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統合失調症とうつ病の違いは?併発する?症状や治療法など解説

公開日:2023/06/26

「最近意欲がわかない」精神的な不調が続き、原因を調べていたら「統合失調症」や「うつ病」の可能性があるかもしれないと知り「自分は当てはまるのか」「当てはまるとしたらどちらなのか」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか?

 

統合失調症もうつ病も精神疾患の一つで、似ている症状もあることから、違いが分かりづらいという声もよく聞かれます。

 

この記事では、統合失調症とうつ病の違い、それぞれの症状、治療法、活用できる相談窓口などについて紹介します。

統合失調症とうつ病の違いとは?

統合失調症とうつ病はどちらも精神疾患の一つで、一見すると似た症状があることから違いがわかりづらいと言われることがあります。

 

統合失調症は100人に1人程度、うつ病は100人に6人程度がかかるといわれており、どちらも珍しくない精神疾患です。また、「意欲の低下」により生活に影響が出るなど似ている点もあるため、違いがわからず悩む方も少なくありません。

 

ただ、統合失調症とうつ病では似ている点もありますが、実際には症状にも治療法にも違いがあります。この後、それぞれの症状の違いについて紹介していきます。

 

しかし、あくまで参考程度にとらえて自己判断はせず、当てはまる症状などがあれば早めに精神科や心療内科を受診するようにしましょう。

統合失調症の症状とは?

統合失調症は幻覚や妄想のほか、考えがまとまりづらくなったり、意欲が減退したり、さまざまな症状が表れる精神疾患の一つです。

 

統合失調症の発症原因は多数の遺伝子が関与している因子のほか、環境の因子が重なって起こるという仮説があります。しかし、現在のところ確かなことはわかっていません。

 

症状は大きく分けて「陽性症状」と「陰性症状」がありますので、それぞれ紹介します。

陽性症状

統合失調症の陽性症状として、

  • 幻覚
  • 妄想
  • 考えの混乱

があります。

 

幻覚とは実際には起こっていないことを起こっていると思い込むことです。統合失調症の方は、幻覚の中でも幻聴が多いと言われており、具体的には、ほかの人が自分の悪口を言っているなど、現実には言われていないことが言われているように聞こえてしまうことが多いといわれています。

 

妄想とは、「明らかに誤ったことであっても、その人の中で確信を持ってしまう考え」のことです。妄想にはいくつかの種類があります。例えば、自分に関係のない出来事を自己に関連付けて考える「関係妄想」や自分が他人から見られていると考える「注察妄想」なども、そのうちのひとつです。

 

考えの混乱では、頭の中で考えがうまくまとまらず、結果として会話が途切れ途切れになったり脱線したりと話し方に特徴が表れるといわれています。

陰性症状

統合失調症の陰性症状としては、

  • 意欲の低下
  • 感情の平坦化
  • 人との関係の回避

といった症状が見られます。

 

意欲の低下では、これまで楽しめていたことにも無気力になり、お風呂に入らないなど身だしなみにも気を遣わなくなる傾向があります。

 

感情の平坦化では、本人の感情の動きや表情の変化が少なくなるなど周りの人も顔を見てわかる変化が生じたり、周りの人の感情の変化をとらえるのが難しくなったりすることがあります。

 

人との関係の回避では、家や部屋に閉じこもって人と交流を取らなくなるなど、対人関係を避ける傾向があります。

うつ病の症状とは?

うつ病は一日中気分が沈んでいるといった抑うつ気分や、食欲低下や不眠などの身体的な不調が表れる精神疾患の一つです。

 

うつ病の原因もまだはっきりとわかっていませんが、ストレスなどにより脳の機能に影響が生じることで発症するのではないかと考えられています。

 

うつ病には、精神面と身体面に症状が表れることが多いため、それぞれ紹介していきます。

精神症状

うつ病には精神症状として、抑うつ気分や意欲の減退などがあります。

 

主に以下のような症状が2週間程度表れていると、うつ病の可能性があるといわれています。

  • 一日中憂うつな気分が続く
  • 何をしても楽しめない
  • イライラする
  • 何もやる気にならない
  • 自分が無価値に思える
  • 消えてしまいたいと思う
  • 集中力がなくなる など

気分の落ち込みや意欲の減退、自分を責めるといった精神症状が多いようです。また、イライラしたり焦燥感に駆られたりする場合もあります。

身体症状

うつ病で表れる身体症状には、疲労感や食欲、睡眠に関わるものがあります。

 

こちらも、以下のような症状が2週間程度続くと、うつ病の可能性があるといわれています。

  • 食欲が減退する、または増進する
  • 体重が有意に減る、または有意に増える
  • 眠れない、または寝すぎてしまう
  • 夜中に目が覚める、朝起きられなくなる
  • 疲れやすくなる
  • 身体が重くなる
  • 頭痛、肩こり、動悸、めまい、胃の不快感がある など

眠いのに寝られないなど睡眠に乱れが出ることや、身体の重さや疲れやすさが表れることがあります。また、頭痛やめまい、胃の不快感などの身体的な不調を伴う場合もあります。

 

2週間というのはあくまで目安のため、気になる症状があったり不安を感じたりする方は、早めに精神科や心療内科などを受診することが大事です。

 

また、うつ病のほかにも抑うつ気分がある精神疾患に「双極性障害」もあります。うつ病と違う点は、躁状態といって気分が高揚する状態になることがある点です。こちらも統合失調症やうつ病とは治療法も違いますので、気になる症状がある方は早めに受診するようにしましょう。

統合失調症とうつ病は併発する?

 

これまで見てきたように、統合失調症とうつ病は似た部分もありますが、違う疾患です。そうすると、両方の疾患が同時に生じることもあるのではと気になる方もいると思います。

 

結論としては、統合失調症とうつ病は併発する可能性があるといわれています。また、統合失調症もうつ病もほかの精神疾患と併発することもあり得ます。

 

ほかの精神疾患を併発していると治療法にも影響が出てきます。精神的な不調があるときは現在表れている症状だけで自己判断せずに、必ず専門医を受診するようにしましょう。

統合失調症とうつ病の治療

ここでは、統合失調症とうつ病の治療法の共通点や違いを紹介します。

統合失調症やうつ病の受診先

統合失調症もうつ病も受診先は同じで、精神科や心療内科、またはメンタルクリニックなどになります。基本的に予約制のため、まずはホームページなどで予約をしてから受診しましょう。診察を受けた後は、症状によって薬物療法や精神療法といった治療をおこない回復を目指していきます。

薬物療法

統合失調症やうつ病をはじめとする精神疾患では薬を使った治療をおこなっていきます。処方される薬も共通点と違いがあります。

 

統合失調症では、抗精神病薬にて治療をおこないます。一方でうつ病では抗うつ薬を中心に治療をおこなっていきます。両疾患とも必要に応じて、睡眠薬や抗不安薬、気分安定薬などを用いるほか、便秘や頭痛など身体症状に対応した薬を追加することもあるようです。

 

精神疾患の薬は効果が表れるまでに時間がかかることがあり、また副作用も考えられるため、薬物療法で不安や悩みがある場合は主治医と相談しながら納得して進めていくことが大事です。

精神療法

統合失調症やうつ病では精神療法と呼ばれる治療法がおこなわれることがあります。

 

精神療法では、ストレスへの対応方法や心を落ち着く方法などを学んでいくことが多くあります。

 

精神療法の種類としては、

  • カウンセラーによるカウンセリング
  • 認知行動療法
    認知(ものの受け取り方や考え方)に働きかけて気持ちを楽にする精神療法
  • SST(ソーシャルスキルトレーニング)
    社会生活や対人関係を円滑にするためのスキルを身につける方法

それぞれ症状や性格などを踏まえて適した精神療法に取り組んでいきます。

 

ほかにも、必要に応じてさまざまな治療法があり、具体的な治療法は主治医と相談しながら進めていくことになります。また、療養して生活リズムを整えたり心身を落ち着かせることも大事なため、家族とも協力しながら取り組んでいくといいでしょう。

統合失調症やうつ病の方の相談先

統合失調症やうつ病の方は、生活や仕事のことなど悩みに応じて相談ができる機関がいくつかあります。

保健所・精神保健福祉センター

保健所や精神保健福祉センターは各都道府県や政令指定都市に設置されている、精神的な不調について相談することができる機関です。

 

相談に対して、状況を考えてほかの支援機関や医療機関を紹介してくれる場合があります。受診する病院で迷っているときにも相談するといいでしょう。

公的な相談窓口

統合失調症やうつ病などの悩みについて相談できる公的な窓口もいくつかあります。

 

その中の一つ、こころの健康相談統一ダイヤルは、全国どこからでも共通の電話番号にかければ、地域の相談機関につながるというサービスです。

ほかにも働く人の「こころの耳電話相談」という、精神的な不調について最大20分間電話相談ができるサービスがあります。

どちらも自宅からも相談できるため、不安や悩みがある方は活用してみるといいでしょう。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、障害のある方が生活と仕事について悩みを相談できる支援機関です。

 

統合失調症やうつ病などによる精神的な不調についても相談することが可能です。健康管理や仕事についての悩みがある場合は問い合わせてみるといいでしょう。

地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、職業リハビリテーションという専門的な手法を用いて、障害のある方の働くサポートをおこなう支援機関です。

 

仕事についての相談を受け付けているほか、リワークといって精神的な疾患などで休職している方が元の職場に戻るためのプログラムも提供しています。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所とは障害のある方を対象に、働くためのスキル向上などのプログラムの提供や、就職活動のサポートを実施している支援機関です。

 

就職した後も、長く働くために面談や職場への働きかけなどのサポートをおこなっているほか、統合失調症やうつ病で働く悩みがある方の相談も受け付けています。

 

LITALICOワークスは各地で就労移行支援事業所を運営し、障害のある方が自分らしく働けるよう支援をおこなっています。

 

統合失調症やうつ病の方の支援もおこなっており、一人ひとりの症状や得意不得意、希望する働き方などに合わせて計画を作成し、その方に合ったサポートを提供しています。

 

統合失調症やうつ病で、「意欲がわかず仕事に影響が出ている」「仕事が長続きしない」「自分に合った仕事が分からない」という悩みがある方はぜひ一度ご相談ください。

 

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統合失調症とうつ病の違いまとめ

統合失調症とうつ病は、意欲の低下など一見すると共通する症状が表れることもあり、違いが分かりづらいといわれている精神疾患です。

 

まず、統合失調症は幻覚や妄想のほか、考えがまとまりづらくなったり、意欲が減退したり、さまざまな症状が表れる精神疾患の一つです。そして、うつ病は抑うつ気分などの精神症状と、食欲や睡眠の乱れなどの身体症状が表れることが多い精神疾患です。

 

このように、統合失調症とうつ病は症状などが異なる疾患で治療法にも違いがあります。そのため、自分でどちらかと判断せずに専門医を受診することが大事です。

就労移行支援事業所「LITALICOワークス」

統合失調症やうつ病で仕事の悩みがある方は、就労移行支援事業所を活用する方法もあります。

 

LITALICOワークスでは「就労移行支援」のサポートを提供しています。統合失調症やうつ病などの精神疾患の方の支援事例も豊富にあります。診断名だけではなく、その一人の働く希望もうかがった上で、自分らしく働くためのサポートを実施しています。

 

無料の見学や体験を随時受け付けていますので、仕事でお悩みがある方はお気軽にお問い合わせください。

 

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公開日:2023/06/26
  • 監修者

    医学博士/精神科専門医/精神保健指定医/日本産業衛生学会指導医/労働衛生コンサルタント

    染村 宏法

    大手企業の専属産業医、大学病院での精神科勤務を経て、現在は精神科外来診療と複数企業の産業医活動を行っている。また北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場のコミュニケーション、認知行動療法、睡眠衛生に関する研究や教育に携わった。

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