ADHD(注意欠如多動症)は、不注意、多動性、衝動性などの特性があり、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。特性のあらわれ方によって多動・衝動性の
傾向が強いタイプ、不注意の傾向が強いタイプ、多動・衝動性と不注意が混在しているタイプなど主に3つに分けられ、これらの症状が12歳になる前に出現します。
特性の多くは幼い子どもにみられる特徴と重なり、それらと区別することが難しいため、幼児期にADHDであると診断することは難しく、就学期以降に診断される
ことが多いといわれています。また、個人差はありますが、年齢と共に多動性が弱まるなど、特性のあらわれ方が成長に伴って変化することもあります。
なお、以前は「注意欠陥・多動性障害」という診断名でしたが、2022年(日本語版は2023年)発刊の『DSM-5-TR』では「注意欠如多動症」という診断名になりました。この記事ではADHD(注意欠如多動症)と記載しています。
「不注意」の特性では、一つのことに注意を向け続けることが困難で、すぐに気が散ってしまうという特徴があります。それにより、仕事に集中することが難しいなどの困りごとを感じる場面が多くなると考えられます。
「多動・衝動性」の特性では、じっとしているのが苦手で、思いついたことをすぐに行動に移すという特徴があります。この特徴により、静かな会議でじっとしていることができなかったり、相手が話している間に発言をしてしまったりという困りごとが考えられます。
発達障害のグレーゾーンの方もADHD(注意欠如多動症)の傾向がある場合は、上記で挙げたような困りごとが生じている方もいます。