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お役立ち仕事コラム

大人のアスペルガー症候群|特徴・診断、治療、仕事の工夫などご紹介

このようなお悩みはありませんか?

 

・仕事でコミュニケーションがうまくいかない

・相手の説明が理解できない

・急な予定があるとパニックになってしまう など

 

そのお悩みは、もしかしたら「アスペルガー症候群」に関連しているかもしれません。

 

アスペルガー症候群は「コミュニケーションが苦手で、対人関係を築くことが難しい」「こだわりがあり、柔軟に対応することが苦手」を特徴とした、発達障害のひとつです。

 

本記事では、アスペルガー症候群の特徴・診断、治療や仕事の工夫など詳しくご紹介します。

 

※現在は『DSM-5』の診断基準により「自閉スペクトラム症」に含まれますが、この記事ではアスペルガー症候群として取り上げます。

アスペルガー症候群とは?

● アスペルガー症候群の定義

「アスペルガー症候群」とは以前の診断名(ICD-10における診断名。DSM-Ⅳ-TRでは「アスペルガー障害」と表記)で、現在は自閉スペクトラム症(DSM-5)に含まれる障害です。主に以下のような特徴があります。

  • コミュニケーション 及び 対人関係における障害
    他人との適切なコミュニケーションを取ることが苦手、対人関係を築くことが難しい
  • 反復的な行動、興味・同一性へのこだわり
    特定の対象への強い没頭・反復的な行動や同一性へのこだわりがあり、柔軟に対応することが難しい

 

● ASD(自閉スペクトラム症)について

「アスペルガー症候群」という診断名は「広汎性発達障害(PDD)」の中の一つとして位置づけられていましたが、DSM-5に改訂後「アスペルガー症候群」「自閉症」「特定不能の広汎性発達障害」をまとめて「ASD(自閉スペクトラム症)」と総称することになりました。それに伴い「レット障害」「小児期崩壊性障害」は除外されています。

大人のアスペルガーの概要

その背景は「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」においては、共通の特性が見られることから集合体(スペクトラム)として考えるようになったことにあります。

同じ自閉スペクトラム症でも、特性の中身はそれぞれ違います。その人の特性を理解した上、その人に合わせた治療・支援をしていこうということで「ASD(自閉スペクトラム症)」に総称されています。

 

上記の通り「アスペルガー症候群」と「ASD(自閉スペクトラム症)」はほぼ同義となることから、本記事では「ASD(自閉スペクトラム症)」の診断基準を基に、「アスペルガー症候群」という表記を用いて解説していきます。

● 大人になってから初めて診断される「アスペルガー症候群」

アスペルガー症候群は、知的障害を伴わない発達障害です。

 

子どものころや学生時代では、生活においての問題や困りごとが目立ちにくいために受診に至らないまま過ごす場合があります。

しかし、大人になり仕事を始めると、人との多様な関わり方や臨機応変な対応などが求められることが多くなり、その場に合わせたコミュニケーションが難しく、対人関係の困りごとが出やすくなってしまいます。

そのような出来事をきっかけに、病院で受診される方もいます。

アスペルガー症候群に見られる特徴とは?

アスペルガー症候群の主な特徴は「コミュニケーション 及び 対人関係における障害」と「反復的な行動、興味・同一性へのこだわり」の2つが挙げられます。

では、具体的にどのような特徴があるか、アスペルガー症候群における特徴の一例をご紹介します。

● コミュニケーション 及び 対人関係における障害

  • 相手の気持ちや意図を想像するのが苦手
  • その場の雰囲気に沿った発言や、空気を読むことが難しい
  • 曖昧な説明や指示を理解することが苦手
  • 非言語コミュニケーション(視線、身振り・表情など)の理解が難しい
  • 相手の発言をそのまま受け取ってしまう(冗談なのか区別しにくい)
  • 人の話に共感しにくいことが多い
  • 他人への興味が薄く、一人で過ごすのが好き など

● 反復性の行動と興味、同一性へのこだわり

  • 決められた手順やルールにこだわ
  • 急な変更や予定外があるとパニックになってしまう
  • 臨機応変な対応が苦手
  • 特定の対象への強い没頭
  • 感覚過敏 もしくは 鈍感
  • 同じような動作を繰り返す
  • 興味のないものは関心が持ちにくい など

● アスペルガー症候群の併存症

アスペルガー症候群以外の症状と併存することがあります。

 

例えばADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)など併存する場合があります。
また精神疾患であるうつ病や不安症が併存することもあります。

 

【例】

  • ADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害
  • LD(学習障害)
  • てんかん
  • うつ病 など

アスペルガー症候群の二次障害

対人関係における困りごとが続くことにより、外界との接触が怖がるようになり、その影響で不登校や引きこもりなどの二次障害が発症する場合があります。

 

そのため、二次障害を防ぐために、現在の困りごとを早期に解決することが大切です。

アスペルガー症候群の原因・診断・治療

● 原因

アスペルガー症候群は、器質的な脳機能障害とされていますが、まだその原因が解明されていません。少なくとも親の育て方や本人の性格が原因ではないことは分かっています。

● 診断

基本的に面談・検査を中心に進めていきます。

アメリカ精神医学会の『DSM-Ⅳ-TR』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第4版)などの診断基準をもとに、生育歴・家族・周りの環境、現在の困りごとなどの情報を統合して、診断をしていきます。※現在は『DSM-5』の診断基準により「自閉スペクトラム症」となります。

 

アスペルガー症候群は発達期から見られるため、子どものころの様子についても確認する必要があります。そのため、診断を受ける際は、現在の困りごとだけではなく、小さいころの様子が分かるもの(母子手帳や保育ノート、通知表など)もあわせて準備できると良いでしょう。

● 治療

アスペルガー症候群そのものを完治する治療法はなく、アスペルガー症候群の特性によって生じる、困りごとを少しでも軽減させるようにします。

カウンセリングなど通じて、自分の特性に対する理解や自分にあった対処法、環境調整などを中心に行うことが多いです。

※生活に支障をきたしている場合には、薬物治療が検討されることもあります。

アスペルガー症候群かもと思ったときは?

アスペルガー症候群かもと思ったとき、この先の不安や戸惑いを感じるかもしれません。

 

しかし、アスペルガー症候群における困りごとは対処法や環境調整によって解決できることもあります。自分の特性を理解すること、それから自分にあう環境を調整することで、より自分らしく生きるための大切な要素となります。

 

ここでは、アスペルガー症候群との付き合い方におけるポイントを見ていきましょう。

 

● 困りごとは特性と環境の相互作用によって起きる

アスペルガー症候群における困りごとは、「本人の特性」と「環境」の相互作用によって起きています。

 

本人の特性に合わない環境では、不適応が起きやすくなり、生きづらさを感じやすくなりますが、一方で本人の特性に合う環境に身をおくと、不適応の部分が小さくなり、生きやすさにもつながってきます。

 

例えば「決められた手順にこだわる」という特性があったとします。その環境が「柔軟に対応が求められる仕事」の場合、急な変更が起きる度、困りごとがおきるかもしれません。一方で「マニュアルがある仕事」であれば、安心して仕事に取り組みやすくなる可能性が上がります。

 

つまり、同じアスペルガー症候群の特性を持ったとしても、環境によって困りごとが大きくなってしまう場合もあれば、困りごとが小さくなる場合もあります。

 

そのため、自分の「特性」をしっかりと理解すること、その上で自分に合う環境とはどういったものなのかを見極めることが、自分らしい人生への第一歩につながります。

● 得意なことに目を向ける

アスペルガー症候群の特徴では不得意なものに目を向けてしまいがちですが、それは見方を変えると「強み」にもなります。

 

例えば「集団に合わせた行動」や「柔軟に対応する」ことは不得意ですが、そのことは言い換えると「一人でいること」や「決められた手順を守る」という強みになります。その場合、一人でコツコツと定例業務に取り組むような環境であれば、その人の得意を生かしやすくなります。

 

障害有無に関わらず、誰にでも得意・不得意を持っています。

したがって、自分の得意なことに目を向け、その得意なことが生かせること、不得意な部分はカバーできる環境を整えていくことで、より自分の特性を活かし、自分らしく働くことにつながるでしょう。実際に、アスペルガー症候群の特性がありながらも、自分らしく働けている方もおられます。


【無料】アスペルガー症候群の特性にあった働き方を就労支援のスタッフに相談してみる

アスペルガー症候群のある方をサポートする支援機関

自分の特性を理解しようと思っていても、ひとりだと煮詰まってしまうときもあるかもしれません。

 

支援機関では、アスペルガー症候群のある方の不安やお悩みに寄り添いながら、その解決に向けたサポートを行います。

ひとりでは得られない知見や視野が拡がり、よりよい選択肢をつくるきっかけにもなります。ひとりで悩まず、ぜひ相談してみてください。

● 発達障害者支援センター

発達障害のある方への支援を総合的に行っている専門機関です。

 

日常生活・仕事などの困りごとについて相談することができます。もしかしてアスペルガー症候群?と思ったときは、まずはそこで相談してみても良いでしょう。

お近くの発達障害者支援センターは以下から確認することができます。

● 病院

診断を受ける場合は、主に「精神科」「神経科」「心療内科」などになります。病院によっては専門外来を設けているところもあります。

どの病院に行けばよいか迷っている場合、発達障害者支援センターで相談してみても良いでしょう。

 

また、診断を受けることで、自分の特性を理解することにつながり、サポートが受けやすくなります。

精神障害者保健福祉手帳の取得や福祉サービス利用などの選択肢が拡がります。

 

● 障害者就業・生活支援センター

就業面と生活面の一体的な相談・支援を行っているところです。

 

就職だけではなく、健康管理や余暇活動など日常生活に関するサポートも受けられます。

お近くの障害者就業・生活支援センターは以下から確認することができます。

● 地域若者サポートステーション(サポステ)

働きたいという思いのある15歳~49歳までの方を対象に、就労に向けた支援を行っています。

主にキャリア相談やコミュニケーション講座など実施しています。お近くの地域若者サポートステーションは以下から確認することができます。

● ハローワーク

求人紹介やセミナーなど就労全般をサポートするところです。

 

ハローワークの中には、発達障害への理解のあるスタッフを配置し、就職先を探す発達障害のある方に向けて相談業務を展開しているところもあります。

● 就労移行支援事業所

一般企業の就職に向けて、必要なスキル(自己理解やコミュニケーションなど)を身につけるプログラムや企業インターンを行ったり、就職活動や就職後長く働き続けられるようにサポートを行っているところです。

 

LITALICOワークスでは「就労移行支援事業所」のサービスを提供しています。そのひとりに合う「働く」をみつけ、そのひとりらしい「やりがい・楽しみ」をみつけられるようサポートします。

アスペルガー症候群のある方が自分の特性に合わせた就職を実現した事例もたくさんありますので、ぜひお気軽にご相談ください。


【無料】就労移行支援がよく分かる資料をダウンロードする

アスペルガー症候群のある方の特徴を活かした仕事

LITALICOワークスでは、アスペルガー症候群のある方が「自分らしく働く」に向けてサポートを行っています。ここでは、アスペルガー症候群のある方が自分らしく働くために取り組んだ事例をご紹介します。

今後の働き方の一つとしてぜひご参考ください。

● Aさんの事例

【特性】

決められた手順で進めることは得意でしたが、柔軟に対応することに苦手意識がありました。

 

【困りごと】

飲食店のキッチンスタッフとして働いていたときに、店長から「店内の様子を見てホールに入ってほしい」の指示を受けましたが、どのタイミングでホールに入ればよいか分からず困ってしまいました。結局ホール・キッチンを並行しながら働くことが難しく、短期で離職することとなりました。

 

【LITALICOワークスで取り組んだこと】

自分に合う対処法を見つけるために、自己分析プログラムや企業インターンに参加しました。その結果「指示の仕方による工夫」「手順通りに進められるもの」であれば、Aさんは働きやすくなることが判明しました。

(例)指示の仕方による工夫→細かい指示を出しれもらう
「急ぎでコピーをお願いします」→「15時までに10部白黒でコピーをお願いします」など

 

【結果】

「細かい指示パターンやマニュアルが用意されている」会社を探して就職活動を行い、「マニュアル通りに進める」ことが求められる工場へ就職し、長く働き続けています。

● Bさんの事例

【特性】

人と関わる仕事がしたいと考えているが、相手の気持ちを考えることが難しく悩んでいる状態。

 

【困りごと】

人と仲良くなりたい気持ちはあるが、なぜかコミュニケーションエラー(人を怒らせてしまうなど)が多く、どうしたら良いのか分からない状態でした。

 

【LITALICOワークスで取り組んだこと】

場面に応じた対応の仕方や事例を知り、実践していきました。

(例)お客様から「この店暑いね」と言われた場合、これまでは「暑いですね」と、だけ返していたところを「温度を下げましょうか?」と聞き返すようにするなどの方法を学びました。
以前は、相手の表情を見ても感情がわからなかったところを、「怒る」「笑う」などの表情のイラストが描かれた顔マークを見ながら、その時の感情を読み取るトレーニングを行いました。

 

【結果】

事前に対処の仕方・事例を知ることでほぼカバーできる雑貨店の販売職に就職しました。以前よりも会話の流れや話している人の表情から言いたいことを読み取れるようにもなり、接客にやりがいを感じながら働いています。

 

※プライバシー保護のため、事実を変更・再構成しています。

アスペルガー症候群とは?のまとめ

アスペルガー症候群は「コミュニケーション 及び 対人関係における障害」と「反復的な行動、興味・同一性へのこだわり」を特徴とした、発達障害の一つです。

 

アスペルガー症候群における困りごとは本人の特性と環境の相互作用によって起きています。環境によっては、困りごとが大きくなることもあれば、小さくなることもあります。

 

そのため、自分の特性を理解し、自分に合う環境を整えることが、より自分らしい人生になる可能性があります。ひとりで解決することが難しい場合は、ぜひ支援機関や病院などへ頼ってみてください。

 

アスペルガー症候群のある方の就職サポート

アスペルガー症候群などで働くことにお悩みのある方への支援として、「就労移行支援」があります。

就労移行支援とは障害のある方の就職をサポートする福祉機関のひとつです。LITALICOワークスでは各地で就労移行支援事業所を展開し、障害のある方が自分らしく働くためのサポートをおこなっています。

LITALICOワークスではアスペルガー症候群のある方の就職実績も豊富にあります。自分自身の得意なことに目を向け、強みを生かせる自分の特性に合った仕事を一緒に見つけましょう。
働くことでのお悩みがありましたら、ぜひ一度LITALICOワークスにご相談ください。


【無料】アスペルガー症候群にあった働き方をLITALICOワークスに相談してみる

● 参考URL

  • 監修者

    鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授/LITALICO研究所 客員研究員

    井上 雅彦

    応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。

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