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お役立ち仕事コラム

リワークとは?プログラム内容や受ける意味、費用など解説

更新日:2024/06/19

リワークとは、うつ病など精神の不調によって休職した方がスムーズに職場復帰できるようにするためのプログラムのことです。

 

リワークを検討している方は「どんなプログラムがあるのだろうか?」「リワークは意味ないって聞いたけど本当?」「どのくらい費用がかかるのだろう」と疑問があるかもしれません。 

 

この記事ではリワークを受ける意味やプログラム内容、リワークの種類、リワークにかかる費用などを解説します。

リワークとは?

リワークとはどのようなものか、取り組み内容やリワークを受けることのメリットなどについて紹介します。

リワークについて

リワークとは精神的な不調により休職した方の職場復帰をサポートするためのプログラムのことです。生活リズムや模擬業務、ストレスコントロールなどのプログラムを通してスムーズな職場復帰を目指していきます。リワーク支援、職場復帰プログラム、復職支援プログラムなどさまざまな名称で呼ばれることもあります。

 

リワークは医療機関や公的機関、その他民間の事業所などで受けられます。

 

リワークでは「休職から復職への負担を減らすこと」と「働き続けるスキルを身につけること」ができます。休職から復職すると、業務やさまざまな人間関係だけでなく、毎朝決まった時間に起きる、電車などで通勤するなど、休職中にはなかった負荷がかかります。復職しそれらの負荷が一度にかかると心身に大きな影響が出ることもあります。

 

そこでリワークでは、定期的にリワーク事業所に通うことで生活リズムの安定を図り、実際に仕事に近いオフィスワークなどの経験をすることで、スムーズに復職できるような取り組みをおこないます。同時に、自己理解やストレスのコントロール方法といったプログラムを通して、復職後も安定して働き続けられるような取り組みをしていきます。

 

精神疾患は再発しやすい傾向があり、たとえばうつ病では再発率は60%再発を繰り返すとさらに再発率が上がるとされています。

 

リワークでプログラムを受け復職の準備を整えていくことは、再発防止としても意味があるといえるでしょう。

リワークでの取り組み

リワークでは、さまざまな取り組みを通して復職への準備を進めていきます。その人の状態や通う事業所などによって異なる部分はありますが、大まかな流れは共通しています。

 

ここではリワークの流れを大きく3つのステップで紹介していきます。

 

リワークでの取り組み

 

取り組む内容には流れがあります。初期にはリワークの事業所に通うことで生活リズムや体調を整え、中期には復職後も安定して働けるようにストレスコントロールなどのセルフケアを身につけます。また、身につけたスキルを職場復帰した後も実践できるようにワークショップやロールプレイ、職場に近い環境での模擬業務などをおこない準備を整えていきます。

 

今回紹介したのは一般的な例です。必ずしも順番におこなうだけではなく、自己理解プログラムと並行して職場に近い環境に慣れるための取り組みをするなど、さまざまなことを同時に進めていくこともよくあります。

 

 

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リワークのメリット・デメリット

リワークでは復職のために多くのプログラムに取り組みます。しかし「メリット・デメリットを知ってから検討したい」という方もいるでしょう。ここからは、リワークに通うメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。

リワークに通うメリット

まずは、リワークに通うメリットを3つ紹介します。

 

スムーズに復職しやすい

リワークの事業所に通うことで、生活リズムを整えられたり職場復帰の準備ができたりするため、復職してからもスムーズに職場に適応しやすいといわれています。

 

客観的なアドバイスがもらえる

リワークの事業所には専門的なスタッフがいるため、職場復帰に関するアドバイスなどをもらうことができます。たとえば、うつ病の症状などは自分自身ではどのくらい良くなっているのか分かりづらい面があります。

 

うつ病の回復度だけではなく、リワークでの取り組み内容や復職先の業務内容、再発防止の対策などを踏まえたうえで、スタッフからアドバイスをもらえることや一緒に復職に向けた計画を考えることはメリットといえるでしょう。

 

同じ状況の仲間がいる

リワークの事業所には、ほかにも復職を目指して通ってくる利用者がいます。復職の準備を一人で進めていると心細くなる方も多いでしょう。一緒に活動する仲間がいることで安心感を持てたり、モチベーションを維持できたりする方もいます。

リワークに通うデメリット

リワークに通うメリットを紹介しましたが、デメリットはあるのでしょうか。ここでは、人によってはデメリットとなり得ることを2つ挙げます。

 

数ヶ月通う必要がある

リワークは平均すると半年近く通う方が多いといわれています。もちろん個人差があり、3ヶ月程度の方もいます。

 

リワークに通っている最中は休職扱いとなるため、給料など金銭面で不安がある方や、会社によっては休職期間が定められていてあまり長期でリワークに通えないという方もいるでしょう。

 

費用がかかる場合がある

リワークは事業所によっては利用するために費用がかかる場合があります。また、リワークの費用はかからなくても、交通費や昼食代などによる金銭面で負担を感じる方もいるでしょう。

 

リワークに通うメリットやデメリットについて紹介しましたが、どういった面をメリットやデメリットと捉えるかは、人により異なります。現在の状況や会社の休職制度との兼ね合いなどを考慮したうえで、利用を検討するといいでしょう。

リワークのプログラム内容

リワークのプログラムの内容には、ストレスを減らすためのワークショップや体調を整えるための取り組みなどさまざまな種類があります。これらのプログラムの内容は、リワークの事業所によっても内容が異なります。

 

ここでは、リワークのプログラムとして代表的なものをいくつか紹介します。プログラム内容は事業所によって異なりますので、自分に合ったリワークの事業所を選ぶことが重要です。

認知行動療法

認知行動療法とは認知(ものの受け取り方や考え方)に働きかけて、思考のバランスをとってストレスを軽減していく方法のことです。

 

何かの出来事があったときにすぐ考えてしまう「自動思考」に目を向けて、現実との食い違いを確認し、思考バランスをとっていきます。思考バランスがとれるようになると、問題対処力の向上やストレス軽減にもつながります。

記録表などのツールを使った体調管理

日々の出来事と体調の変化を専用のシートに記録することで、客観的に体調を把握できるようにしていきます。あいまいに体調について把握していたことでも、記録することで、体調が悪くなるときの傾向がつかめ、より対策が立てやすくなります。 

 

たとえば記録を続けていく中で「グループワークで人と話した後は疲れやすい」ということが分かると、人とやりとりをした後は休憩をはさむようにするなど、対策を考えやすくなります。

SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)

SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)とは、社会生活技能訓練とも訳されるコミュニケーション方法を身につけるためのプログラムです。SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)は基本的にグループでおこなわれます。

 

まず、誰かが仕事の対人関係で困ったことを挙げて、それに対する対処法を考えたのち、実際にその方法を実践(ロールプレイ)するといった流れを繰り返して、対人関係で困らないよう対処法を身につけていきます。

キャリアデザイン

キャリアデザインでは、「自分の得意・不得意」「本当にやりたいこと」「自身の価値観」などを洗い出して、今できることやこれからしていきたい、それにどういう自分でありたいかといった項目などをまとめていきます。

 

働くうえでのスタンスを明確にすることで、リワークを終えて復職してからも、自分の軸をもって仕事に臨めるようになる効果があります。

レクリエーション

リワークでは、レクリエーション(余暇活動)をおこなうこともあります。利用者と一緒にスポーツやゲームなどの余興に取り組みます。レクリエーションを通して体力の向上やストレス解消などの効果があります。また集団でおこなうため、コミュニケーション能力を養うことにもつながります。

リワークは意味がない?

リワークのプログラムを紹介してきましたが、「リワークに参加して本当に効果がある?」「意味がないのでは?」と感じる方もいると思います。

 

しかし、ある調査ではリワークを受けた方の復職してから1年間の継続率は91.6%、2年後でも87.6%と高い数値となっているプログラムもあるようです。

 

もちろん、受ける方の状態や期間、リワーク事業所のプログラムなどによっても結果は異なりますが、少なくともリワークは意味がないとはいえないでしょう。

 

 

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リワークの種類

リワークは受ける場所などでいくつかの種類に分かれています。

 

リワークの種類

 

リワークは上記の表のように、医療機関、地域障害者職業センター、就労移行支援事業所などいくつかの場所で受けることができます。受ける場所によってプログラム内容や費用に違いがあります。それぞれの違いを知ったうえで自分に合ったリワークを選択していきましょう。

 

また、職場によってはリワークをおこなっている場合があり、それを「職場リワーク」と呼んでいます。リワークをおこなっているかどうかは、人事部や上司などに確認してみるといいでしょう。

医療リワーク

精神科や心療内科などで実施しているリワークです。医師や看護師、心理療法士、ソーシャルワーカーなどの医療スタッフがいることが特徴です。医療行為の一環としておこなっており、症状に気をつけながら通うことができます。

 

すべての病院やクリニックでおこなっているわけではないので、通院している方は主治医へ相談してみるといいでしょう。

 

医療リワークの費用

医療リワークでは医療の一環としてリワークを実施しているため、医療費という形で費用がかかります。受ける場所によっても異なりますが、健康保険適用(通常の3割負担)により1日利用して約2000円前後が多いようです。ただし、「自立支援医療制度」を利用すると医療費は1割負担に軽減されるため、一日約700円前後となります。自立支援医療制度については、以下のリンク先にて解説していますので、ご確認ください。

職リハリワーク

地域障害者職業センターで実施しているリワークを「職リハリワーク」と呼んでいます。障害のある方の仕事に関する専門機関のため、職場復帰に向けたウォーミングアップや職場復帰後のフォローアップに重点を置いたプログラムが多いことが特徴です。また、専門の職業カウンセラーなどが対応をおこないます。

 

対象となる方は雇用保険に加入している民間企業の休職者で、公務員は対象外ですのでご注意ください。また、障害者手帳がなくても利用できます。

 

職リハリワークの費用

職リハリワークを利用するには費用がかからない点が大きな特徴です。職リハリワークに通うための交通費や昼食代などはかかりますが、ほかの実施場所と比べて金銭面で助けとなるでしょう。

就労移行支援でのリワーク

就労移行支援とはうつ病などの障害のある方を対象に、一般企業などへの就職をサポートしている支援機関です。

 

就労移行支援の事業所によってはリワークを実施している場所もあり、それを就労移行支援でのリワークとよんでいます。事業所ごとに取り組む内容は変わりますが、就労移行支援は障害のある方の就職・職場定着のノウハウを多く持っていることが特徴です。

 

障害者手帳がなくても利用できる場合があります。リワークをおこなっているかどうかは事業所によって異なりますので、気になる事業所があったら問い合わせてみるといいでしょう。

 

就労移行支援でのリワークの費用

就労移行支援は国の「障害福祉サービス」に分類され、利用する場合は前年度の所得によって自己負担(利用料)が変わってきます。

 

たとえば、前年度の世帯収入がおおむね670万円以下であれば、毎月9,300円を限度に利用した分を支払うことになります。なお、この場合の世帯とは本人と配偶者のみとなり、親や子の収入は関係ありません。

 

就労移行支援の利用料

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リワークを利用するには

リワークを利用するまでの流れを簡単に紹介します。

 

基本的には、以下の流れで進めていきます。

1.相談

まず、リワークを利用したい旨を相談します。相談先としては、主治医、職場、リワークを実施している事業所などです。

2.利用先の事業所を決める

次に、利用先の事業所を決めます。リワークは事業所ごとにプログラム内容や利用料が異なります。多くの事業所は説明会や見学会を実施しているため、いろいろな事業所を見たうえで決定するといいでしょう。

3.利用手続き

利用する事業所が決まったら利用手続きをおこないます。主治医の診断書などが必要になりますので、事前に確認したうえで揃えるようにしましょう。

 

利用前には、職場復帰に向けた支援計画を作成します。計画はリワークのスタッフだけでなく、主治医や職場の担当者とも連携して、どのように復職まで進めていくといいのか検討したうえで作成します。

 

このような流れを経て、正式にリワークの利用が開始できます。リワークの事業所によって流れは異なりますので、事前にWebサイトなどで確認するようにしましょう。

 

 

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実際にリワークを利用して復職した方の体験談

ここではリワークで復職を目的とし就労移行支援を利用された方の体験談を紹介します。

 

以前にも一度休職から復職をしていたが、再度体調を崩し、休職しました。

 

今回は主治医に勧められて、復職前にリワークを利用することにしました。通院している病院ではリワークをおこなっていないため、調べてみたところ、就労移行支援事業所のLITALICOワークスを見つけました。

 

利用するタイミングでLITALICOワークスと職場の担当者、主治医で連携をとってどういった方針で進めていくかの計画を作りました。

 

Cさんは職場での人間関係にストレスを感じて体調を崩したため、ストレスコントロールや対人関係のプログラムを中心に進めていくことにしました。またプログラム以外にも実際の職場で仕事を体験する「企業インターン」にも取り組み、どういった場面でストレスを感じやすいのかの把握をおこないました。

 

その結果、Cさんは人との距離の取り方が上手になり、ストレスを感じる状況があってもストレス対処ができるようになり、4ヶ月後に復職を果たしました。

 

Cさんは職場復帰した後も「就労定着支援」といって働き続けるためのサポートを受けています。体調の変化や職場でのストレスがあったときは、就労移行支援のスタッフに定期的に相談することで、心身とも安定して働き続けることができています。

 

※プライバシーの観点から、事実を編集・再構成しております。

 

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無理のない働き方をサポート「LITALICOワークス」

就労移行支援事業所の「LITALICOワークス」は障害のある方が自分らしい働き方ができるようにサポートしています。

 

LITALICOワークスでは就職するためのプログラムだけでなく、就職後も安定して働き続けるための就労定着支援も提供しています。

 

自己理解や障害理解などのプログラムを提供したり、対人関係やストレスコントロールなど長く働くために必要となるスキルの取得をサポートしたりしています。

 

休職中の方も一定の条件を満たせば利用できる場合がありますので「休職を繰り返してしまう」「体調が安定しない」という方は一度ご相談ください。

リワークについてのまとめ

リワークは、うつ病などの精神疾患によって休職した方が円滑に職場復職するためのプログラムのことです。

 

リワークは、自己理解や体調管理をおこない、リワークで身につけたスキルを実践できるようにワークショップや模擬業務などで試行錯誤をしながら復職の準備をすることができます。

 

復職後の働き方や体調に不安がある方はリワークの活用を検討してみてはいかがでしょうか?

 

LITALICOワークスでもリワークをおこなっている事業所があります。リワークを検討している方はぜひ一度ご相談ください。

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更新日:2024/06/19 公開日:2021/10/05
  • 監修者

    ​医学博士/精神科専門医/精神保健指定医/日本産業衛生学会指導医/労働衛生コンサルタント

    染村 宏法

    大手企業の専属産業医、大学病院での精神科勤務を経て、現在は精神科外来診療と複数企業の産業医活動を行っている。また北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場のコミュニケーション、認知行動療法、睡眠衛生に関する研究や教育に携わった。

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