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お役立ち仕事コラム

不安障害|仕事が怖い時や続かないときの対処法は?

更新日:2024/06/29

不安障害とはなんらかのきっかけで過度に不安が高まり、社会生活に大きな影響が出ることのある疾患です。

 

不安障害の症状によって仕事では「動悸が止まらない」「人と会うのが急に怖くなる」「仕事中は常に不安や緊張を感じている」などの困りごとを感じることがあります。

 

不安障害の症状とともに安定して働くためには、自分がどういうときに症状が表れるのかを把握し、対処法を身につけることが大切です。

 

本記事では、不安障害の種類や仕事で困りやすい場面、仕事を続けるための対処法、向いている仕事を探すポイントなどを紹介します。

不安障害とは?どのような種類がある?

人前で発表するときなど緊張しやすい場面において、多くの方が不安を感じることがあります。しかし、その不安が非常に強く、社会生活に影響が出ている場合は不安障害の可能性があります。

 

不安障害にはさまざまな種類がありますが、そのうちの代表的な4つについて紹介します。

社交不安障害(社会不安障害)

社交不安障害とは、人と関わったり人に注目されたりする場面において、不安や恐怖が過度にあり、社会生活に影響を及ぼす不安障害の一種です。そのような場面を回避したり強い不安や恐怖を我慢したりします。不安や恐怖のあまりにパニック発作を起こす場合もあります。

パニック障害

パニック障害は、突然激しい恐怖や不安におそわれて、激しい動悸やめまい、呼吸困難などのパニック発作を繰り返す不安障害のことです。

 

パニック障害になると「またパニック発作が起きるのでは」と心配になる「予期不安」やパニック発作のきっかけとなりえる状況を避けたりするようになります。

全般性不安障害(全般不安症)

全般性不安障害(全般不安症)は、さまざまなことに過剰な不安や心配を感じる状態が続く不安障害の一種です。常に安心できない状態のため、イライラしやすかったり集中することが難しくなったりする症状がみられます。

強迫性障害(強迫症)

強迫性障害(強迫症)とは、「強迫観念」と「強迫行為」のいずれか、または両方がみられる不安障害です。

 

「強迫観念」とは、「手がひどく汚れている気がする」「鍵を閉めたか不安になる」など、ある特定の対象物に対する不安や恐怖のことをいいます。

 

「強迫行為」とは、その強迫観念を打ち消すために繰り返す行動のことです。例えば、「1日に何回も手を洗う」「何回も自宅に戻って鍵を閉めたかどうかを確認する」などがあります。

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不安障害の方が仕事で不安や怖さを感じる場面

不安障害の方は、「突然パニックになる」「人と会うのが怖くなる」「常に緊張や不安がある」など仕事で困難さを感じる場面が多くなります。

 

どのようなときに不安を感じるかは人によって異なりますが、ここでは、不安障害の方が仕事で不安や怖さを感じやすい場面として考えられるものを紹介します。

人前で話すことへの不安・緊張

人と関わる場面において、強い不安や緊張を感じやすいといわれています。

 

例えば、会議など人前で話す場面では急な不安や緊張におそわれたり、取引先で初めての方と会うときに動悸が止まらなかったりする場合があります。

仕事のミスが怖くなる

不安障害の方は仕事でミスをした場合に周囲からどう思われるかが怖くなりその恐怖感によってケアレスミスを起こしたり、言葉につまったり、集中できなかったりするなどの状況になることがあります。

 

仕事のミスを恐れるあまりに何度も確認を繰り返すことで、結果として納品日に間に合わなくなるといったことも考えられます。

 

また、同僚がいる前で電話対応をすることに過度の緊張をしたり、電話相手に失礼にならないように意識したりすると、不安な気持ちが高まる場合もあります。

人に会うのが怖くなる

不安障害の方は人前で話すだけではなく、人に見られたり人と会ったりすることも怖くなる方もいます。

 

また、以前の失敗を思い返して、急に人に会うことが怖くなったり、電車など人が多くいる空間に怖くて行けなくなったりすることもあります。

満員電車や移動するのが怖くなる

不安障害の方は、満員電車やエレベーターなどの密閉空間や新幹線・高速道路などでの移動が怖くなることがあります。

 

そのため、通勤したり出張したりすることが困難になる場合があります。

不安障害の方が仕事を続けるための対処法

前の章で紹介したように、不安障害の方は仕事における不安や恐怖が過度に高まり、その不安や恐怖によって、動悸や息苦しさなど身体面にも症状が表れることがあります。そうした症状によって、仕事に困難が生じる場合があります。

 

しかし、職場で急に不安感などにおそわれたときの対処法を身につけるなどのポイントを押さえておくことで、不安障害の症状とうまく付き合いながら働き続けることも可能です。

 

ここでは、仕事を続けるための対処法について5つ紹介します。

治療を受ける

まずは、病院を受診し不安障害の治療を受けることが大事です。不安障害の方は、精神科(メンタルクリニック)や心療内科などで治療を受けられます。

 

不安障害では、主に「薬物療法」と「精神療法(心理療法)」という治療方法が用いられます。

 

薬物療法では、個人の症状に合わせて抗うつ薬や抗不安薬を使いながら症状を緩和させたり、不眠などの症状が出ている場合は睡眠薬を用いたりするなどの治療をおこないます。

 

精神療法は、カウンセリングなどを通じて心に働きかける治療法のことです。精神療法には認知行動療法などが用いられます。

 

認知行動療法は、物事の受け取り方を修正していく治療法のことです。不安障害の場合は不安を引き起こしたり増幅させる考え方や行動を調整し自身で不安をコントロールできるようになることを目的として実施されます。認知行動療法も症状によって進め方は異なります。

業務内容や配置変更を相談する

不安障害の方が働きやすくするために、合理的配慮(※)として職場に業務内容や配置変更・業務量の調整を相談する方法があります。

 

(※)合理的配慮とは、障害のある方が働くうえで支障となるものに対して、事業主が過重な負担にならない範囲で配慮を提供することです。障害者雇用促進法によって事業主による従業員に対しての合理的配慮の提供義務が定められています。

 

合理的配慮の例として以下のようなものがあります。

  • 人前での発表や電話対応などの業務を避け、ほかの業務に変更する
  • 社外や他部署との調整業務が少ない部署へ配置転換する
  • 出勤時間の変更や在宅勤務への切り替え など

このように不安の元となっているものを調整し、不安障害の症状が出やすい場面を減らす方法があります。

 

合理的配慮については、職場の上司や人事の担当者などに相談してみましょう。

生活習慣を改善する

ストレスを感じると不安が高まることがあるといわれています。そこで、ストレスとうまく付き合うためにさまざまな方法がありますが、そのうちのひとつで比較的取り組みやすいものに、生活習慣を改善する方法があります。

 

そのためにできる具体的な方法としては、

  • 毎日決まった時間に起床する
  • 起床したら太陽の光を浴びる
  • 寝る前にぬるめのお湯にゆっくりつかる
  • 夕食後や就寝前の飲酒・カフェインを控える
  • 音や光などの刺激が少ない状況で就寝する

といったポイントを意識することが挙げられます。

 

その中でできることから生活の中に徐々に取り入れてみましょう。

不安への対処法を身につける

仕事中に急に不安におそわれたときやパニックになりそうなときに、心を落ち着かせる方法を身につけておくことも有効です。

 

職場でできる対処法としては、

  • 深呼吸をする
  • 今の気持ちを紙に書き出す
  • ストレッチをする
  • 好きな香りやリラックスできる香りのアロマを嗅ぐ
  • 筋弛緩法

などがあります。

 

深呼吸では、まず椅子に座った状態で姿勢を整え、目をつぶってお腹を手に当てます。数を3秒数えながらゆっくり口から息を吐きだし、次にゆっくりと鼻から息を3秒かけて吸っていきます。呼吸をしながらお腹がへこむのと膨らむのを感じながらおこなうといいでしょう。この呼吸は腹式呼吸といい、5分~10分繰り返すと心が落ち着いてくるといわれています。

 

また、椅子に座ったまま簡単なストレッチをすることや、不安に感じていることを紙に書き出すことも心を落ち着ける効果があるとされています。職場の状況を考慮しながらできることから取り入れてみるといいでしょう。

休職する方法もある

さまざまな方法を試しても不安感が治まらない場合は、一度仕事を休んで治療に専念することも選択肢のうちの一つです。

 

不安が強い状況で働き続けると、仕事のパフォーマンスが低下したり、症状が悪化したりする可能性もあります。今後も長く働き続けることを考えて、一旦休職するという選択肢も視野に入れておくといいでしょう。

 

なお、休職は法律で定められた制度ではないため、会社ごとに休職制度の有無や内容などが異なります。休職を検討している場合、就業規則や人事の担当者などに確認してみるといいでしょう。

 

また、休職中の経済面に不安がある場合は、経済的支援制度を活用するといいでしょう。経済的支援制度には、不安障害の症状改善のために通院する際の医療費を軽減する「自立支援医療制度」や、休職中に給与が支払われないなど一定の条件を満たすと支給される「傷病手当金」などがあります。

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不安障害の方が向いている仕事を探すときのポイント

前提として、「向いている仕事」や「適職」を探すうえで大切にしたいものはそれぞれ違います。

 

「不安障害の症状による困りごとが少なくなるような職場」、「自分が楽しく取り組める職場」、「体調優先で働ける職場」など、ひとそれぞれ働きたいという職場は異なるでしょう。そして1つだけではなく、それらの中に大切にしたいものがいくつもある方もいます。そのため「この仕事が不安障害の方に向いている」といったような仕事があるわけではありません。

 

本記事では、自分が無理なく働けるようにするためのポイントを中心に解説します。仕事探しをするうえでの一つとして参考にしてください。

1.主治医と相談する

主治医と相談しながら就職活動を進めるようにしましょう。不安障害の症状が改善しない状態で就職したとしても、再就職先で同じような症状が出ることも考えられます。

 

そのため、主治医に就職したい旨を伝えたうえで就職活動をはじめるようにしましょう。また、主治医に相談する際は、自分では気づきにくい症状の傾向やどのような環境で働くのが良さそうかなどのアドバイスも聞いておくといいでしょう。

2.自己分析をして向いている仕事を探す

不安障害の方が自分に向いている仕事を探す際には、まずその前に自己分析をおこなうことが大切です。

 

自己分析では、ご自身の強みや興味を持てることといった一般的な自己分析に加え、不安や恐怖を感じやすい傾向について整理してみましょう。そのうえで対処法や合理的配慮の内容を検討し、なるべく不安障害の症状による影響が出にくい職場を探すとよいでしょう。

3.支援機関を活用する

自分に向いている仕事を探すために、支援機関を活用する方法もあります。

 

支援機関を活用することで専門員に仕事の相談ができたり、ストレス対処法を身につけるためのプログラムの受講ができたりと、働くためのさまざまなサポートが受けられます。ここでは3つの支援機関を挙げて紹介します。

 

ハローワーク

ハローワークは仕事探しをサポートする公的機関で、不安障害など障害のある方に向けた相談窓口(専門援助部門など)が設置されています。

 

相談窓口では障害に関する知識があるスタッフに就職相談ができます。また求人の紹介、応募書類添削や模擬面接、就職後のサポートなど一貫した支援をおこなっています。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、不安障害など障害のある方へ生活面と仕事面の両面においてサポートを提供しています。働くことに関しては、就職相談から職場実習の斡旋、就職活動のサポートなどをおこなっています。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所とは、一般企業などへの就職を目指す障害のある方の求職から就職、職場定着までの一連の過程をサポートする事業所です。また、就労定着支援として長く働き続けるためのサポートを最長3年にわたっておこなっています。

 

利用者は就労移行支援事業所に通い、以下のようなサポートを受けられます。

  • 自己分析や障害理解などのプログラムやワークショップの受講
  • 実際の職場で一定期間働く企業インターンへの参加
  • 面接や履歴書対策などの就職活動のサポート など

障害者手帳がなくても、自治体の判断により認められた場合、就労移行支援事業所の利用が可能になります。

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就労移行支援事業所「LITALICOワークス」

 

就労移行支援事業所「LITALICOワークス」はこれまで1万3千人以上の方の就職をサポートしてきました。一人ひとりが望む働き方や状況などに合わせ、そのひとりに合わせたサポートをおこなっています。

 

例えば、以下のようなものがあります。

  • スタッフとの面談やプログラムを通して自分の症状について理解を深める
  • ストレス対処法を学び、スタッフと一緒に実践しながら、ストレスコントロールができるようにする
  • 企業インターンを一定期間おこない、自分に合う職場環境を整理する
  • 就職した後、本人の不安があるときは企業とLITALICOワークスで3者面談を実施し、解決方法を一緒に考える など

「不安が強くて仕事が続かない」「人前で話すのが怖くて仕事をするのが不安」「向いている仕事が分からない」などのお悩みがある方は、ぜひLITALICOワークスで相談してみませんか?

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【事例】不安障害の方が無理なく自分らしく働くまで

ここでは、不安障害のある方がLITALICOワークスを利用して無理なく働ける職場を見つけた事例を紹介します。

 

Iさんは大学時代、人前で発表する機会が多くあったものの、そうした場面に苦手意識がありました。発表するときは汗が止まらず言葉が震え、うまく発表できなかったことも多かったといいます。そのことがきっかけとなり、大学に行けなくなり、自宅に引きこもるようになりました。

 

その後、精神科を受診したところ、「社交不安障害」と診断されました。診断後Iさんは精神科デイケアで認知行動療法などのプログラムを受け、自分の症状と向き合うことができました。

 

精神科デイケアに2年ほど通ったあとにスタッフから「そろそろ本格的に社会復帰を目指しては?」と言われ、今度は就労移行支援事業所「LITALICOワークス」の利用を開始しました。

 

Iさんはこれまでの職歴がなく、働くイメージがわかなかったため、就労移行支援事業所「LITALICOワークス」では自分に合う仕事をスタッフと一緒に整理しました。自己分析やワークショップなどを通じて、事務職が自分にあっているのではないかと考えるようになりました。事務職とひとことで言ってもさまざまな業務があり、また職場環境もさまざまです。職歴のないIさんは、複数の企業へのインターンシップを通してさまざまな業務に取り組みました。その中でIさんは「電話対応」について、緊張が強く出るため対応が難しいと気づくことができました。

 

そこで就職活動では電話対応が苦手なことをあらかじめ伝えました。また就職前に、その企業でも実際にインターンシップで働いてみるという工程を経て、実際にIさんが働くうえで支障がないかどうかを確認しました。

 

その結果、本人はここなら働けると感じ、企業側もIさんは活躍できる人材だと感じたようで、電話対応がない職場へ見事就職を果たしました。

 

Iさんは就職後も就労定着支援のサポートを継続して受けており、定期的に就労移行支援事業所のスタッフと面談をおこない、Iさんらしく仕事を続けることができています。

不安障害のまとめ

不安障害は、さまざまな場面において不安が強く表れることで、社会生活を送るうえでの困難が生じる疾患のことです。不安障害にはさまざまな種類があります。

 

不安障害の方が仕事を続けたり自分に向いている仕事を見つけたりするためには、強みや興味を持てることといった自己分析することはもちろん、不安や恐怖を感じやすい傾向についても整理するといいでしょう。そのうえで自己対処や周囲のサポート、そしてなるべく不安障害の症状による影響が出にくい職場を探すとよいでしょう。

 

就職活動を一人で進める方法だけではなく、不安障害の方が利用できる支援機関を活用する方法もあります。一人で悩みを抱え込まず、ぜひ支援機関にも相談してみてください。

 

LITALICOワークスではいつでも無料で相談を受け付けています。仕事における悩みや不安のある方はぜひ一度お問い合わせください。

更新日:2024/06/29 公開日:2020/07/06
  • 監修者

    監修者 医学博士/精神科専門医/精神保健指定医/日本産業衛生学会指導医/労働衛生コンサルタント

    染村 宏法

    大手企業の専属産業医、大学病院での精神科勤務を経て、現在は精神科外来診療と複数企業の産業医活動を行っている。また北里大学大学院産業精神保健学教室において、職場のコミュニケーション、認知行動療法、睡眠衛生に関する研究や教育に携わった。

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