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お役立ち仕事コラム

うつ病の回復期とは?特徴や回復過程、過ごし方など紹介

更新日:2024/08/13

うつ病からの回復期、少しずつよくなってはいるものの症状に波があり「このまま治療を続けていてよくなるのだろうか」「主治医には回復期だと言われたが、また悪化するのではないか」などと不安を感じる方もいるのではないでしょうか?

 

うつ病の回復過程には、「急性期」「回復期」「再発予防期」と3つの過程があるといわれています。その中で回復期は、「強く出ていた精神症状が落ち着き、小さな波を繰り返しながら改善していく時期」です。調子がいいと思った日の翌日にまた悪くなるようなこともありますが、根気強く治療を継続することで、ゆっくりと改善していくのが特徴です。

 

今回の記事では、「うつ病の回復過程とは何か?」「回復期に気をつけることはなにか?」などについて解説をしていきます。回復期の症状の波に悩んでいる方や、過ごし方に迷われている方は、ぜひ参考にしてみてください。

うつ病の回復過程

うつ病の回復過程は「急性期」「回復期」「再発予防期」と大まかに3つの期間に分けられます。うつ病の原因も人によってさまざまなように、それぞれに要する期間にも個人差はありますが、目安として急性期が1ヶ月~3ヶ月、回復期が4ヶ月~6ヶ月、再発予防期が1年~といわれています。

 

うつ病の「急性期」「回復期」「再発予防期」について

 

生活習慣病などと同じく、早期に治療をはじめた場合には、1年かからないうちに再発予防期を迎える方もいるようです。症状の悪化・重症化を防ぐためにも決して無理をせず、早期に通院をして治療に取り組むことが大切です。

急性期

急性期は、憂うつな気分や不安、いらいらなどの症状が特に強く出ている時期です。ほかにも、自分を過剰に責めすぎてしまったり、自分には価値がないと感じたり、焦燥感などを感じたりする場合もあります。うつ病は、脳のエネルギーが欠乏している状態のため、本来の機能を取り戻すためにも、急性期には心身共に休養をすることが重要です。

 

その際、上記のような症状を改善させるために抗うつ剤を使用したり、うつ病の症状により睡眠に影響が出ているときは睡眠導入剤を取り入れたりする場合もあります。

回復期

回復期は、急性期に出ていた精神症状が落ち着いてくる時期ですが、日によって症状に波がある場合があります。周囲からは回復してきているように見えても、頭の中がもやもやして集中力が続かなかったり、人に会うのが億劫になったりすることもあります。

 

そのようなときは外に出て身体を軽く動かしてみるなど、無理のない範囲で活動量を増やすことが大切です。生活リズムを徐々に整えながら、社会復帰に向けた準備をおこなっていきます。

再発予防期

再発予防期では、回復期を過ぎた後にうつ病が再発しないようにするために、一定期間、服薬を継続します。症状が安定した後は、服薬や治療の必要性を感じにくくなりますが、自己判断で服薬をストップすると、うつ病の再発につながりやすくなるといわれています。

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うつ病の回復期の特徴

ここでは、うつ病の回復期について詳しく説明していきます。

うつ病の回復期の特徴

うつ病の回復期には、一般的に精神症状は落ち着いてきますが、身体的な不調が続いたり、以下のようなことに悩んだりすることがあります。

  • 集中力が続かなくてそわそわする
  • 人に会うのがしんどい、億劫に感じる
  • 睡眠はたくさん取っているはずなのに眠い
  • 昨日は調子が良かったはずなのに、今日はまた気分がどんよりしている
  • これまで楽しかったことをしても、楽しめない
  • 数日間は元気だったのに、また寝込んでしまうようになった

このような、心身の不調が続くことがあります。症状に波があることで「本当によくなっているのか?」と不安や焦りを感じる方も多いようです。しかし、一進一退を繰り返しながら、改善に向けて進んでいくこともうつ病の回復期の特徴であるため、焦らずに治療を進めていくことが大切になります。

うつ病の回復期の過ごし方

うつ病の回復期には、症状がよくなったり、悪くなったりと症状が波のように繰り返すことがあります。何もしたくないと意欲がわかなかったり、時には寝込んでしまったりすることもあります。

 

以下では、症状の波があることを理解したうえで、うつ病の回復期を無理なく過ごすためのポイントや注意点について紹介します。

薬を自己判断でやめない

うつ病の回復期で症状がよくなってくると、「服薬を止めてもいいのかな?」「服薬の量を減らしてもいいのでは?」と思うことがあるかもしれません。しかし、回復期のタイミングで自己判断で服薬を止めてしまうと、再発のリスクを高めることにもつながります。

うつ病の治療の効果は、服薬を続けることで徐々に出てくるため、服薬を自己判断でやめたり減量したりしないことが非常に重要です。もし、どうしても薬が合わない、量が多くてきついと感じる場合には、主治医に相談するようにしましょう。

ストレスを減らす

うつ病になった原因や、ストレスを感じやすい状況などを振り返り、極力ストレスがかかるものから離れて過ごしたりストレスを減らすための工夫を身につけたりすることが大切です。また仕事など、自分だけではどうしようもできない場合もあると思います。そうした場合は、仕事内容や職場環境について調整できないか、周囲に相談してみましょう。

休養を取る

休職をして一時的に仕事から離れたり、仕事の量を減らしたり、家族の協力も得ながら心身を休ませたりすることが大切な時期です。多くの方が後ろめたさや焦りを感じるものですが、「仕事は同僚や上司に任せよう」などと割り切って、物理的にも心理的にも休養に専念しましょう。

気分や体調の変化に気づく

回復期は「やる気が起きず何もしたくない」「そわそわして落ち着かない」「寝ても寝ても体力が戻らない」など、気分や体調の変化が起きやすい時期です。うつ病の症状が悪化しているように感じた日は、いつもより多く休養を取るなどして、無理をせずに過ごすことが大切です。

重大な決断は先のばしする

うつ病の症状が十分よくなるまでは、大きな決断は先延ばしにするとよいでしょう。例えば、うつ病の時には、周りに迷惑をかけているという理由から仕事を辞めてしまうこともありますが、症状が改善した際に後悔をする方も少なくありません。特に、人生にも関わるような大きな決断は、症状が落ち着いてから考えるようにしましょう。

会社への復帰時期や気になることについては主治医に相談する

うつ病で休職をしている方の場合、回復期になり症状が安定してくると、徐々に職場復帰について考えるようになります。復職時期はもちろん、体調の波や服薬の継続など、気になることがある場合には一人で抱え込まず、主治医や産業医などと見通しを立てながら準備をすることが大切です。

 

また、うつ病の方の「働く」をサポートしてくれる専門の機関もあるので、活用してみるのもいいでしょう。

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うつ病の方の仕事の支援

ここでは、うつ病の方の「働く」をサポートしてくれる支援機関を複数ご紹介します。「職場復帰に向けた準備を進めていきたいけれど、何をしたらいいのか分からない」という方は、一度相談してみるのがおすすめです。

リワーク

リワークとは、うつ病などの精神疾患で休職をしている方が、職場復帰に向けてリハビリテーションをおこなう機関で実施しているプログラムです。例えば、生活リズムの再構築や、作業を通して集中力・体力の回復などを図っていきます。リワークは医療機関や職場、地域障害者職業センターなどで実施しています。

ハローワーク

ハローワークでは、うつ病などの精神疾患がある方向けに、専門的なサポートをおこなっている相談窓口があります。休職中に転職活動を考えている方や、これからの仕事探しに悩んでいる方にもおすすめです。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターでは、障害のある方の身近な地域において就業面・生活面とそれぞれに担当者がついて、一体的なサポートをしてくれます。必要に応じて適切な支援機関と連携をしながら、社会復帰に向けた助言やサポートを実施しています。

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、うつ病などで休職中の方へのリワーク支援や、職場で定着して働くためのジョブコーチ支援などをおこなっている機関です。またこれから就職活動に不安がある方も就職や就職活動について相談することもできます。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、一般企業などへの就職を目指す障害のある方を対象に、就職するうえで必要な知識の習得やスキルの向上をサポートする機関です。企業インターンなどに参加することもでき、実際にさまざまな仕事や職場環境を体験しながら、自分に合った働き方を見つけることができます。

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就労移行支援事業所LITALICOワークス

 

就労移行支援事業所LITALICOワークスでは、一人ひとりの目標や状況に合わせて取り組めるカリキュラムを複数ご用意しています。例えば、ストレスの原因を把握し、無理なくコントロールする方法を学べる「ストレスマネジメントプログラム」や、自分の体調や特性に合った働き方についての理解を深める「自己理解プログラム」などがあります。

 

うつ病で休職中の方でも、一定の条件を満たせば利用できる場合があるため、興味がある方はぜひ一度ご相談ください。

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うつ病の回復期のまとめ

うつ病の回復期は、調子がよくなってきたと思ったら翌日には悪くなるなど、症状が安定せず不安になる方も多いものです。しかし、しっかり休養を取りながら服薬を継続することで、徐々に症状は改善していくことも可能です。

 

周囲に対して申し訳ない気持ちや、焦りを感じる場合もありますが、今は休むときだと割り切って、無理のない生活スタイルや働き方をゆっくり考えていきましょう。

 

「復職後に周囲と上手くやれる自信がない」「転職も考えているけど、自分に合う仕事がいまいち分からない」などと不安を感じている方は、先ほどご紹介した専門サービスを活用することもおすすめです。

 

LITALICOワークスはこれまでうつ病の方の就職・職場定着をサポートしてきました。「復職について不安がある」「無理のない働き方を実現したい」などがあれば、ぜひLITALICOワークスへご相談ください。

更新日:2024/08/13 公開日:2023/08/18
  • 監修者

    産業医科大学 特命講師

    佐々木規夫

    【資格】医学博士/精神科専門医/精神保健指定医/日本産業衛生学会指導医/社会医学系指導医 / 労働衛生コンサルタント

    【経歴】産業医科大学医学部卒業、大手企業の専属産業医および精神科病院での勤務を経て、現在は精神科外来診療と複数企業の産業医活動を行っている。

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