人間関係やコミュニケーション、仕事の進め方などにおいて、思うようにうまくいかず、困っていませんか?
これはもしかしたら「発達障害」が原因かもしれません。
現在、大人になってから初めて「発達障害」と診断される方が増えています。発達障害の特性により仕事がうまくいかないことで、うつ病などの二次障害が生じることもあります。
この記事では、発達障害のひとつである「ADHD(注意欠如多動症)」はどういった特徴・特性があるのか、どのような治療や対策があるのかを詳しく見ていきます。
人間関係やコミュニケーション、仕事の進め方などにおいて、思うようにうまくいかず、困っていませんか?
これはもしかしたら「発達障害」が原因かもしれません。
現在、大人になってから初めて「発達障害」と診断される方が増えています。発達障害の特性により仕事がうまくいかないことで、うつ病などの二次障害が生じることもあります。
この記事では、発達障害のひとつである「ADHD(注意欠如多動症)」はどういった特徴・特性があるのか、どのような治療や対策があるのかを詳しく見ていきます。
目次
職場や生活において、このようなことで困ったことはありませんか?今までの行動を振り返ってみましょう。
上記で思い当たる項目が多ければ多いほど、もしかしたらADHD(注意欠如多動症)の傾向があるかもしれません。
子どもの頃はADHD(注意欠如多動症)の行動特性が強くない場合やADHD(注意欠如多動症)の行動特性があっても周囲が受け止めてくれる場合、「ADHD(注意欠如多動症)」と分からないことがあります。
ところが社会人になると、仕事においてミスがあると注意されやすい環境となるなど、ADHD(注意欠如多動症)の特性によって困難が表面化することがあります。
そこで初めて「もしかしたらADHD(注意欠如多動症)かも?」と思い、病院へ受診する人が多くいます。
「ADHD(注意欠如多動症)かも?」と思った時は、まずADHD(注意欠如多動症)の特性を理解し対策をたてることで、自分が感じる生きづらさやストレスを少しでも軽減させることやADHDの診断ができる医療機関を受診することが大切です。
ADHD(注意欠如多動症)の特性とはどういったものなのかを理解したうえで、今後生きやすくするために、今からできることを考えていきましょう。
ADHD(注意欠如多動症)は「Attention-Deficit Hyperactivity Disorder」の略称で、日本語に訳すると「注意欠如多動症」です。文字通り「不注意」「多動傾向」が主な特性となります。
ADHD(注意欠如多動症)といっても、人によって特性のあらわれ方はそれぞれ違います。
特性のあらわれ方によって
など主に3つに分けられます。
ADHD(注意欠如多動症)の原因は、現在のところはっきりとは分かっていません。脳の器質的な偏りによるものではないかと考えられている一方で、遺伝的な要因や環境要因など、さまざまなものが複合的に関係すると考えられています。ADHD(注意欠如多動症)は生まれつきのものではありますが、どの特性が強く表れるかは、環境にも左右されます。
発達障害のひとつであるASD(自閉スペクトラム症)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。知的障害(知的発達症)を伴うこともあります。幼少期に気づかれることが多いといわれていますが、症状のあらわれ方には個人差があるため就学期以降や成人期になってから社会生活において困難さを感じ、診断を受ける場合もあります。
ASD(自閉スペクトラム症)は対人関係などその場の状況に応じて対応が必要とされる状況は苦手といわれていますが、一方で一定のルールのある作業は得意とすることが多いです。
前述のような点を主な特性とするASD(自閉スペクトラム症)と、不注意・多動性、衝動性を主な特性とするADHD(注意欠如多動症)は、異なるものです。
しかし、実際は両者の特性を同時に示すことがあります。
具体的には「話に集中できない」という状況においては、ADHD(注意欠如多動症)の場合は集中ができない不注意によるものから来ているが、ASD(自閉スペクトラム症)の場合は興味が持てないために来ています。
そのため、ADHD(注意欠如多動症)とASDの区別がつきにくい場合が多いです。最初はADHD(注意欠如多動症)と診断されていたが、後にASD(自閉スペクトラム症)と診断し直されることもあれば、その逆のパターンもあります。
またADHD(注意欠如多動症)とASD(自閉スペクトラム症)が併存することもあります。
アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)を診断基準にし、問診やカウンセリング、検査などを中心におこないます。
ADHD(注意欠如多動症)の診断には、子どもの頃の様子や、仕事や生活に関する情報が必要になることがあります。
診断に必要な情報が不十分であったり、ADHD(注意欠如多動症)と似た特性をもつ別の疾患の可能性があったりすることで、状況によっては診断がすぐにつかない場合もあります。
受診する際には、以下の準備をしておくといいでしょう。
ADHD(注意欠如多動症)の治療法として、「環境調整」「認知行動療法」「薬物療法」などがあります。
● 環境調整
自分の特性(得意・苦手なこと)を理解したうえで、苦手分野を補うために生活環境や人間関係などを見直す方法のことです。
このように環境を調整することで自分の苦手分野をカバーできるようにしていきます。
● 認知行動療法
認知行動療法とは、認知(考え方や価値観)のゆがみを改善し、状況や場面にふさわしい行動がとれるよう、トレーニングをおこなう方法のことです。
認知行動療法を通して、本人のストレスを減らし、社会に適応できるようにしていきます。
●薬物療法
ADHD(注意欠如多動症)の症状を改善するために薬を服用していきます。脳内の神経伝達物質のバランスを整えるものなどがあり、人によって合うものが違うため、主治医と一緒に続けていきます。
もしかしたら私はADHD(注意欠如多動症)かも?と思った時、まず自分自身の行動特性(得意・不得意)を理解し、受け入れることが大切です。
そのうえ、自分にできること、自分にあった環境を考え、どのような対処をすれば苦手な部分をカバーできるのかを見つけていくことで、日常生活や仕事などの困難さを軽減させていきます。
1人で解決することが難しい場合、ADHD(注意欠如多動症)のある方の生活や就職を、サポートする支援機関も数多くあります。積極的に活用してみるといいでしょう。
以下を参考にしつつ、今自分ができるところから少しずつ始めてみましょう。
病院やクリニックの「精神科」「神経科」「心療内科」などを受診します。
ただし、ADHD(注意欠如多動症)を含む発達障害の診断・治療を専門的におこなえる医師・専門機関は少数です。そのため、受診機関での診断や治療に納得がいかない場合はセカンドオピニオンを検討することを視野にいれてもいいでしょう。
発達障害者支援センターに相談すると紹介してもらえることもあります。
日常生活や仕事における困難さを少しでも軽減するために、自分を知ることが大切です。
まずは自分の得意なこと・不得意なことを整理し、不得意なことがあれば、どのような環境やサポートがあればできるかを考えてみましょう。
職場の環境やサポートにおいては、以下のような障害者雇用の事例を参考にしてもいいかもしれません。
自分を知ることが難しい場合、発達障害者支援センターなどの支援機関を活用して、自分のことを知るという方法もあります。
日常生活のさまざまな困りごとの相談ができる場所をご紹介します。
【発達障害者支援センター】
ADHD(注意欠如多動症)などの発達障害がある方への支援を総合的におこなっている専門機関で、各都道府県・指定都市に設定されています。日常生活・仕事などのさまざまな困りごとについて、相談することができます。
【精神保健福祉センター】
主に精神疾患・精神障害がある方の自立と社会復帰を支援するための専門機関で、各都道府県に設置されています。
【自助グループ・家族会】
ADHD(注意欠如多動症)がある方の自助グループなどが各地につくられています。同じ悩みや困りごとをもった仲間が集まる場所となるため、生活上の困難をうまく乗り越えるアイデアを共有できることもあります。
インターネットなどで検索して探してみてもいいでしょう。
働くことに関するさまざまな困りごとの相談やサポートが受けられる場所をご紹介します。
【障害者職業センター】
都道府県に設置されている機関で、障害のある方に対する職業リハビリテーション、就職支援、就労継続支援などをおこなっています。
【ハローワーク】
求人紹介やセミナーなど、就労全般をサポートするところです。ハローワークの中には、発達障害を理解している専門チューターを配置し、就職先を探す発達障害のある方に向けて相談業務を展開しているところもあります。
【障害者就業・生活支援センター】
就業面と生活面の一体的な相談・支援をおこなっています。
【就労移行支援事業所】
一般企業への就職を目指す障害のある方(65歳未満)を対象に、就職するために必要なスキルを身につけていただくためのプログラム実施、就職活動から就職のサポート、就職後の職場への定着支援をおこなう場所です。
不注意や多動性、衝動性は周囲の人から見ると、理解を得られにくく、誤解を受けやすい傾向がありますが、これは本人のやる気や努力不足によるものではなく、ADHD(注意欠如多動症)の特性(脳機能の偏りが原因)によるものかもしれません。
ADHD(注意欠如多動症)の場合、薬物療法や環境調整、スキルなどを身につけることで、本人のストレスや日常生活・仕事の困難さを軽減させていくことができます。
もし迷った時・悩んだ時は、病院や支援機関などをぜひ活用してみてください。
ADHD(注意欠如多動症)などで働くことにお悩みの方への支援として「就労移行支援」があります。
就労移行支援とはADHD(注意欠如多動症)など障害のある方の就職をサポートする福祉機関のひとつです。LITALICOワークスでは各地で就労移行支援事業所を展開し、障害のある方が自分らしく働くためのサポートをおこなっています。
LITALICOワークスではADHD(注意欠如多動症)のある方の就職実績も豊富にあります。自分自身の行動特性(得意・不得意)や今後生きやすくするための工夫の仕方などを理解し、自分に合った仕事を一緒に見つけましょう。
働くことでのお悩みがありましたら、ぜひ一度LITALICOワークスにご相談ください。
監修
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授/LITALICO研究所 客員研究員
井上 雅彦
応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。
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