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お役立ち仕事コラム

うつ病からの復職や再就職に怖さや不安がある方へ|仕事復帰までの流れやコツを解説

更新日:2024/08/09

「うつ病が原因で休職していたけれど、そろそろ仕事を再開したい」

 

「うつ病で退職したけれど、徐々に良くなってきたから新しい仕事について考えたい」

 

このように復職や再就職したいという希望はあるものの、恐怖心から一歩が踏み出せないという方もいると思います。

 

一定の期間、仕事現場から離れていた場合「復職や再就職が怖い」と感じるのは、ごく自然なことです。

 

今回は少しでも不安感を取り除けるように、復職までの流れや、できるだけ負担をかけずに社会復帰するためのポイントを解説します。

 

また、仕事復帰をサポートしてくれる機関、就労支援事業所についてもご紹介します。

うつ病から仕事復帰するまで流れ

まずは、うつ病の発症から仕事復帰するまでの流れをご紹介します。

 

復職のことを考えるとき「どのようにすればいいのか?」「一人で判断していいのか?」など、疑問点が多いと、不安感はどんどん募ってしまいます。

 

おおまかな流れを知ることで、不安な気持ちをやわらげることができますので紹介します。

  1. うつ病の発症
  2. 休職して身体を休める
  3. 復職や再就職の準備をする
  4. 仕事へ復帰する

うつ病からの仕事復帰は以上のような流れでおこなわれることが多くあります。詳細をこのあと見ていきましょう。

1.うつ病の発症

「うつ病かな?」と思ったら、すぐに専門の医療機関に相談することが大切です。

 

医師にうつ病だと診断され休職や退職を考えている方は、診断書を書いてもらい、会社の休職手続きや退職手続きをおこないます。

2.休職して身体を休める

休職期間中は、仕事のことを考えず、とにかく心と身体を休めることを意識しましょう。

 

大前提として、うつ病は短期間で治るものではないという点を理解することが重要です。

 

身体の状態が整ってきたタイミングで社会復帰を検討しましょう。

 

また、うつ病は症状が収まり、通常の生活ができるようになった場合、完治ではなく「寛解(かんかい)」という言葉を使います。

 

寛解とは、うつ病の症状が治まっている状態を指します。

3.復職や再就職の準備をする

復職したい・再就職をしたいと思ったら「再度働くための準備がしたい」と医師へ相談しましょう。

 

準備を始めても問題ないとの判断を受けたら、本格的な復職準備へと入ります。

 

大切なポイントは、休職期間中に乱れてしまった生活リズムを整えることです。

 

生活リズムの乱れの例としては、下記が挙げられます。

  • 起床時間がお昼過ぎになった
  • 外出をほとんどしなくなった
  • 毎日お昼寝をしてしまう
  • 夜更かしに慣れてしまった
  • 朝ご飯を食べなくなった
  • 身だしなみを整えなくなった

このような状態が続いていた場合、復職後、すぐに元通りの生活に戻すことは難しいと考えられます。

 

そのため、復職前から1日の過ごし方を変える必要があります。

 

やり方のひとつが、仕事をしていたときと同じ生活リズムを意識する方法です。

 

決まった時間に起きて、身だしなみを整え、朝食を食べ、出勤時間になったら軽くウォーキングをするなど、少しずつ身体を慣らしましょう。

 

また、一日の起床時間や食事の時間、運動量などを記録する方法もおすすめです。

 

ただし、仮に時間通りに起きられない日があったからといって、落ち込む必要はありません。

 

生活リズムを整える目的は、健康的に社会復帰するための準備です。

 

自分を追い込む必要はないため、マイペースにおこないましょう。

4.仕事へ復帰する

十分に準備ができたら、主治医に社会復帰が可能かどうかを診断してもらいましょう。

 

この時、自己判断での復職や再就職は避けるようにしましょう。

 

必ず医師の診断を受けて、問題がなければ復職診断書の作成を依頼します。

 

休職中の会社へ戻る場合

休職中の会社へ復帰する場合は、復職診断書を会社へ提出して、復職の意思を伝えましょう。

 

そして、人事担当者や上司と(場合によっては産業医も)話し合い、仕事復帰に向けてのスケジュールを調整します。

 

もし「試し出勤制度」が導入されている会社であれば、活用を検討してみましょう。

 

試し出勤制度は一定期間、職場での業務をおこない、本格的な復職ができるか確認するための制度です。

 

メリットとしては「元の通り働けるだろうか?」という不安を取り除ける点が挙げられます。

 

ただし会社によって内容やルールなどが異なるケースがあるため、事前の確認が必要です。

 

再就職する場合

前の職場を退職している場合は、再就職活動を始めます。

 

再就職に対して怖さや不安がある方は、うつ病に詳しいスタッフが在籍している支援機関のサポートを受けることを検討してみるといいでしょう。

 

不安要素や気になる点を相談しながら就活ができるため、安心感が得られます。

 

後の項目では、就職支援をおこなっている機関の紹介をしているので、合わせて参考にしてください。

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うつ病からの復職・再就職で失敗しないために

 

うつ病から復職した後に「失敗した」と感じないために、意識したいポイントは「絶対に焦らないこと」です。

 

責任感の強い方ほど「職場に迷惑をかけられない」「早くお金を稼がなくては…」と焦る気持ちを感じてしまう傾向があります。

 

しかし、焦りはストレスになるだけでなく、復職するタイミングを誤る要因にもなり得ます。

 

うつ病などの精神疾患の特徴として、集中力や判断力の低下が挙げられます。

 

つまり、まだ調子が良くなっていないタイミングで復職したとしても、業務を上手くこなせず、つらい思いを抱える可能性があると考えられるでしょう。

 

うつ病からスムーズに復職するためには、少しずつ身体を整えていくことが大切です。

 

また「復職直後から以前のように仕事をこなせるとは限らない」と考えておきましょう。

 

復職後すぐにテキパキ業務をこなせなくても落ち込む必要はありません。

 

もし可能であれば、焦らずに無理のない範囲で業務を進めていきます。

 

休職前の職場に戻る場合、もともとの業務量が多すぎると感じるのであれば、復職前に会社へ相談しておくことをおすすめします。

うつ病から復職後・再就職後の過ごし方

厚生労働省のデータによると、うつ病の再発率は60%といわれています。

 

少しでも再発率を下げるためには、復職後の過ごし方のポイントを押さえましょう。

体調管理を怠らない

うつ病から復職した後は、油断せずに体調管理を意識して過ごしましょう。

 

うつ病の症状の中には、不眠や食欲不振などがあります。

 

これらの症状が続くと、健康的に働くどころか、体調を崩す可能性が考えられます。

 

そのため、なるべく症状が起こらないように生活リズムを整えることが大切です。

 

具体的には「決まった時間に朝起きる」「朝食を抜かない」などです。

 

可能な方は、復職後の健康状態を日々記録しておくのもいいでしょう。

 

起床時間や体温、食事量や気分などをデータにしておくことで、体調の変化に気づきやすくなります。

 

また、不安な要素や不調が出てきたときには、データをもとにして「どのような点が気がかりなのか」具体的に医師へ伝えやすくなるでしょう。

治療は継続しておこなう

無事に復職をして、以前の日常生活に戻ると病院から足が遠ざかることも起こり得ます。

 

しかし、途中で治療を中断してしまった場合、うつ病が再発してしまう可能性もあります。

 

そのため、自己判断で通院を止めることはせず、治療は必ず継続しておこないましょう。

 

また、出されている薬がある場合は、復職後も医師の指示通りに服用してください。

ストレスを上手く解消したり付き合っていくために心がけること

うつ病の順調な回復のためには、ストレスと上手く付き合うことが必要不可欠です。

 

まず、仕事など、ストレスを感じる場面では頑張り過ぎないことがポイントです。

  • 軽いストレッチなどを挟む
  • 完璧を求め過ぎない
  • 多くの仕事を抱え込まない
  • 休憩時間はしっかり休み食事をとる
  • なるべく残業は避ける
  • 仕事が終わったら切り替える など

また、お休みの日の過ごし方も大切です。

 

避けたい例としては「一日中ベッドの中で過ごす」などです。

 

これではかえってストレスを溜め込んでしまいます。

 

なるべく、友人や家族と過ごしたり、軽く散歩をしたりなど「楽しい」「気分がいい」と感じる過ごし方を意識しましょう。

うつ病からの復職・再就職後につらい場合は

まず、うつ病からの復職・再就職は通過点であり、ゴールではないことを覚えておきましょう。

 

うつ病からの復職は、医療機関や職場、家族など周囲と協力することが必要不可欠です。

 

そのため、つらいときは一人で抱え込まずに周りの人へ早めに相談しましょう。

 

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うつ病からの復職が不安な方は?

うつ病からの復職が不安な方は、医療機関や地域障害者職業センターがおこなっているリワークプログラム(復職支援プログラム)を上手に活用しましょう。

 

リワークプログラムは、Return to work(仕事に戻る)を意味する言葉です。

 

うつ病などの精神的な不調からの仕事復帰をサポートしてくれる心強い味方です。

リワークプログラムとは?

リワークプログラム(復職支援プログラム)を開催している機関は大きく3つに分かれます。

  • 医療機関(医療リワーク)
  • 地域障害者職業センター(職リハリワーク)
  • 企業(職場リワーク)
  • 就労移行支援事業所

各機関でおこなわれるリワークプログラムの特徴をご紹介します。

医療機関(医療リワーク)

医療機関でのリワークプログラムでは、医師や看護師などの専門的なスタッフによって、医学的リハビリテーション(医療機関による療法)がおこなわれます。

 

医学的リハビリテーションの目的は、心身機能の回復や安定をサポートし、再休職を防ぐことです。

 

また、医療リワークにかかる費用は、一部自己負担ですが健康保険の適用が可能です。

地域障害者職業センター(職リハリワーク)

都道府県ごとに設置されている地域障害者職業センターでは、休職者だけでなく事業者の支援をおこない、スムーズな復職をサポートしています。

 

また、医療機関とも連携するため、休職者、事業者、医師の三者が合意したうえで、復職へ向けて動くことが可能です。

 

地域障害者職業センターの一覧は高齢・障害・求職者雇用支援機構の公式サイトをご覧ください。

企業(職場リワーク)

企業によっては、自社の休職者を対象として独自のリワークプログラムを開催しています。

 

内容や目的は企業ごとに異なりますが「復職後に再休職せず、安定的に働けるかどうかの見極め」として導入されているケースが見られます。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所とは、障害や疾患がある方の就労をサポートする機関です。

 

事業所によっては、うつ病からの復職を支援しているところもあります。

 

就労移行支援事業所の強みは、障害や疾患がある方の就労をサポートするための知識や経験が豊富である点です。

 

かかる費用は前年の収入などによって決まりますが、LITALICOワークスでは9割の方が無料で利用されています。

 

また、すべての就労移行支援事業所でリワークプログラムが開催されているとは限らないため、事前に確認が必要です。

 

相談や資料請求は無料であるため、気になる方はお気軽にお問い合わせください。

 

【無料】就労移行支援事業所について詳しく聞きたい

リワークプログラムの内容

リワークプログラムの内容は、開催している機関によってさまざまです。

 

いくつかの取り組みがおこなわれるパターンが多く、例としては下記が挙げられます。

 

個人作業課題

 

個人作業課題では、復職後に携わる仕事を想定した作業をおこないます。

 

例えば、書類を扱う作業や、パソコンを使用した入力作業などです。

 

実際の職場に近い環境でプログラムを実施することで、集中力や注意力、作業能力を回復させ、身体を慣れさせる目的があります。

 

ストレス対処

 

ストレス対処のプログラムでは、自身がどのような状況のときにストレスを感じやすいのか分析します。

 

そのうえで、考え方のクセや陥りがちな思考パターンを把握し、ストレス対処法を学びます。

 

キャリアデザイン

 

これまでの仕事などを振り返り、自身にどのような能力があるのか再発見するプログラムです。

 

また、振り返りをした後には、今後の仕事においての方向性についても考えていきます。

 

グループミーティング

 

ほかの参加者と接点を持ち、他者の考えやアイデアを知るプログラムです。

 

具体的には、復職への不安や症状など、テーマに沿って複数人で話し合います。

 

ほかにグループトークやグループワークと呼ばれることもあります。

 

ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)

 

ソーシャル・スキルとは、人と関わる際に大切なスキル(能力)のことを差します。

 

うつ病の有無にかぎらず、社会人にとっては欠かせない要素と言えるでしょう。

 

例えば「挨拶をする」「お願い事をする」「頼まれごとを断る」などの状況で交わす会話内容が挙げられます。

 

ソーシャル・スキル・トレーニングでは、どのような言い方をすれば誤解されず、スムーズに伝わるのか学ぶことができます。

 

しばらく仕事から離れていた方にとっては、職場でのコミュニケーションについて、復習するきっかけにもなるでしょう。

 

実際のプログラムでは、実際に複数の参加者へ、上司役や部下役などの割り振りをして、コミュニケーションの練習をおこなうパターンがよく見られます。

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うつ病のある方が仕事復帰する場合のまとめ

復職に対して不安感を抱いている場合は、仕事復帰の準備ができるリワークプログラムの利用を検討しましょう。

 

機関へ決まった時間に通うことは、生活リズムを整えることにも繋がります。

 

また、社会復帰した後にも治療はしっかりと続けることが大切です。

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あなたの「働きたい」をサポートする就労移行支援

無理のない働き方をサポート「LITALICOワークス」

 

「働きたい」という気持ちはあっても、うつ病からの復職や再就職に不安を感じる方も多いでしょう。

そのようなときに活用できる支援の一つに、「就労移行支援」があります。
就労移行支援とはうつ病をはじめとする障害のある方へ、就職に必要な知識やスキル向上のためのサポートをおこなう福祉機関のひとつです。

LITALICOワークスは、障害特性への理解があるスタッフが、一人ひとりの悩みや気持ちに寄り添い、それぞれに合った目標やペースで、就職までの道のりをサポートします。


「自分に合う仕事が分からない」「ブランクが長くあり働くことが不安」「仕事が長続きしない」など、就労に関するお悩みをぜひ、お気軽にご相談ください。

 

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参考文献・URL

更新日:2024/08/09 公開日:2021/12/21
  • 監修

    医学博士/精神科専門医/精神保健指定医/日本産業衛生学会指導医/労働衛生コンサルタント

    染村 宏法

    大手企業の専属産業医、大学病院での精神科勤務を経て、現在は精神科外来診療と複数企業の産業医活動を行っている。また北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場のコミュニケーション、認知行動療法、睡眠衛生に関する研究や教育に携わった。

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