発達障害のある方は、うつ病などの精神疾患を発症しやすい傾向があるといわれています。このような発達障害に伴って発症する精神疾患など、併存症を含め二次的にあらわれる状態を「二次障害」と呼びます。
例えば「発達障害の特性により仕事でミスを繰り返し、上司に叱責され続けたことで気分が落ち込み・塞ぎ込み、うつ病を発症した」という場合のうつ病が二次障害にあたります。あなたも、このような二次障害に悩んではいませんか?
今回は、発達障害の二次障害の症状や原因とその治療法や対処法について詳しく解説していきます。
発達障害のある方は、うつ病などの精神疾患を発症しやすい傾向があるといわれています。このような発達障害に伴って発症する精神疾患など、併存症を含め二次的にあらわれる状態を「二次障害」と呼びます。
例えば「発達障害の特性により仕事でミスを繰り返し、上司に叱責され続けたことで気分が落ち込み・塞ぎ込み、うつ病を発症した」という場合のうつ病が二次障害にあたります。あなたも、このような二次障害に悩んではいませんか?
今回は、発達障害の二次障害の症状や原因とその治療法や対処法について詳しく解説していきます。
この「二次障害」とは、診断書に記載されるような医学的な専門用語ではありません。あくまでも発達障害の特性が原因で引き起こされる精神疾患などを総称したものです。
発達障害の二次障害の原因として、発達障害の特性によって生じた日常生活や仕事などでの困りごとが蓄積された結果、生じることが多いと考えられています。
発達障害のある方は、その特性や症状が見た目では分かりにくいことが多いです。また、発達障害と診断されていない場合でも「発達障害の傾向がある」、いわゆる発達障害のグレーゾーンにいる方もいます。見た目からは特性・障害が分かりづらいことで、周囲からの理解を得られずにひとりで困りごとを抱え込んでしまうことがよくあります。
例えば「忘れ物が多い」「集中力が続かない」「周りの意図を汲み発言するのが困難」といった特性が、単なる不注意や怠けと勘違いされ、そのミスを注意・指摘されてしまうことがあります。周囲からの理解を得られていないと、本人が怠けていたり、努力が不足していると思われてしまうことがあります。
そうして、注意や指摘などで心身への負担が積み重なることが原因となり、さまざまな二次障害を引き起こしやすくなると考えられています。
二次障害を防ぐには、日常生活や仕事において工夫や対策をすること、また、周囲の人に正しく理解してもらうことや適切なサポートを受けることが大切です。
うつ病や不安障害などの精神疾患を疑い、精神科を受診して検査を受けた結果「実は発達障害だった」「それらの精神疾患は発達障害の二次障害だった」と初めて気づくこともあります。
発達障害の症状の程度は、個人差があります。自分の抱えているストレスや不安が、発達障害の特性によって生じているものが原因であると気づかないまま、日常生活でつらさや不安を感じながら生活している方もいます。
何かしらの不安や生きづらさを感じている場合は、無理に我慢せずに、医師による診察を検討してみるといいでしょう。
発達障害の二次障害として大きく分けて、「精神・身体面」「行動面」で症状があらわれます。
発達障害の二次障害として、抑うつ気分や身体の痛みなど自分に向けて症状があらわれることがあります。精神面・身体面においては、一例として、以下の通りがあります。
発達障害の二次障害として、暴言など他者に向けて起こる症状があります。行動面にあらわれるものとして、
などが一例としてあります。
こういった発達障害の二次障害の困りごとは、単独であらわれることもあれば、いくつか併せてあらわれる可能性もあります。

発達障害の二次障害は、発達障害の特性によって生じた日常生活や仕事などでの困りごとが蓄積された結果、生じることが多くあります。二次障害へ対応するためにも、まずはどのような困りごとがあるのかを把握していくことが大切です。職場においての困りごとの例として、以下のようなものがあります。
こういった困りごとが心身の負担となり、抑うつ気分や頭痛などの二次障害につながることがあります。そのため困りごとを軽減させ、心身の負担を減らしていくことが大切です。
対応方法は、困りごとによって変わってきます。本人の工夫で対応できる場合もあれば、職場の人に協力してもらう必要がある場合もあります。困りごとの把握・その困りごとへの対処法は、後ほど紹介する発達障害者支援センターなどの支援機関と一緒におこなう方法もあります。
支援機関によって違いはありますが、専門的な知識や経験のあるスタッフと一緒に整理していくこともできますので、一人で進めるのが難しいと感じる方は検討してみるといいでしょう。
職場などで今の環境が合っていないと感じたときは環境調整をおこなうことで、困難を軽減し二次障害の症状を和らげることができるかもしれません。環境調整の流れですが、職場の場合は上司や人事担当者、または社内の相談窓口、産業医などへ現在抱えている困難と、その原因や解消方法を伝えて調整していきます。
例えば発達障害の特性により「人の話し声が気になって業務に集中できない」という場合に「聴覚過敏があることを伝えてイヤーマフをつける」ことなどがあります。
そのほかにも職場の人に協力をお願いできる場合は、例えば「人の出入りや動きが目に入るとそちらに注意が逸れてしまう」という特性があるときは「席をパーティションで区切る」「入り口から一番遠い席に変更してもらう」などの環境調整が考えられます。
現在、発達障害の治療で通院されている方は、二次障害についても主治医に相談をしてみるといいでしょう。その際に二次障害としてどのような症状が出ているかを伝えることで、二次障害への対処や相談先を教えてくれることもあります。もし二次障害の治療のためにほかの病院へ通うことが決まっている場合でも、主治医にはそのことを伝えておくことが大事です。
現在、通院されていない方は、以前通院していた病院や発達障害支援センターなどに相談をしてみるといいでしょう。発達障害のある方の相談先は後ほど掲載します。
相談の後に、二次障害の症状に合わせた専門医で診察を受けることを検討してみるといいでしょう。二次障害として抑うつ状態など精神面で症状があらわれている場合は、精神科や心療内科、メンタルクリニックなどを受診しましょう。適切な治療を受けるためにも、受診する際に担当医に発達障害のあることも伝えるようにしましょう。治療方針が決まった後は、指示に従って治療に専念することが大切です。
精神的な症状が出ている場合は薬物療法などをおこなうことがあります。自己判断で治療を途中でやめたり、薬の服用回数を減らしたりすることは症状の改善が遅れたり、不調や悪化につながる原因にもなるので避けましょう。
何か気になることがある場合は、その都度相談するようにしましょう。また、場合によってはセカンドオピニオンも選択肢に入れておくといいでしょう。
発達障害のある方や二次障害の症状に悩む方が利用できる国の支援制度や公的機関のサポートを活用することも有効です。支援を利用し生活を送るうえでのストレスや負担が軽減されることで、発達障害や二次障害の症状改善につながるほか、症状の再発や予防も期待することができます。
「就労移行支援」と「就労継続支援」は障害者総合支援法で定められた障害者福祉サービスの一つです。発達障害や発達障害の二次障害により、働くことに困難やつらさを感じている方は、これらの支援制度の利用を検討してみてもいいでしょう。発達障害や発達障害の二次障害により、働くことに困難やつらさを感じている方は、これらの支援制度の利用を検討するのもおすすめです。
これらの就労支援サービスは、発達障害・精神疾患も支援の対象としており、発達障害の二次障害に悩む方にとっても最適な支援を受けることができます。
働くために必要なスキルや知識を学び、自身の発達障害の特性にあった対処法を身につけることができれば、日常生活や仕事でのストレスや社会との不適応を減らすことが期待できます。
発達障害の二次障害は、本人の工夫や治療に加えて、困難を感じる場合の対処法を学び、また周囲の人に相談し環境調整をおこなうことで、二次障害を予防することにつながります。また、発達障害の二次障害は早期発見・早期治療が重要です。
少しでも気になること、不安に感じることがあれば、お早めに専門機関の受診を検討するといいでしょう。
LITALICOワークスは各地で就労移行支援事業所を運営しており、これまで1万人以上の方の就職をサポートしてきました。
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監修者
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授/LITALICO研究所 客員研究員
井上 雅彦
応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。
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