料請求も受付しているため、気になる方はお気軽にご連絡ください。

 

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発達障害のある方は障害者手帳の取得は必要?

発達障害があると診断されたからといって、必ずしも障害者手帳を取得しなくてはいけないわけではありません。

 

障害者手帳を申請するか否かは、自分の意思で決めることができます。

 

この項目では、障害者手帳を取得するかどうか迷っている方に向けて、利点について解説します。

障害者手帳を取得する利点はある?

障害者手帳を取得するメリットとしては、下記が挙げられます。

  • 等級によっては税金が軽減される
  • 公共料金の割引サービスを受けられる
  • 障害者求人へ応募できる

ひとつずつ、具体的な内容をご紹介します。

 

税金が軽減される

所得税や相続税、住民税などの税金が軽減されることもメリットのひとつです。

 

所得税を例に挙げると、精神障害者保健福祉手帳(2級・3級)を持っている場合は、障害者控除として27万円が所得金額から差し引かれます。

 

また、精神障害者保健福祉手帳(1級)の場合、控除額は40万円です。

 

その他、住民税も、自治体ごとに控除額が設定されています。

 

さまざまな割引サービスを受けられる

税金以外にも、金銭的な負担が軽減される制度が整っています。

 

全国共通で行われているのは、NHK受信料の減免などです。

 

また、自治体や事業者によって行われているサービス例としては、下記の通りです。

 

  • 電車やバス運賃の割引
  • 携帯料金の割引
  • 上下水道料金の割引
  • 公共施設の入場料の割引
  • 公営住宅への優先入居 など

 

ただし、お住まいの地域によって各サービスの有無や対象となる等級は異なります。詳しく知りたい方は、各自治体の公式サイトを確認するか、直接問い合わせてみましょう。

 

障害者求人へ応募できる

精神障害者保健福祉手帳を取得していると、障害者求人へ応募を選択できます。

 

障害者求人とは、障害があることを前提とした求人のことです。

 

障害者求人の場合、事業主側は配慮が必要なことをあらかじめ想定しています。

 

そのため、障害者求人以外のルートで入社した場合と比較すると、障害についての理解を得やすいと考えられるでしょう。

 

また、面接時に自身の特性や症状を伝えることで、入社直後から整った職場環境で働ける可能性が高いことも安心できるポイントです。

 

ちなみに、医師から発達障害があると診断されていても、障害者手帳を持っていない場合は障害者求人への応募はできません。

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障害者手帳を取得するにあたって気がかりな点とは?

精神障害者保健福祉手帳を取得するにあたって、デメリットをあげるとすれば「申請の手間がかかる」「更新が必要」「医師への診断料がかかる」などが挙げられます。

 

また、障害者手帳を持つことに対して、抵抗感がある方もいらっしゃいます。

 

もちろん、障害者手帳を持たない選択をすることも可能です。

 

無理に取得する必要はないため「障害者求人へ応募したい」や「税金の減免を受けたい」などの支援を受けたいと思ったら、申請を検討すると良いでしょう。

 

一度、精神障害者保健福祉手帳を取得した後に「やっぱり必要ないかも」と感じたら、返納することもできます。

 

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発達障害の障害者手帳の申請方法は?

発達障害の障害者手帳はどのようにして申請するのか、手順についてご紹介します。

 

必要な書類や、取得の際に抑えておきたいポイントも合わせて解説します。

申請に必要な書類

精神障害者保健福祉手帳の申請に必要な書類は下記の5つです。

 

  • 申請書
  • 医師の診断書
  • 顔写真
  • 本人確認書類
  • マイナンバーがわかるもの

 

ひとつずつ、準備していきましょう。

 

申請書

精神障害者保健福祉手帳の申請書は、各都道府県の市区町村の障害福祉窓口で受け取ることができます。

 

窓口へ行き、手帳の取得を考えていることを伝えて、用紙を入手しましょう。

 

医師の診断書

精神障害者保健福祉手帳の申請時に提出する診断書は「初診日から6ヶ月以上経った後に作成されたもの」でなくてはいけません。

 

また、自治体によっては「作成後〇ヶ月以内の書類」と定められているパターンがあるため、なるべく早く提出しましょう。

 

診断書の作成には、だいたい2週間程かかることも覚えておきましょう。

 

料金はクリニックにもよりますが、約5,000円~8,000円程かかります。

 

顔写真

精神障害者保健福祉手帳を取得する本人の顔写真を準備しましょう。

 

縦4㎝×横3㎝のサイズが一般的です。

 

また「撮影してから1年以内」と決めている自治体が多いため、あらかじめ使用できる写真について確認しておくようにしましょう。

 

本人確認書類

運転免許証やパスポートなど本人の身元が確認できる書類が必要です。

 

マイナンバー(個人番号)がわかるもの

精神障害者保健福祉手帳を取得する本人のマイナンバーがわかる書類を用意しましょう。

 

マイナンバーカードを持っていない場合は、マイナンバーが記載された住民票の写しなどを提出します。

申請の手順

精神障害者保健福祉手帳の申請から取得するまでの流れをご紹介します。

 

  • 障害福祉窓口で申請書をもらう
  • かかりつけの医師に診断書作成を依頼する
  • 必要書類を窓口に提出する
  • 審査
  • 審査結果&等級が知らされる
  • 申請した窓口で手帳を受け取る

 

審査は書類を提出してから、約1ヶ月~4ヶ月ほどかかると考えておきましょう。

 

医師への照会が必要になったり、書類に不備があった場合は、時間がかかってしまいます。

 

数日~数週間ですぐに取得できるわけではないため、障害者求人への応募を検討している場合などは、早めの準備が必要です。

 

審査結果の通知書は、自宅へ郵送で届きます。

 

精神障害者保健福祉手帳は、申請書類を提出した窓口へ手帳を受け取りに行きます。

 

市区町村によっては、手帳を自宅へ送ってくれるパターンもあるため、事前に確認しておきましょう。

取得後は更新を忘れずに

精神障害者保健福祉手帳の有効期限は2年間です。

 

そのため、期限が切れる前に更新手続きを行う必要があります。

 

基本的には、有効期限の3ヶ月前から申請をすることが可能です。

 

精神障害者保健福祉手帳更新時の持ち物は下記の通りです。

 

  • 手元にある精神障害者保健福祉手帳の写し
  • 申請書
  • 医師の診断書
  • 印鑑
  • 本人の写真

 

精神障害者保健福祉手帳の更新時には、提出書類をもとにあらためて審査が行われるため、新たに医師の診断書が必要です。

 

また、審査には時間がかかるため、手元にある手帳の期限が切れる前に余裕を持って更新することを推奨します。

 

不明点や気になることがある場合は、必ず各自治体の問い合わせ窓口に確認しましょう。

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発達障害の障害者手帳のまとめ

ADHDなどの発達障害のある方は「精神障害者保健福祉手帳」とよばれる障害者手帳の対象です。

 

障害者手帳を取得すると、支援サービスを受けられるなどのメリットがあります。

 

ただし、条件を満たさない場合は手帳を受け取れない可能性があるため、まずはかかりつけの医師に相談しましょう。

 

また、障害者手帳は、必ずしも取得する必要はありません。

 

そのため、自身の症状や環境、気持ちなどを重視して申請するか否か判断しましょう。

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障害者手帳をお持ちでない方でも利用可能な場合があります。「障害者手帳取得について悩んでいる」「働けるか一人で不安」などお悩みのある方は、まずは就職支援のプロに相談してみませんか?

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更新日:2023/08/31 公開日:2021/12/10
  • 監修者

    鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授/LITALICO研究所 客員研究員

    井上 雅彦

    応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。

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