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お役立ち仕事コラム

障害支援区分とは?認定の基準や障害のある方が利用できる支援や制度を分かりやすく解説

更新日:2024/07/02

障害者総合支援法には、「障害のある方一人ひとりの特性や身体の状態に合わせた支援をおこなうこと」が定められています。

 

そして、必要な支援の度合いの目安となるのが「障害支援区分」です。

 

支援サービスの中には、障害支援区分の認定を受けていないと利用できないものもあります。

 

しかし「そもそも障害支援区分のことがよく分からない」「障害支援区分ってどうやって決まるの?」という方も多いのではないでしょうか。

 

そこで、今回は障害支援区分について、分かりやすく解説していきます。

障害支援区分とは

障害支援区分とは「障害のある方が必要とする支援の度合いを総合的に示すもの」です。

 

もともとは「障害程度区分」と呼ばれていましたが、課題を見直したうえで「障害支援区分」に改められ、2014年4月から施行されました。

障害者総合支援法とは?

障害者総合支援法とは、障害がある方の支援について定めた法律のことです。

 

もともと存在していた「障害者自立支援法」が改められ、2013年4月から施行されました。

 

障害者総合支援法の目的は?

障害者総合支援法を施行する目的は「障害のあるなしにかかわらず、皆が地域社会で分け隔てなく生活すること」です。

 

上記を実現させるために、障害福祉サービスの充実など、日常生活と社会生活を総合的に支援する制度について定めています。

 

また、障害者総合支援法は、3年ごとに改正される決まりです。

 

例えば、2021年の改正では、感染症の拡大を背景に、事業所の感染症対策やオンライン上で受けられる支援について定められました。

 

障害者総合支援法の対象者は?

障害者総合支援法の対象者は、下記にあてはまる方です。

  • 身体障害者(18歳以上)
  • 知的障害者(18歳以上)
  • 発達障害者を含む精神障害者(18歳以上)
  • 満18歳に満たない児童で、身体・知的・精神に障害のある方
  • 障害者総合支援法で指定されている難病患者(18歳以上)

障害者総合支援法で指定されている難病の種類については、厚生労働省の公式サイトから確認することができます。

障害支援区分は6段階に分けられる

障害支援区分は、1〜6段階に分けられています。

 

一番支援の度合いが低いのは1段目で、6段目に近づくにつれて高くなる仕組みです。

 

また、1〜6の区分ではなく、非該当と判定される場合もみられます。

 

受けられる支援の種類によっては、障害支援区分が非該当でも利用できたり、適用条件に「障害者支援区分の認定(例えば「3」以上の方が対処、など)」が定められていたりする場合があります。

 

障害支援区分が認定されるまでの流れは、次の項目でご紹介します。

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障害支援区分認定の流れとは?目安・基準はある?

障害支援区分の認定のためには、市町村の担当窓口(障害福祉課など)へ申請をして認定調査を受ける必要があります。

 

区分の認定は複数の要素(訪問調査や医師の意見書)から総合的に判定されます。

 

また、審査判定基準には「過去に申請した人の認定結果のデータ」なども含まれます。

 

上記のように、審査をする側へ向けたマニュアル(基準)はありますが、判定は総合的に決まるため、申請希望者が「この症状ならこの区分」と自己判断できるものではありません。

 

しかし、障害支援区分認定の流れや調査項目は明確になっているため、順番にご紹介します。

障害支援区分の認定手続き

認定調査は、認定調査員による訪問調査や主治医の意見書などをもとにおこなわれます。

 

市町村の担当窓口に申請してから通知までの流れは下記をご覧ください。

 

障害支援区分認定の流れとは?目安・基準はある?

 

上記の図のように、区分は一次判定と二次判定により認定されます。

 

まず、一次判定では、認定調査員による調査結果(80項目)と、医師の意見書の一部をもとにコンピューターによって判定されます。

 

次に、各市町村の審査会による二次判定がおこなわれます。

 

二次判定では、認定調査員による特記事項(特別に書き記した項目)などをもとにして、総合的に区分を判定します。

障害支援区分の認定調査項目

障害支援区分の認定調査項目は、下記に分かれています。

  1. 移動や動作等に関連する項目(12項目)
  2. 身の回りの世話や日常生活等に関連する項目(16項目)
  3. 意思疎通等に関連する項目(6項目)
  4. 行動障害に関連する項目(34項目)
  5. 特別な医療に関連する項目(12項目)

1.移動や動作等に関連する項目(12項目)

  1. 寝返り
  2. 起き上がり
  3. 座位保持
  4. 移乗
  5. 立ち上がり
  6. 両足での立位保持
  7. 片足での立位保持
  8. 歩行
  9. 移動
  10.  衣類の着脱
  11.  じょくそう(※1)
  12.  えん下(※2)

※1「じょくそう」とは、長期間の寝たきりなど、同じ体勢が続くことがきっかけとなり、皮膚の血流が滞ってしまう状態を差します。「床ずれ」と呼ばれることもあります。

 

※2「えん下」とは、口の中にある物を飲み下すことを差します。

 

2.身の回りの世話や日常生活等に関連する項目(16項目)

  1. 食事
  2. 口腔清潔
  3. 入浴
  4. 排尿
  5. 排便
  6. 健康・衛生管理
  7. 薬の管理
  8. 金銭の管理
  9. 電話等の利用
  10.  日常の意思決定
  11.  危機の認識
  12.  調理
  13.  掃除
  14.  洗濯
  15.  買い物
  16.  交通手段の利用

3.意思疎通等に関連する項目(6項目)

  1. 視力
  2. 聴力
  3. コミュニケーション
  4. 説明の理解
  5. 読み書き
  6. 感覚過敏・感覚鈍麻

4.行動障害に関連する項目(34項目)

  1. 被害的・拒否的
  2. 作話
  3. 感情が不安定
  4. 昼夜逆転
  5. 暴言暴行
  6. 同じ話をする
  7. 大声・奇声を出す
  8. 支援の拒否
  9. 徘徊
  10.  落ち着きがない
  11.  外出して戻れない
  12.  1人で出たがる
  13.  収集癖
  14.  物や衣類を壊す
  15.  不潔行為
  16.  異食行為
  17.  ひどい物忘れ
  18.  こだわり
  19.  多動・行動停止
  20.  不安定な行動
  21.  自らを傷つける行為
  22.  他人を傷つける行為
  23.  不適切な行為
  24.  突発的な行動
  25.  過食・反すう等
  26.  そう鬱状態
  27.  反復的行動
  28.  対人面の不安緊張
  29.  意欲が乏しい
  30.  話がまとまらない
  31.  集中力が続かない
  32.  自己の過大評価
  33.  集団への不適応
  34.  多飲水・過飲水

5.特別な医療に関連する項目(12項目)

  1. 点滴の管理
  2. 中心静脈栄養
  3. 透析
  4. ストーマの処置
  5. 酸素療法
  6. レスピレーター
  7. 気管切開の処置
  8. 疼痛の看護
  9. 経管栄養
  10.  モニター測定(血圧、心拍、酸素飽和度等)
  11.  じょくそうの処置
  12.  カテーテル

障害支援区分認定の有効期間はどれくらい?

障害支援区分認定の有効期間は、原則として3年と定められています。

 

有効期限後も福祉サービスを利用する場合は、再度認定調査を受けましょう。

 

最初の認定時と同様に、申請から区分認定までは約2ヶ月かかることもあります。

 

基本的には、期限が切れる前に自治体から連絡がありますが、更新時期が気になる場合は早めに問い合わせてみるのもよいでしょう。

障害支援区分と自立支援給付

この項目では、自立支援給付と障害支援区分の関係性についてご紹介します。

 

また、自立支援給付の概要や種類についても、合わせて見ていきましょう。

自立支援給付とは?

自立支援給付とは「障害のある方が利用する支援サービスの費用の一部を負担する制度」のことです。

 

申請できる支援サービスは複数あり、内容もさまざまです。

 

また、自立支援給付の中には「介護給付」のように障害支援区分によって受けられるサービスの内容が異なるものがあります。

自立支援給付の種類と内容

自立支援給付には、大きく5つの種類があります。

 

それぞれ、どのような内容の給付であるのか、順番にご紹介します。

 

1.介護給付

介護給付は、身の回りの生活をサポートしてくれるサービスです。

 

種類としては下記が挙げられます。

  • 住宅介護
  • 重度訪問介護
  • 同行援護
  • 行動援護
  • 短期入所(ショートステイ)
  • 療養介護
  • 生活介護

また、障害支援区分によって、受けられる内容が異なっています。

 

例えば、介護給付の一つである「行動援護(自分で判断する能力に制限がある方の外出や移動の支援をする)」は、区分3以上の方が対象者です。

 

支援の内容と対象者の詳細は、厚生労働省の公式サイトをご覧ください。

2.訓練等給付

訓練等給付は、障害のある方が生活能力を向上させたり、維持したりするためのサービスです。

 

障害支援区分に関係なく利用できます。

 

例えば、一般企業で働くことに困難を感じている障害がある方へ向けて、働く場所を提供している「就労継続支援A型(B型)」などが挙げられます。

 

また、障害がある方の一人暮らしをサポートする「自立生活援助」などもあります。

3.自立支援医療

自立支援医療は、心身の障害や負担を軽くするためにかかる医療費を軽減する制度です。「更生医療」「育成医療」「精神通院医療」の3つに分かれています。

 

各内容の詳細と、対象者については、厚生労働省の公式サイトをご覧ください。

4.補装具支援制度

障害のある方の身体機能を補完、もしくは代替するための器具のことを補装具といいます。

 

例えば、車いすや義肢、補聴器などが挙げられます。

 

補装具支援制度は、補装具の購入にかかる費用の負担を軽くする制度です。

 

また、自己負担額の上限は世帯所得に応じて決まります。

 

5.相談支援

障害のある方の相談支援には「計画相談支援」や「地域相談支援」があります。

 

計画相談支援では、福祉サービスの申請をするときに提出する「サービス等利用計画案」の作成をおこないます。

 

また、障害のある方一人ひとりの特性に合わせて「自立した生活を送るにはどのような支援があるといいのか」考えていきます。

 

さらに「サービスが利用計画の通りに実行されたか?」や「本人にとって適切であったか?」などの見直しや修正もします。

 

一方、地域相談支援では、地域生活に特化したサポート(住居を探す、福祉サービスを体験利用する、外出に同行する、など)をおこないます。

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障害のある方が利用できる支援や制度

障害のある方が利用できる支援や制度は多数あるため、必要に応じて利用してみるとよいでしょう。

障害者手帳

障害者手帳は、身体障害や知的障害、精神障害があると認められた方へ交付されます。

 

「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があります。

 

障害者手帳を持っていると、障害者求人へ応募できたり、公共交通機関の料金が割引されたりと、さまざまな角度から支援やサービスを受けられます。

 

障害者求人とは、応募時にあらかじめ障害があることを伝えておく就職活動の方法です。

事業主は配慮が必要なことを想定しているため「理解のある職場で勤務しやすい」という利点があります。

障害者控除

障害者控除が適用されると、所得税の負担が軽くなります。

 

例えば、精神障害者保健福祉手帳(2級・3級)を取得している場合、所得金額から27万円が障害者控除として差し引かれます。

 

精神障害者保健福祉手帳(1級)の方は、区分が「特別障害者」となるため、40万円の控除額です。

 

上記のほか、相続税や住民税、自動車税などの税金負担も軽減されます。

就労移行支援

就労移行支援とは、障害のある方の就職をサポートする福祉機関の一つです。

 

事業所によって支援内容はさまざまですが、例としては下記が挙げられます。

  • 一般企業への就職に向けた研修(仕事上のマナーやパソコンスキルなど)
  • セミナーの開催(自分の強みを知る方法や怒りのコントロール方法など)
  • 利用者の得意分野が活かせる仕事探しのお手伝い
  • お仕事に就いた後のフォロー(面談) など

上記のほか、研修やセミナーを通して「メモをとるときのポイント」や「コミュニケーションの方法」など、幅広い知識を発信しているところもあります。

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就労移行支援事業所「LITALICOワークス」

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就労移行支援事業所「LITALICOワークス」は全国に120拠点以上あり、社会不安障害の方の就職を数多くサポートしてきました。その一人ひとりが望む働き方や状況などに合わせて自己分析、ストレスコントロールや体調管理、就職活動や適職探しなどのサポートを提供しています。

 

また、120拠点以上のネットワークを活かし多数の企業とも連携しています。そのため、企業インターンの機会も充実しています。採用前の不安を解消するために応募先の企業と連携して一定期間働く機会を作るといった働きかけもおこなうことがあります。

 

就職が決まった後も不安なことがある場合は、職場・本人・LITALICOワークスで面談を実施し、長く働くためのサポートをする定着支援もおこなっています。

 

もし働くことのお悩みがあれば、お気軽にLITALICOワークスまでご相談ください。一緒に自分らしく働ける方法を考えていきましょう。

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障害支援区分のまとめ

障害のある方が福祉サービスを利用する場合には、障害支援認定区分が必要な場合があります。

 

また、障害支援区分は1〜6、もしくは非該当に分かれており、認定された区分によって受けられるサービスが異なります。

 

障害支援区分は、市町村の担当窓口へ申請し、調査の後に決定される流れです。

 

申請してからすぐに認定されるわけではないため、必要性を感じたら早めに手続きをおこないましょう。

 

もし働くことのお悩みがあれば、ぜひお気軽にLITALICOワークスまでお問い合わせください。お待ちしています。

更新日:2024/07/02 公開日:2022/04/14

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