精神障害者手帳発行の対象となるのは、「何らかの精神障害が理由で、長期にわたって日常生活や社会生活に制約が生じている方」です。
具体的には、下記のような精神障害が対象になります。
- 統合失調症
- 薬物依存症
- てんかん
- うつ病・双極性障害(双極症/躁うつ病)※1などの気分障害
- 発達障害
- 高次脳機能障害
- その他の精神疾患
発達障害の中には、「ASD(自閉スペクトラム症)※2」「アスペルガー症候群※3」「ADHD(注意欠如多動症)※4」「LD・SLD(限局性学習症)※5」などが含まれます。
また、そのほかの精神疾患とは、急性または慢性の心理社会的ストレスが主な原因となる「ストレス関連障害」などが該当します。
※1 双極性障害は現在、「双極症」という診断名となっていますが、最新版『DSM-5-TR』以前の診断名である「双極性障害/躁うつ病」といわれることが多くあるため、ここでは「双極性障害(双極症/躁うつ病)」と表記します。
※2 以前は「自閉障害」という診断名が用いられていましたが、アメリカ精神医学会発刊の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において自閉的特徴を持つ疾患が統合され、2022年(日本語版は2023年)発刊の『DSM-5-TR』では「自閉スペクトラム症」という診断名になりました。この記事では以下、ASD(自閉スペクトラム症)と記載しています。
※3 以前は、言葉や知的の発達に遅れがない場合「アスペルガー症候群」という名称が用いられていましたが、アメリカ精神医学会発刊の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において自閉的特徴を持つ疾患が統合され、2022年(日本語版は2023年)発刊の『DSM-5-TR』では「自閉スペクトラム症」という診断名になりました。
成人の方の中には、旧診断名の「アスペルガー症候群」で診断された方も多いため、本記事では「アスペルガー症候群」の名称を使用します。
※4 以前は「注意欠陥・多動性障害」という診断名でしたが、2022年(日本語版は2023年)発刊の『DSM-5-TR』では「注意欠如多動症」という診断名になりました。この記事では以下、ADHD(注意欠如多動症)と記載しています。
※5 学習障害は現在、「SLD(限局性学習症)」という診断名となっていますが、最新版DSM-5-TR以前の診断名である「LD(学習障害)」といわれることが多くあるため、ここでは「LD・SLD(限局性学習症)」と表記します。
<ワンポイント補足情報>
精神障害(発達障害など)と知的障害(知的発達症)※の両方がある方は、「精神障害者手帳」と「療育手帳」の両方の手帳を持つことが可能です。
※現在、『ICD-11』では「知的発達症」、『DSM-5』では「知的能力障害(知的発達症/知的発達障害)」と表記されていますが、知的障害者福祉法などの福祉的立場においては「知的障害」と使用していることが多いため、この記事では「知的障害(知的発達症)」という表記を用います。
精神障害者手帳は、その方の「精神疾患の状況」と、それに伴う「能力障害の状態」によって等級が分けられています。
障害により困難が多いほど、1級、2級、3級と分けられています。
詳しくは、次の章で解説します。