情緒不安定とは、イライラしたり急に涙が出たりするなど感情の起伏が激しい精神状態のことをいいます。
誰でも感情の波はありますが、情緒不安定となると感情の急激な変化や激しさによって、仕事や生活にも影響が出てきます。
また精神疾患や身体疾患の症状としても出てくることがありますので、早めに対処していくことが望ましいです。
この記事では情緒不安定とはどのような状態のことをいうのか、原因や対処法について紹介していきます。
情緒不安定とは、イライラしたり急に涙が出たりするなど感情の起伏が激しい精神状態のことをいいます。
誰でも感情の波はありますが、情緒不安定となると感情の急激な変化や激しさによって、仕事や生活にも影響が出てきます。
また精神疾患や身体疾患の症状としても出てくることがありますので、早めに対処していくことが望ましいです。
この記事では情緒不安定とはどのような状態のことをいうのか、原因や対処法について紹介していきます。
情緒不安定とは感情の起伏が激しい状態のことで「イライラする」「すぐ怒る」などの攻撃的な感情が出る一方で「急に涙が出る」「ひどく落ち込む」など、ネガティブな感情が出ることもあり、その変化や落差が大きいことも情緒不安定の特徴です。
情緒不安定な状態により起きる症状について解説します。
個人差があるため、すべての方に当てはまるわけではありませんが参考にしてみてください。
仕事や家事をしているときに、悲しくないのに急に涙が出て止まらなくなるなど、情緒不安定のときは涙が出てくるという方が多くいます。
これはコントロールしきれない感情やストレスを、涙を流すことで身体から排除しているとも考えられています。
特に原因がなかったり、普段ならイライラしなかったりするような場面で感情が止められなくなる状態です。
情緒不安定のときは些細なことに怒りっぽくなり、それを誰かにぶつけてしまっても、抑え込んでもどちらにしてもストレスが溜まってしまうことがあります。
特に理由がないのに悲しく憂うつになるなど、気分の落ち込みが現れてきます。
これまで気にならなかったことでも情緒不安定のときは「自分はもうダメだ」などと悲観的にとらえることが多くなります。
ほかにも情緒不安定の際に見られる症状を以下に挙げます。
当てはまることがありましたら「今は情緒不安定になっているかも」と立ち止まって考えてみることも大事になります。
また働いている人向けですが、厚生労働省のWebサイトでもストレスチェックを実施しています。気軽にできるため確認してみるのも一つの手です。
情緒不安定にはさまざまな原因が考えられます。ここでは身体的要因・精神的要因・環境的要因を記載します。
実際は一つだけなく、複数の要因が重なって情緒不安定の状態になることが多いといわれています。
睡眠不足を始めとして生活リズムが崩れることで、心身に影響が出て情緒不安定の原因となることがあります。
睡眠は脳と身体の疲れを取るために必要で、成人だと7~9時間が推奨とされています。寝不足の状態が続くと免疫も弱ってしまい、各種の不調につながってきます。
アルコールは睡眠を浅くする傾向があり、コーヒーやエナジードリンクなどのカフェインはやる気を出す効果もありますが、一方では睡眠や自律神経に影響が出るといわれています。
人それぞれ許容量が違っており、自分では飲みすぎていないと思っていても過剰摂取となり、情緒不安定につながっていることもありえます。
身体に疾患があることが情緒不安定の原因となることがあります。身体の疾患により痛みが続くと眠れない日が続くことや、痛み自体へ不安や恐怖が生じることがあります。
そのことがストレスとなって情緒不安定の状態になる可能性があります。
経周期にともない女性ホルモンの変化が生じ、そのことで情緒不安定になることがあるといわれています。生理の前か後かなどの時期や重さに個人差が大きくあります。
ストレスは外部からの刺激を受けたときに生じる緊張状態のことです。
何かショックな出来事や人間関係の悩み、心身の不調によってストレスを溜めすぎると、情緒不安定という形で表に現れてくることがあります。
精神疾患の一症状として情緒不安定が生じることもあります。
例えばうつ病・双極性障害、統合失調症・パニック障害・不安症などの方は、気分の変化が激し情緒不安定の状態になることがあります。
入学や転職などで自身の環境が大きく変わったときに情緒不安定になる場合があります。
昇進や結婚などのうれしい環境変化でも、心身には負担となっていることがあり、そのことで精神的に不安定になることもあります。
季節の変わり目や特定の季節に情緒不安定になる方もいます。季節の変わり目は気圧の変化や寒暖差が大きく、そのことで体調に変化が出ることがあります。また冬になると気分が落ち込むという「冬季うつ病」のように、特定の季節に精神が影響を受ける方もいます。
情緒不安定になる方の男女差はあるのでしょうか?
一般的に女性の場合は月経周期でホルモンのバランスが変化することで、感情にも影響があるといわれています。ただし個人差が大きく、それ以外には明確な差がないため、男女によって大きく変わるということはないといえるでしょう。
月経前に情緒不安定になるという方もいます。月経前になると以下のような状態が生じる方は「PMS(月経前症候群)」の可能性があります。
精神的な症状が特に出てくる場合は「月経前不快気分障害(PMDD)」の可能性もあります。
自身が当てはまっているかもしれないと思った場合は、婦人科もしくは精神科・心療内科を受診してみるといいでしょう。
月経の有無など以外には基本的に男女差はありません。それよりも現在の環境やストレスの受けやすさによって、情緒不安定になることがあります。
受診をためらう方もいらっしゃいますが、これまで挙げたような症状が出ている方は精神科や心療内科の受診を検討してみるといいでしょう。
「情緒不安定って診断はあるのだろうか」「薬とか治療を受けることもあるのか」という疑問を持つ方へ解説していきます。
情緒不安定は疾患や障害ではありません。しかし精神疾患が原因で情緒不安定になっていることや、情緒不安定な状態が続くことでうつ病などの精神疾患につながっていくことがあります。
そのため不安を感じたら精神科・心療内科・婦人科の受診を検討してみるといいでしょう。
その場合、ポイントとなるのは期間とタイミングです。情緒不安定自体は多くの方が一度は経験するものです。しかしそれが数週間~数ヶ月続いている場合や、毎月・毎年同じタイミングで生じる場合は受診を考えてみるといいでしょう。
また、期間は短くても仕事や生活に大きな支障が出ている場合も受診を検討してみることをおすすめします。
情緒不安定は疾患ではないため、決まった治療法はありません。
例えば、不眠に悩んでいる場合は睡眠導入剤などの薬が処方されることはありますが、基本的にはその方の症状に合わせてさまざまな治療をおこなっていきます。
情緒不安定の中でも「気分の落ち込みがある」「何をしても楽しめなくなった」「朝起きれない」などの症状が2週間以上続く場合はうつ病の可能性もあります。
うつ病と診断された場合は、抗うつ薬などの薬物療法をおこなっていくことになります。また、ストレスを受けやすい方の場合は、認知行動療法などの心理療法をおこなっていくこともあります。
情緒不安定になったとき、または予防のためにできる対処法を紹介します。
自分で自分の状態を記録していくことをセルフモニタリングといいます。
情緒不安定のときは自分の状態を把握することが大事となります。
ただ感情が激しく動くときはなかなか自分では気づけないものです。
そのため、紙に書き出す、記録をつけるなど一度自分の外に出すことでそのときの状態や、情緒不安定になるタイミングがつかみやすくなります。
情緒不安定になっているときは自律神経が乱れているケースも多くあります。
自律神経は活動的になる「交感神経」とリラックスする「副交感神経」があり、そのバランスが崩れることでさまざまな影響が出てきます。
カフェインの摂取やスマートフォン・パソコンの画面から出るブルーライトは交感神経を活性化させる効果があるため、寝る数時間前から控えるようにすると睡眠の質が上がるといわれています。
ほかにも副交感神経を優位にするため、ヨガやストレッチをするなどの方法があります。
情緒不安定は気分の落ち込みやイライラなど感情の起伏が激しくなる状態です。原因はいろいろなことが考えられるため、長く続く場合や仕事や日常生活に影響が出ている場合は精神科・心療内科などの受診も検討してみるといいでしょう。
LITALICOワークスは各地で就労移行支援事業所を運営し、障害のある方の「働きたい」をサポートしています。
LITALICOワークスでは一人ひとりの症状や得意不得意、希望する就職などを伺い、計画を立てたうえで支援をおこないます。
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監修
医学博士/精神科専門医/精神保健指定医/日本産業衛生学会指導医/労働衛生コンサルタント
染村 宏法
大手企業の専属産業医、大学病院での精神科勤務を経て、現在は精神科外来診療と複数企業の産業医活動を行っている。また北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場のコミュニケーション、認知行動療法、睡眠衛生に関する研究や教育に携わった。
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