Aさんは、大学生の頃双極性障害(双極症)を発症し、療養して症状が落ち着いた後にスポーツイベントのスタッフとして仕事を始めました。
イベントスタッフの仕事では夜中に会場設営をしてほとんど眠らずに朝からまた仕事をするなど、勤務時間が不規則でした。無理なスケジュールで働くことも多くあり、双極性障害(双極症)の症状が悪化したことがきっかけで退職しました。
今後の働き方に悩んだAさんは、どういった仕事が自分に向いているのかを知るために就労移行支援事業所「LITALICOワークス」を利用しました。
利用中は、双極性障害(双極症)の症状による「体調の波」を把握するために、スタッフとともにセルフモニタリングを実施。天気・体調・睡眠時間・その日の取り組んだことなどを毎日記録しました。
そこから天気に体調が左右されることや体調がいい日に行動し過ぎて後日疲れが出ていることなど、Aさんの体調の傾向を可視化できました。
また、ほかの利用者とのグループワークや企業インターンにも参加して、仕事をするうえで大事なポイントがいくつか見えてきました。
- 人と関わることは好きだけど、長時間になると疲れてしまう
- パソコンを使ったデスクワークが好きで、作業系よりも負担感が少ない。ただ、慣れないうちは過活動になる傾向がある
- 疲れると症状があらわれて体調の波が激しくなりがちである
- 仕事において、相談できる人が固定で決まっていると安心する など
これらの特性を踏まえて、自分でできる対処法と、双極性障害(双極症)のAさんへの合理的配慮として企業にお願いしたい配慮を整理しました。
自分でできる対処法
- その日の体調の記録を続け、体調変化のサインを感じたら「休日や平日の夜は予定をいれない」など調整する
合理的配慮
- 活動し過ぎを防止するため、時短勤務からスタートし、様子を見ながら勤務時間を伸ばす
- 仕事について相談できる人を固定する
- 体調の波や傾向を事前に共有し、体調に影響が出そうなときは業務量を調整する
その結果、アミューズメント施設の事務職に就職することができました。
最初は時短勤務(5時間)から開始し、最終的にフルタイム勤務となり、安定して働き続けています。