障害者総合支援法には、「障害のある方一人ひとりの特性や身体の状態に合わせた支援をおこなうこと」が定められています。
そして、必要な支援の度合いの目安となるのが「障害支援区分」です。
支援サービスの中には、障害支援区分の認定を受けていないと利用できないものもあります。
しかし「そもそも障害支援区分のことがよく分からない」「障害支援区分ってどうやって決まるの?」という方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は障害支援区分について、分かりやすく解説していきます。
障害者総合支援法には、「障害のある方一人ひとりの特性や身体の状態に合わせた支援をおこなうこと」が定められています。
そして、必要な支援の度合いの目安となるのが「障害支援区分」です。
支援サービスの中には、障害支援区分の認定を受けていないと利用できないものもあります。
しかし「そもそも障害支援区分のことがよく分からない」「障害支援区分ってどうやって決まるの?」という方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は障害支援区分について、分かりやすく解説していきます。
障害支援区分とは「障害のある方が必要とする支援の度合いを総合的に示すもの」です。
もともとは「障害程度区分」と呼ばれていましたが、課題を見直したうえで「障害支援区分」に改められ、2014年4月から施行されました。
障害者総合支援法とは、障害がある方の支援について定めた法律のことです。
もともと存在していた「障害者自立支援法」が改められ、2013年4月から施行されました。
障害者総合支援法の目的は?
障害者総合支援法を施行する目的は「障害のあるなしにかかわらず、皆が地域社会で分け隔てなく生活すること」です。
上記を実現させるために、障害福祉サービスの充実など、日常生活と社会生活を総合的に支援する制度について定めています。
また、障害者総合支援法は、3年ごとに改正される決まりです。
例えば、2021年の改正では、感染症の拡大を背景に、事業所の感染症対策やオンライン上で受けられる支援について定められました。
障害者総合支援法の対象者は?
障害者総合支援法の対象者は、下記にあてはまる方です。
障害者総合支援法で指定されている難病の種類については、厚生労働省の公式サイトから確認することができます。
障害支援区分は、1〜6段階に分けられています。
一番支援の度合いが低いのは1段目で、6段目に近づくにつれて高くなる仕組みです。
また、1〜6の区分ではなく、非該当と判定される場合もみられます。
受けられる支援の種類によっては、障害支援区分が非該当でも利用できたり、適用条件に「障害者支援区分の認定(例えば「3」以上の方が対処、など)」が定められていたりする場合があります。
障害支援区分が認定されるまでの流れは、次の項目でご紹介します。
障害支援区分の認定のためには、市町村の担当窓口(障害福祉課など)へ申請をして認定調査を受ける必要があります。
区分の認定は複数の要素(訪問調査や医師の意見書)から総合的に判定されます。
また、審査判定基準には「過去に申請した人の認定結果のデータ」なども含まれます。
上記のように、審査をする側へ向けたマニュアル(基準)はありますが、判定は総合的に決まるため、申請希望者が「この症状ならこの区分」と自己判断できるものではありません。
しかし、障害支援区分認定の流れや調査項目は明確になっているため、順番にご紹介します。
認定調査は、認定調査員による訪問調査や主治医の意見書などをもとにおこなわれます。
市町村の担当窓口に申請してから通知までの流れは下記をご覧ください。
上記の図のように、区分は一次判定と二次判定により認定されます。
まず、一次判定では、認定調査員による調査結果(80項目)と、医師の意見書の一部をもとにコンピューターによって判定されます。
次に、各市町村の審査会による二次判定がおこなわれます。
二次判定では、認定調査員による特記事項(特別に書き記した項目)などをもとにして、総合的に区分を判定します。
障害支援区分の認定調査項目は、下記に分かれています。
1.移動や動作等に関連する項目(12項目)
※1「じょくそう」とは、長期間の寝たきりなど、同じ体勢が続くことがきっかけとなり、皮膚の血流が滞ってしまう状態を差します。「床ずれ」と呼ばれることもあります。
※2「えん下」とは、口の中にある物を飲み下すことを差します。
2.身の回りの世話や日常生活等に関連する項目(16項目)
3.意思疎通等に関連する項目(6項目)
4.行動障害に関連する項目(34項目)
5.特別な医療に関連する項目(12項目)
障害支援区分認定の有効期間は、原則として3年と定められています。
有効期限後も福祉サービスを利用する場合は、再度認定調査を受けましょう。
最初の認定時と同様に、申請から区分認定までは約2ヶ月かかることもあります。
基本的には、期限が切れる前に自治体から連絡がありますが、更新時期が気になる場合は早めに問い合わせてみるのもよいでしょう。
この項目では、自立支援給付と障害支援区分の関係性についてご紹介します。
また、自立支援給付の概要や種類についても、合わせて見ていきましょう。
自立支援給付とは「障害のある方が利用する支援サービスの費用の一部を負担する制度」のことです。
申請できる支援サービスは複数あり、内容もさまざまです。
また、自立支援給付の中には「介護給付」のように障害支援区分によって受けられるサービスの内容が異なるものがあります。
自立支援給付には、大きく5つの種類があります。
それぞれ、どのような内容の給付であるのか、順番にご紹介します。
1.介護給付
介護給付は、身の回りの生活をサポートしてくれるサービスです。
種類としては下記が挙げられます。
また、障害支援区分によって、受けられる内容が異なっています。
例えば、介護給付の一つである「行動援護(自分で判断する能力に制限がある方の外出や移動の支援をする)」は、区分3以上の方が対象者です。
支援の内容と対象者の詳細は、厚生労働省の公式サイトをご覧ください。
2.訓練等給付
訓練等給付は、障害のある方が生活能力を向上させたり、維持したりするためのサービスです。
障害支援区分に関係なく利用できます。
例えば、一般企業で働くことに困難を感じている障害がある方へ向けて、働く場所を提供している「就労継続支援A型(B型)」などが挙げられます。
また、障害がある方の一人暮らしをサポートする「自立生活援助」などもあります。
3.自立支援医療
自立支援医療は、心身の障害や負担を軽くするためにかかる医療費を軽減する制度です。「更生医療」「育成医療」「精神通院医療」の3つに分かれています。
各内容の詳細と、対象者については、厚生労働省の公式サイトをご覧ください。
4.補装具支援制度
障害のある方の身体機能を補完、もしくは代替するための器具のことを補装具といいます。
例えば、車いすや義肢、補聴器などが挙げられます。
補装具支援制度は、補装具の購入にかかる費用の負担を軽くする制度です。
また、自己負担額の上限は世帯所得に応じて決まります。
5.相談支援
障害のある方の相談支援には「計画相談支援」や「地域相談支援」があります。
計画相談支援では、福祉サービスの申請をするときに提出する「サービス等利用計画案」の作成をおこないます。
また、障害のある方一人ひとりの特性に合わせて「自立した生活を送るにはどのような支援があるといいのか」考えていきます。
さらに「サービスが利用計画の通りに実行されたか?」や「本人にとって適切であったか?」などの見直しや修正もします。
一方、地域相談支援では、地域生活に特化したサポート(住居を探す、福祉サービスを体験利用する、外出に同行する、など)をおこないます。
障害のある方が利用できる支援や制度は多数あるため、必要に応じて利用してみるとよいでしょう。
障害者手帳は、身体障害や知的障害、精神障害があると認められた方へ交付されます。
「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があります。
障害者手帳を持っていると、障害者求人へ応募できたり、公共交通機関の料金が割引されたりと、さまざまな角度から支援やサービスを受けられます。
障害者求人とは、応募時にあらかじめ障害があることを伝えておく就職活動の方法です。
事業主は配慮が必要なことを想定しているため「理解のある職場で勤務しやすい」という利点があります。
障害者控除が適用されると、所得税の負担が軽くなります。
例えば、精神障害者保健福祉手帳(2級・3級)を取得している場合、所得金額から27万円が障害者控除として差し引かれます。
精神障害者保健福祉手帳(1級)の方は、区分が「特別障害者」となるため、40万円の控除額です。
上記のほか、相続税や住民税、自動車税などの税金負担も軽減されます。
就労移行支援とは、障害のある方の就職をサポートする福祉機関の一つです。
事業所によって支援内容はさまざまですが、例としては下記が挙げられます。
上記のほか、研修やセミナーを通して「メモをとるときのポイント」や「コミュニケーションの方法」など、幅広い知識を発信しているところもあります。
就労移行支援事業所「LITALICOワークス」は全国に120拠点以上あり、社会不安障害の方の就職を数多くサポートしてきました。その一人ひとりが望む働き方や状況などに合わせて自己分析、ストレスコントロールや体調管理、就職活動や適職探しなどのサポートを提供しています。
また、120拠点以上のネットワークを活かし多数の企業とも連携しています。そのため、企業インターンの機会も充実しています。採用前の不安を解消するために応募先の企業と連携して一定期間働く機会を作るといった働きかけもおこなうことがあります。
就職が決まった後も不安なことがある場合は、職場・本人・LITALICOワークスで面談を実施し、長く働くためのサポートをする定着支援もおこなっています。
もし働くことのお悩みがあれば、お気軽にLITALICOワークスまでご相談ください。一緒に自分らしく働ける方法を考えていきましょう。
障害のある方が福祉サービスを利用する場合には、障害支援認定区分が必要な場合があります。
また、障害支援区分は1〜6、もしくは非該当に分かれており、認定された区分によって受けられるサービスが異なります。
障害支援区分は、市町村の担当窓口へ申請し、調査の後に決定される流れです。
申請してからすぐに認定されるわけではないため、必要性を感じたら早めに手続きをおこないましょう。
もし働くことのお悩みがあれば、ぜひお気軽にLITALICOワークスまでお問い合わせください。お待ちしています。
関連ページ
障害者総合支援法とは?対象者やサービス、2021年の改正内容について解説します
障害者総合支援法とは、障害のある方の支援について定めた法律です。障害のある方が日常生活や社会生活で必要なサポートが受けられる障害福祉サービスなどが設けられています。 この記事では総合支援法の対 … [続きを読む]
障害福祉サービスとは?受給者証や対象者、利用の流れなどを解説
障害福祉サービスとは、障害のある方でサポートを必要としている方に対し、障害の程度や置かれている状況を踏まえて、必要な支援を提供するサービスのことです。 障害福祉サービスには、就労支援などの訓練 … [続きを読む]
自立訓練(生活訓練)とは?対象者やプログラム、利用者の声、事業所の種類など解説
「自立訓練(生活訓練)」という言葉を聞いたことがあるものの、実際はどういったところで何をするのだろうと疑問に思ったことありませんか? 自立訓練(生活訓練)とは、分かりやすくいうと、障害のある方 … [続きを読む]
障害者グループホームとは?
障害者グループホームとは、障害のある方が必要な支援やサポートを受けながら、共同生活をおこなうことができる住まいのことです。 今回は障害者グループホームについて、サービス内容や入居 … [続きを読む]
就労継続支援A型とは?対象者や給料、仕事内容、分かりやすく解説
就労継続支援A型とは、障害のある方と雇用契約を結んだうえで働く機会を提供する障害福祉サービスです。 この記事では、就労継続支援A型のサービスや仕事内容、給与、事業所選びのポイント … [続きを読む]
就労継続支援B型とは?B型事業所やA型との違い、工賃などを解説
「就労継続支援B型」とは、障害や難病のある人が利用できる障害福祉サービスのひとつです。障害や年齢、体力などの理由から、一般企業などで雇用契約を結んで働くことが難しい方に対して、就労の機会や生産 … [続きを読む]
就労継続支援とは?A型B型の違いや対象者などを分かりやすく解説
就労継続支援とは、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一つです。一般企業などで働くことが困難な場合に、障害や体調にあわせて自分のペースで働く準備をしたり、就労訓練を行ったりすることができ … [続きを読む]
就労移行支援事業所の見学とは?流れや服装、質問されることなど紹介
就労移行支援事業所とは、就職を目指す障害のある方が通いながら、各種プログラムや就職活動に取り組む事業所のことです。 就労移行支援は数ヶ月から2年の間で通うことになるため、実際に就 … [続きを読む]
就労移行支援の体験利用とは?メリットや体験の流れ、持ち物などを解説
就労移行支援の利用を考えている方の中には、体験利用した方がいいのか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。 就労移行支援事業所は全国で3,300ヶ所以上あり、それぞれの事業所ごと … [続きを読む]
就労移行支援の受給者証とは?申請手続きや期限、更新についても紹介
就労移行支援は、障害のある方が就職のために必要なスキル取得や就職活動に取り組む、通所型の事業所のことです。 就労移行支援を利用するには「受給者証」が必要となりますが、「障害者手帳 … [続きを読む]
就労移行支援は2回目の利用(再利用)ができる?条件や利用期間など解説
就労移行支援を一度利用した方の中で、「2回目の利用はできるのかな」「一生に一度と聞いたけど本当なのか」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか? 就労移行支援は利用回数が明 … [続きを読む]
就労移行支援利用時の生活費やお金がないときはどうする?事例など紹介
就職のために就労移行支援を利用したいと考えていても、「お金がないから利用が難しい」「貯金がもたないかもしれない」と不安や疑問がある方もいると思います。 就労移行支援の利用期間は人 … [続きを読む]
障害者雇用で働くとは?障害者雇用と一般雇用の違いやメリット、デメリットはあるのかを解説
障害者雇用で働くことを検討されている方には以下のようなお悩みを持たれている方も多いのではないでしょうか? 「障害者雇用と一般雇用のどちらを選べばいい?」 「そもそも障害者雇用と一 … [続きを読む]
特例子会社とは?給料や働くメリット・デメリット、求人についても解説
就職活動で求人を探しているときに特例子会社の求人を見かけ「特例子会社とは?」と疑問に思われる方もいるのではないでしょうか。 特例子会社とは、障害のある方の雇用を促進するためにつく … [続きを読む]
ハローワークの障害者求人とは?求人の探し方、障害者相談窓口の活用方法など解説
ハローワークは、就職について悩んでいる・困ったときに使える公共機関の一つです。 ハローワークと聞くと「求人探し」のイメージが連想されるかもしれませんが、実はそれだけではなく、就職 … [続きを読む]
職業訓練とは?給付金や受講できるコース、入学条件や手続きなど解説
職業訓練について「職業訓練は誰でも受けられる?」「毎月給付金をもらいながら無料で資格取得ができる?」「受講できるコースはどのようなものがある?」など、疑問を感じている方もいるかもしれません。 … [続きを読む]
障害者就業・生活支援センターとは?支援内容や利用方法などを解説
「働きたいけど、朝起きられるか心配…」「仕事を続けられるか不安…」などの悩みを感じたことはありませんか?そのような悩みがある方をサポートする「障害者就業・生活支援センター」というところがありま … [続きを読む]
精神科デイケアとは?|プログラムや目的・効果、利用者の体験談など紹介
主治医に精神科デイケアを勧められたが、精神科デイケアとは何をするところなのか、イメージがつきにくい方も多いのではないでしょうか。 この記事では、精神科デイケアの説明を始め、目的や … [続きを読む]
うつ病で仕事ができないと悩む方へ|対処法や適職探しのサポートなどを解説
「仕事には行けるが、やる気の出ない日が続いている」「仕事中に急につらくなって泣いてしまう」など、自分でもコントロールのできない症状に悩んでいませんか? 休日も仕事のことが頭から離 … [続きを読む]
双極性障害(双極症)の方が仕事を続けるポイントや適職の見つけ方を解説
自分でもコントロールできないほどの気分の波によって、仕事の成果にムラが出てしまったり、人間関係がうまくいかないことが多かったりする場合、その背景に双極性障害(双極症)の影響があるかもしれません … [続きを読む]
統合失調症|仕事でつらいと感じる場面や向いている仕事の探し方を紹介
統合失調症の症状によって、次のようなことで悩む方もいるのではないでしょうか。 「仕事が続かなくて悩んでいる」 「統合失調症の症状が出ているときは働かない方がいいのか」 「職場に迷 … [続きを読む]
社会不安障害|向いている仕事とは?仕事が続かないと悩む方へ
社会不安障害(※)とは、人と関わったり人に注目されたりする場面で強い不安や恐怖を感じる、不安障害の一種です。 社会不安障害の症状によって「仕事が続かない」「どのような仕事が向いて … [続きを読む]
大人の発達障害を相談できる窓口は?仕事の支援についても解説
大人の発達障害について相談できる窓口には「発達障害者支援センター」があります。また仕事については「障害者就業・生活支援センター」や「就労移行支援事業所」などがあります。 この記事 … [続きを読む]
発達障害のある方に向いている仕事とは?適職探しのポイントを解説
発達障害のある方が仕事をおこなう中で、以下のような困りごとを感じることが多いといわれています。 「あいまいな指示が多いと混乱し、スムーズに仕事ができない」 「急な予定変更があると … [続きを読む]